↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
76/170

8ー6 哀訴

 8ー6 哀訴


 「さて、と」

 ラザニエルさんがぐっと中身を飲み干すと杯を置いた。

 「供物をいただいた以上は、あなたたちの望みを叶えないわけにはいかないわね。なんでも言ってごらんなさいな」

 「はっ!」

 ひれ伏している婆さまがラザニエルさんの方に顔を上げる。

 「今、山では、封じられていた神が目覚め害をなしております。それを鎮めていただけないでしょうか?」

 「そんなことなら容易いご用よ」

 ラザニエルさんがにんまりと笑った。

 「あたしが出るまでもない。この下僕のクロウズ君で十分ね」

 はいっ?

 俺がぎょっとしていると婆さまたちがざわめく。

 「精霊の使い魔だったとは!」

 「やはりただびとではなかったのか!」

 いや。

 俺は、ちょっと恨めしげにラザニエルさんを見上げる。

 ラザニエルさんは、可愛らしくちろっと舌を出しているし!

 「俺が山の神を鎮めるために力を貸します。ですが、もちろん精霊様もご尽力いただきますよ?」

 すべてを俺に押し付けようとしているな!

 俺がじっと冷たく見つめるとラザニエルさんがふふ、っと笑う。

 「当然!」

 ラザニエルさんが婆さまに告げた。

 「これより我らが山の神を封じる。だが、その前に『聖女の心臓』の在処は、どこかしら?」

 「それは……」

 口ごもる婆さまの背後からコーザが口を挟んだ。

 「それは……俺の許嫁の体内に」

 「ふぅん?」

 ラザニエルさんがコーザに命じる。

 「なら、その許嫁は、どこにいるの?油を注がずに火を燃やすことはできないのよ?」

 「……それは」

 コーザが言い淀むがすぐに意を決したように顔を上げた。

 「精霊様!どうか、どうか、俺の許嫁を……ライザをお助けください!お願いします!」

 コーザの訴えに俺は、ラザニエルさんを見た。

 ラザニエルさんは。

 にやりと怪しい笑みを浮かべて何かぼそぼそと呟いていた。

 「いいっ!エキゾチックな美青年にお願いされるの、たまらん!」

 また、この人はっ!

 俺は、ごほん、と咳払いをした。

 「精霊様?」

 「ああっ!」

 正気に戻ったらしいラザニエルさんが今さらの真面目な顔になる。

 「その許嫁をここに連れてきなさい」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。