第12話「涙」
――ダメだ!
そう頭の中で警鐘が鳴り、私はその人物が振り向く前に玄関から飛び出した。
あれはいったい誰?
何で私がいるべき場所に、私そっくりな知らない人がいるの?
怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
* * * * * *
私は近くの公園にたどり着くと、そこにある黄色いベンチに腰掛けた。
何が起こっているのか、やっぱり少しも理解できない。
ただ事実としてわかっているのは、私がいるべき場所に私にそっくりな人がいて私の居場所がないこと。
これからどうしたらいいのかもわからず、私は膝を抱えてうずくまっていた。
――どれくらい時間がたったかさえ、わからなかった。
気がつけばもう、日が傾いて辺りは茜色に染まっている。
地平線の彼方に溶け込んでいく太陽。いっそのこと、私も溶かしてくれればいいのに。
そう思った時だった。
「――見つけたっ!」
聞き覚えのある声がして、ぴくっと肩が跳ねる。そんな都合の良いことあるわけない。
そう思いながら顔を上げた時、初めて話した時の表情と同じものがそこにあった。
「探したぞ、双葉」
「一之瀬、くん……っ!」
夕日に照らされた一之瀬くんの笑顔は、とても綺麗だ。
しかし何よりも、あの写真を見た後で私を探してくれたことが嬉しかった。
溢れそうになる涙をこらえるも、一之瀬くんの手が頭にのせられると我慢できなくなる。
泣いたのはいつ以来だろう。
一之瀬くんは私が泣きやむまで傍にいてくれた。




