4ー1 横領
4ー1 横領
「もう一度、言ってもらえますか?」
俺が冷ややかに問うと父であるセフィール辺境伯は、青ざめた表情をして恐る恐る口を開いた。
「ですから、王都のフロストール魔法学園にいるお前の兄たちに仕送りをしなければ」
はい?
俺は、執務室のデスクに広げられた帳簿を見てため息をついた。
「確か、フロストール魔法学園では、兄上たちは、寮生活でしたよね?それだとこんなに仕送りは必要ないのではないですか?」
「しかし!」
床に正座している父上の横に同じように座っている義母が俺を睨み付けた。
「辺境伯家の者として恥ずかしくない暮らしをさせるべきではないかしら?でなければ社交界の笑い者になるのは我がセフィール辺境伯家なのよ!?」
「恥?」
俺は、はぁ、っと吐息を漏らす。
今さら何を言っているんだ?
父上から実質的なこの家の当主の座を奪ってから俺は、まず、この家の財政状態を調べることにした。
が。
とてもじゃないが普通に贅沢ができるような状態ではなかった。
帳簿は、何年にも渡って粉飾されているようでくわしく見ないとわからないが下手をすれば税金をごまかしてる罪で王都の役人が調査に来るかもしれないレベルなんじゃないか、ということだった。
この帳簿を調べてくれたのは、ラザニエルさんだ。
前々世で商社の経理課で働いていたというラザニエルさんが言うには領民には重い税を課しているが王都にはその三分の一も納めていないらしい。
しかもそれを帳簿では書き換えている。
「これは、十分に犯罪として立証できるものですよ?父上、母上」
デスクの椅子に腰かけて帳簿を見ながら伝える俺に2人は、正座したままぶるぶると震え出す。
「まさか、実の父を訴えたりしないだろうな?クロウズ」
「当たり前です!」
まだ理解できていないらしい義母が声を張り上げる。
「育ててもらった恩も忘れてそのようなことをしてみなさい!いい笑い者です!」
「とにかく」
俺は、2人に言い渡した。
「これからは、お2人には領地経営からは離れていただいて……そうだな。別荘で療養していただくことにしましょうか」
「な、なんだと!?」
顔を真っ赤にしている父と義母をアネッサが執務室から追い出すのを俺は、冷めた目で見つめていた。




