16ー7 魔族の末裔
16ー7 魔族の末裔
俺は、アルフェとアルトの側から離れるとラザニエルさんの隣に立った。
「俺たちは、事情があって『ネクタル』のことを追っている。『ネクタル』は、みなが思っている以上に危険なものかもしれないからだ」
「では王国の?」
俺は、頭を振った。
「王国とは関係ない。俺は、個人的に『ネクタル』を追っている」
「なぜ?」
アルフェが俺に問いかけた。
「そんな危険をおかしているのかしら?」
「俺の婚約者は、ある意味『ネクタル』の被害者だからだ」
俺が告げるとアルトがちらっとアルフェをうかがう。
アルフェは、俺に訊ねた。
「婚約者?」
「俺の婚約者の名は、ロシナンテだ」
アルトがはっと息を飲む。
「あの行方不明の聖女?では、あなたは、もしかしてセフィール辺境伯令息か?」
俺は、こくりと頷く。
アルフェとアルトが顔を見合わせる。
アルフェが立ち上がると俺の前に来て淑女の礼をとる。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。私は、アルフェンス・ロドニアーヌ。以前、この地を納めていたロドニアーヌ男爵家の生き残りでございます」
アルフェがアルトを指す。
「これは、私の乳兄弟であるアルベルトと申します」
「先程は失礼をしました。私は、代々ロドニアーヌ男爵家にお仕えしてきた騎士家の者でアルベルト・フィールズと申します」
アルフェの横に跪くアルトを俺は、手で制した。
「君たちは、なぜ、この一座に?」
俺の質問にアルフェが応じる。
「我がロドニアーヌ男爵家は、コルネール男爵家に裏切られて破滅しました」
数年前。
このクーリアムの地を治めていたロドニアーヌ男爵家は、貧しくとも幸福に暮らしていた。
「我がクーリアムには秘密があるのです。故に貧しくとも誰もこの地を捨てることなく生きておりました」
「秘密?」
ラザニエルさんの問いにアルフェとアルトが顔を見合わせる。
しばらくしてアルフェが口を開いた。
「実は……我がロドニアーヌ男爵家とこのクーリアムの地の住人たちは、古の魔族の末裔なのです」
はいっ?
俺は、思わずラザニエルさんを見た。
ラザニエルさんは。
静かな笑みをたたえていた。
「魔族、ですって?そんなわけがないわ。だって」
ラザニエルさんが冷たい声で囁く。
「魔王が封じられた時、魔族は全滅した筈ですもの」




