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病院に着くとすぐにドクターの処置が施され、葵は、処置室のベットに横になりながら点滴を受けていた。
「あ・・・榊さん・・・。すいません。」
なじみの編集者、榊蓉子。彼女は、葵がデビューした当初から、木暮と共に葵を見続けてきた編集者で、木暮の後任として編集長になった女性である。
「過労から来る風邪だって。しばらく安静なんだって。あっ、薬とか会計とか私がしたから。」
「いろいろ、すみません。」
「いいのいいの。仕事のペースとか考えよっか。さっき、先生に“仕事詰め過ぎ”って怒られちゃったし・・・。」
「そうなんですか・・・。」
「うん。葵ちゃんのスケジュール見てすぐに(笑)」
笑い話をしながら、今後のスケジュールについての打ち合わせ。葵にとって、この時間が木暮のことを忘れられる時間だった・・・。
点滴が終わり、葵は榊に肩を借りながら処置室を後にする。ドアを開け、病院の玄関へと向っている時の事だった。葵と榊の前からスーツ姿の男が、バックに薬を入れながら向ってくる・・・。
「あっ・・・。」
「木暮・・・?」
そこにいたのは少し顔色が悪い木暮だった・・・。彼がやってきた方向には、一般診療の科ではなく、専門的治療が必要な診療科が続いているフロア・・・。




