1ー7 ピンチ?
1ー7 ピンチ?
そのとき扉がどんどん、とノック?されてアネッサが顔を覗かせた。
「精霊姫様、よろしいでしょうか?」
「えっ?」
ラザニエルさんが困ったように俺を見てから返事をする。
「かまわん」
「失礼します」
アネッサがカップを捧げるように持ってラザニエルさんに差し出した。
「まだ、お体が本調子ではないでしょう。どうぞ、この我が一族に伝わる秘薬をお召しくださいませ」
「ああ、ありがとう」
ラザニエルさんは、アネッサからカップを受け取るとぐっと飲んで。
そして、吐き出した。
「何これ?酸っぱいっ!」
「はぁ?」
アネッサがきょとんとしてラザニエルさんを見つめている。
「これは、我ら魔物や精霊にとっては、霊薬でございます。どうぞ、お飲みになってくださいませ」
「そ、そうなの?」
ラザニエルさんがちらっとアネッサを見ながらカップの中身をちろちろと舐めるように少しづつ飲んでいるのを見ながら俺は、考えていた。
このままでは、俺とラザニエルさん、両方がやばいのでは?
アネッサは、今のところラザニエルさんのことを敬ってへいこらしているけど、もしも俺たちが異世界からの転生者だとか知られたら。
俺は、アネッサにもう少しで喰い殺されるところだったことを思い出してぶるっと体を震わせた。
「ところで精霊姫様」
アネッサがラザニエルさんの足元に跪くとちらっと俺の方をうかがう。
「あなた様が奴婢とされたこの人間ですが、いかがいたしましょう?」
「奴婢?」
ラザニエルさんがはっとして俺を見る。
「そういえば隷属の契約をしてたのよね?その途中で……あたし、意識を失っちゃって」
「はい。あなた様もあの人間も意識を喪失したようでしたので、とりあえず私の巣にお運びしたのです」
アネッサがひれ伏している。
ラザニエルさんは、どうやらかなりの大物らしい。
まあ、精霊だしな。
しかし。
この世界に精霊がいるなんて初めて聞いたな。
「ご苦労だったな、アネッサ」
ラザニエルさんがこほん、と咳払いをする。
「これからは、身の回りの世話は、この人間にさせる故、お前は、下がってよい」




