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8ー8 決意

 8ー8 決意


 「それは……もしかして」

 俺は、信じられない思いでラザニエルさんの美しい横顔を見つめた。

 「ええ、この世界でかつてほんとにあったことよ」

 それは、俺が子供の頃から聞いていた昔話とは違っていた。

 もしも、これが本当の話なら。

 俺は、ぎゅっと唇を噛んだ。

 こんなのちっともめでたい話なんかじゃないし!

 誰も幸せなんかじゃないし!

 いや。

 少なくとも勇者たちにとってはいいことだったのかも。

 勇者は、このアダムズ王国の創始者とされている。

 魔王を倒して世界を守った勇者。

 しかし。

 その陰にある真実の重さに俺は、気分が塞いでいた。

 ぽん、とラザニエルさんが俺の頭を撫でてしかたないなぁ、というように微笑んだ。

 「君が気に病むようなことじゃないのよ?クロウズ君」

 ラザニエルさんが俺の頭を優しく撫でながら告げた。

 「でも……君にできることもあるわ」

 ラザニエルさんがうつ向くと小声で呟いた。

 「お願い……あなたの力で全てを終わらせて。あたしも、魔王も、山の民たちも……まるっとみんな救って!」

 俺は、言葉がでなくて。

 ただ、こくん、と頷くしかできなかった。

 俺に何ができるかもわからない。

 それでも。

 俺は、ラザニエルさんの力をもらったのだ。

 彼女を。

 彼女らを救う責任がある。

 俺は、真剣な眼差しでラザニエルさんを見つめた。

 「俺が……俺が必ずみんなを守る!救えるかはわからないけど、それでも少しでもいい未来を造って見せる!」

 「クロウズ君……」

 ラザニエルさんの目から涙が溢れ落ちる。

 「ありがとう……我が主」

 俺は、そっとラザニエルさんの頬を流れる涙に手を伸ばして拭った。

 綺麗な涙だ。

 でも。

 悲しすぎる。

 俺は、決意していた。

 もう2度と誰にもこんな涙を流させたくない。

 そのとき、小屋の入り口の垂れ布が持ち上げられ婆さまたちが現れた。

 「コーザがライザたちを連れて戻りました」

 ラザニエルさんの顔が緊張するのがわかった。

 「連れてきて」

 ラザニエルさんの声が震えているのが俺にはわかった。

 俺は、ぱんぱん、と自分の頬を叩いてからきっと顔を上げた。

 全ては、俺にかかっている!

 しっかりしろ、自分!

 

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