4ー6 イームス布
4ー6 イームス布
なんとかアイダさんを説き伏せて護衛を引き受けてもらうと俺たちは、荷馬車を手配して離れた領地内の街を回ることにした。
もと商人の家の出であるだけあってアイダさんは、荷馬車の手配なども抜かりがなかった。
俺は、一応、旅費として金貨を一袋ほど持ってきていたがなにぶん今は財政難の折だ。
アイダさんがうまく交渉して安くで荷馬車を借りてくれたことは嬉しかった。
俺たちは、商人を装うためにちょっとした商品を用意していた。
それは、俺が森でアネッサに採集してもらった草木をもとに錬成したものだ。
麻によく似た植物が森に群生しているのを俺は知っていた。
前世の記憶が戻った俺は、もしかしたら草木から布を作れるのではと思って魔鏡にきいてみた。
すると魔鏡があの麻によく似た植物から布が作れることを教えてくれたのだった。
なぜ、俺が麻を知っていたのかというと昔、夏休みの研究で植物園で麻を調べたことがあったからだ。
ほんとに前世の記憶のおかげだな!
作った布は、綿に比べればざらっとしていたが風通しもいいし、軽くて扱いやすく、何よりも安価だった。
今は、穀物などを運ぶために大きな壺を使用しているがこの麻布で作った袋に入れて運べば軽くて運びやすいのでは。
麻布、というかイームスの茎から作られた布なのでイームス布は、かなり丈夫だ。
ナイフでも破れにくい。
もしかしたらこの布で冒険者用の服を作るのもありかもしれない。
俺は、作った大量のイームス布を魔鏡に取り込んでいたが、アイダさんが荷馬車を用意してくれたのでそこに取り出しておくことにした。
空間収納は、この世界ではすごく珍しい。
そういった力を持つ魔道具は、王国の軍隊とかしか持っていない。
それを俺が持っているのは目立ちすぎるので商品の運搬用にわざわざ荷馬車を用意してもらったのだ。
アイダさんは、俺が荷馬車一杯の布を取り出すのを目を丸くして見ていた。
「もしかして空間収納?初めて見た」
「あの、この魔道具のことは内緒にして欲しいんだ」
俺は、アネッサがアイダさんが用意してくれた旅に必要な装備を荷馬車に積み込んでいる間にそっとアイダさんに頼んだ。




