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その頃、双葉は桧垣に引っ張られながら歩いていく。
「ちょっと、桧垣先輩!」
双葉がそう言うが、桧垣は足を止めようとしない。そして、着いた場所は・・・桜井の事故現場だった。
「名倉・・・。」
「いきなり、なんなんですか!」
桧垣は、双葉の前に立つ。
「聞いて欲しいんだ・・・名倉にも・・・桜井にも。」
どういうことかわからない双葉は、首をかしげながら桧垣の顔を見た。
「俺・・・名倉のことが好きだ。」
「・・・。」
「ずっと好きだった。桜井のことが忘れられなくていい・・・俺の側で、ずっと笑っていてくれないか。」
突然の告白に、双葉は動揺を隠せない。
「いきなり・・・そんなこと言われても・・・」
「そうだよな・・・」
双葉と桧垣は、その後何も話さないまま家路についてしまった。




