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「ここだ・・・。」
葵の自宅から数十分。
2階建てのアパートがそこにあった。2階の角部屋に木暮が住んでいる。葵は、2階へと上がる階段を、一歩一歩ゆっくり上がっていく。
カタカタ・・・
金属の階段が葵の足音を響かせていく。その音を聞いたのか・・・
ガチャ・・・
「霧島?」
木暮が、廊下から階段を覗いていた。
「編集長・・・夜分遅くにすいません。」
「大丈夫。どうぞ(笑)」
葵が木暮の部屋の前につくと木暮は部屋の中に案内する。昔付き合っていたとはいえ、男(しかも元彼)の部屋に入るのは少し緊張した。
部屋の中は、殺風景であったがデスクの周りだけ書類や本が乱雑に置かれている。
「あ・・・」
「お片づけ・・・必要ですね(笑)」
「そ・・・そうだね(笑)」
そういいながら、葵は木暮のいる後ろに体の向きをかえる。いきなりの行動に木暮はびっくり。危うく、葵にぶつかりそうになっていた。
「ご・・・ごめん。」
少し後ろに下がった木暮。その時・・・
「へ・・・編集長?」
木暮の顔が、色をなくしていく。それと同時に呼吸が乱れていく・・・
「大丈夫・・・いつものこと・・・だから・・・」
いつもの呼吸困難。苦しそうな顔をしながら木暮はデスクに向かうと、デスクの上のペットボトルの水と1錠の薬を一気に飲み干した。その光景を葵は見て、告白することをためらってしまう。




