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そして、試合当日。
優奈は、チケットに書かれた席について試合を観戦。加賀美の試合以外にも東堂達“同じ釜の飯”仲間が試合を繰り広げていた。そして、メインイベントへと移った。大柄でレジェンドの風格を漂わせる対戦相手に怯むことなく戦い続ける加賀美の姿がそこにあった。相手の攻撃で傷を負い、傷口から血を流してでも立ち向かう加賀美の姿に、優奈は直視できないでいる。
「俺は・・・負けらんねぇんだよ!」
そう、加賀美が口にした数秒後の事だった。
カンカンカンカンっ!!
カンカンカンカンっ!!
その音に、優奈はそむけていた顔を再びリングへと向ける。
そこに立っていたのは・・・傷だらけの加賀美だった。
彼の入場曲が会場に流れ、意識を取り戻した対戦相手と握手を交わす。そして、マイクを握ると・・・
「・・・俺は、この試合に人生を賭けてました。今日勝てて嬉しいです。それと・・・会場の皆さん!今から俺が言うこと、することの証人になってください!」
ざわつき始める会場。
加賀美は、試合後で揚がっている息を整えると再びマイクを握りなおし、優奈のいる場所を見つめると・・・
「南沢優奈さん・・・俺と結婚してください!!」
そう言って頭を下げると、マイクを持った右手を優奈の席の方角に向けた。
あまりのことでびっくりしてしまった優奈は、気が動転してしまう。そして、さらに追い討ちをかけるかのように、優奈にピンスポットが当てられたのである。優奈の姿をはっきり確認した観客はさらにどよめき始める。
そこに・・・
「優奈姉さ~ん(笑)」
二紀島がマイクを持って参上。ニコニコしながら優奈にマイクを渡す。
「・・・お、こ・・・こんな私ですが、よろしくお願いします!」
試合以上にボルテージが揚がり始める会場。
リングの上でガッツポーズを取って、全身で喜びを表現し始める加賀美と、席で自然と涙を流す優奈。
そこに・・・




