67
カランカラン・・・
「いらっしゃいませ。」
JAZZが流れる、モダンな雰囲気がする場所。
ここは、榊がいきつけにしているバーである。木暮も何度かここに飲みに来ていた。榊は、カウンターの端っこでカクテルを飲んでいる。それを見た木暮は、静かにそこに歩いていき、頭を下げながら隣に座る。
「ノンアルコールビール。」
「飲めなくなったのか?」
「薬、飲んでるんで。」
驚く榊に、木暮はにこっとしながらそう答える。独立後の話や離婚の経緯、いろいろな話が、その空間に広がっていく・・・
「でさ・・・どうすんの、葵ちゃんのこと。」
榊のその一言に、木暮のグラスを持つ手が少し震えながら止まった。グラスの中の飲み物を見つめながら、少しため息。
「この前、霧島に会ったとき・・・初めて神様を恨みました。」
「なにそれ(笑)かっこつけてるみたいに聴こえるんだけど。」
「かっこつけてないですって(笑)会えた嬉しさもあるんすけど、また、霧島を苦しめるんじゃないかって・・・どれだけ霧島を・・・」
泣きそうな顔でそういう木暮に、榊は鋭いツッコミを入れる。
「あんたさ・・・そんな気持ちで葵ちゃんに告白したの“もう一度やり直さない”って?馬鹿じゃないの!」
榊は、木暮の態度にキレた。驚いた木暮は、顔にその気持ちを出しながら榊を見つめていると・・・
「葵ちゃん、どれだけ悩んでると思ってんのよ!そんな気持ちでよく告白できたわね。同じ苦しみ味わってるんだったら、神様を恨むより、自分の手で葵ちゃんを守ろうと思わないの?」
「・・・。」
榊のその言葉に、木暮は言葉を返すことが出来なかった。




