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傍観  作者: 54
第三章 空に舞う傍観者
9/11

ことわざ回想、その後

「飛べない豚はただの豚だ」


 飛べない豚はただの豚?


 山田さん(このまえ鯛を貰った人)は今までたくさんの豚を見てきたが、飛べる豚を見てきたことはない。食べる豚なら見たことがあるなあ、と山田さんは呟いてみた。


 山田さんは、いつものように飼育小屋に行く。え?何の飼育小屋かって?豚だけど。


 そこには豚がたくさんいる。山田さんは、ここで豚を育て、豚を加工する業者に売り渡すのだ。よく考えてみればそれって残酷だなぁ。



 ********



 今日も山田さんは豚たちの世話をする。


「おーい、この中に飛べる豚はいるか?」


 当然ながら、誰も反応しない。そもそも言葉が理解できないだろう。


「おーい、よく聞け。飛べない豚はただの豚だ」


 山田さんは、昨日観たアニメ映画に出てきた豚の台詞を言ってみる。


 当然ながら、誰も反応しない。この人は豚に人間の言葉が理解できるはずがないと本当に知っているのだろうか?多分知らないだろうな。



 ********



 その頃、田中さんは、山田さんと同じく昨日は映画を観ていたが、その台詞の内容を中途半端に覚えていたため、思い出すのに苦労している。


「飛べない蛇だったっけなぁ。あれ?飛べない鳥だったような気もする。でも、飛べない鳥は異常な鳥だなぁ」


 田中さんは諦めてゴミ袋のほうへ目をやる。そこには一昨日山田さんに貰った腐っている鯛が入っている。


「あっ!」


 田中さんはひらめいた。


「腐る鯛はただの鯛だ」


 一種の名言である。寧ろ迷言。いっそのこと冥言にしてしまおう。

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