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その頃桧垣は、第一発見者である桜井の姉、馨と一緒に処置室の前で座っていた。頭を抱え不安そうな顔をする桧垣に馨は「あんたが不安になってどうすんの?」ときつい言葉をかける。
「でも・・・こうなったのは・・・俺のせい・・・なんすよ・・・姉さん・・・。」
馨は何も聞かず、桧垣を抱き寄せると「そうかもね。でも・・・あんたがそんな気持ちじゃ、悠馬は・・・」という。
「あんたが、あの子が好きなの知って・・・どんだけ悩んだか・・・わかる?どっち取るかって考えて・・・あんたを取ったんだ悠馬は。自分にあんな純粋な子・・・彼女にする資格無いからって・・・無碍にする気?」
桧垣の頭に生暖かい感覚が広がる。馨から離れて、その顔を見ると・・・泣いていた。
「悠馬の気持ち・・・受け取りなさいよ、恭介!」
病院のフロアに馨の声が響いた。
数分後
処置室のドアが開き、医師が手袋をはずしながら出てきた。
「命は取り留めました。もう大丈夫です。」
その言葉に安堵した二人の顔からは笑みがこぼれ始めていた・・・。




