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傍観  作者: 54
第一章 崖の上の傍観者
4/11

L`Arlésienne スーパー・ミラクル・グレートチキン=フレデリック馬鹿の悲劇

 昔々、フランスという国のあるところに、フレデリックという農夫がいました。その農夫は毎日毎日毎日真面目に農作業をしていて、最初は楽しそうにしていましたが、そのうち飽きてきました。


 畑仕事ばかりではさすがに疲れるので、フレデリックは訳も無く散歩に出かけました。フレデリックがフラフラとあたりをほっつき歩いていると、闘技場のある町に辿り着きました。フレデリックはやはり訳も無く闘技場に勝手に上がりこんでいきました。


 闘技場には、そこで働いている(らしい)一人の女性が闘技場の掃除をしていました。フレデリックはその女性に心を奪われてしまいました。フレデリックは挨拶くらいしてこようと思いましたが、女性が「あたし今仕事中。キサマ近寄ったら木っ端微塵にする」という目つきで睨んできたので、青い顔で自分の村に帰って行きました。


 翌日、フレデリックは仕事も忘れて町に遊びに出かけました。ただの馬鹿ですね。目的はいわずとも分かるであろう、闘技場に行くことです。別に戦いに来たわけではありません。ある意味戦いになりそうですが。いろんな意味で。


 昨日の場所に行くと、やはり昨日と同じ女性が昨日と同じ箒を持って掃除していました。そして昨日と同じ殺気に満ちた目で「キサマまた来やがったなこの野郎ぶっ殺す」みたいに睨んできました。スーパーミラクルグレートチキンのフレデリックはやはり怖がって逃げ帰ってしまいました。もはや阿呆ですね。


 次の日からもフレデリックは闘技場に言っては睨まれ、闘技場に言っては睨まれ、と、どう考えても無駄な行いばかりして、畑は荒れ、心は荒み、家庭を崩壊する寸前でした。


 ある日、スーパー・ミラクル・グレートチキン=フレデリックは、腹を決めて闘技場に行きました。阿呆のフレデリック(とり)は、竹槍を担いで女性に会いに行きました。そしてスーパー・ミラクル・グレートチキン=フレデリック馬鹿は、勝負を挑みます。が、所詮フレデリック鶏ごときが勝てる相手ではなく、十一回目で諦めて帰りました。


 ズタボロの身体を何とか村まで持って帰ったフレデリック鶏ですが、もう畑は荒れてしまっているので、秋になっても食べ物がありません。


 冬になっても当然食べる物が無く、畑を耕す気力もスッカリ失せてしまったニート農夫のフレデリック鶏は、「久しぶりに外に出て見るか。闘技場に行けば食べ物がもらえるかもしれないぞ。うへヘ」と、訳の判らない気持ちで闘技場に向かいました。そこにはやはり女性の姿がありました。その女性はフレデリック鶏に向かってダッシュし、思いっきり―――








ズドガァァァァァンンンン










強烈な蹴りを入れてきました。


 貧弱なフレデリック鶏は成す術も無く吹き飛び、闘技場の壁に叩きつけられ、その女性とファランドールを踊ることなくオダブツしました。



原作はドーデの戯曲「アルルの女」です。G.ビゼーにより音楽になったものですね。

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