第3話:予期せぬ事態(パート2)
tanenterの状況 -
プルルル……。
「はい、事故は#######学校の前で起きています」
僕はうろうろと歩き回りながら、警察に通報し、状況と場所を伝えていた。
「救急車も呼んでください。負傷者がいます」
「え?負傷者が何人か正確に言えって?……僕の心の傷も数に入りますか?……冗談ですよ、ただのジョークです」
「もちろん負傷者は、子供が1人と、おばあさんが1人、それから……」
「待てよ……誰か忘れてる気がするな……。うーん、思い出せない」
ドカーン!!
tanenterはすぐに振り向いた。トラックのエンジンが爆発し、その衝撃で火花が飛び散り、黒煙がトラック全体を覆い尽くした。
「あぁ、誰を忘れてたか思い出した」
「運転手がまだ車内に閉じ込められてるんだ。早く来てくれ」
「はい、もちろんです。ついでに消防車も呼んでおいてくださいね」
ツーーー……。
tanenterは電話を切り、気を失って横たわっているおばあさんの孫娘の横に、スマホとレポートの束を置いた。そして状況を近くで見ようと歩き出したが、突然おばあさんがtanenterの足を掴んだ。
「うわっ、びっくりした! ばあちゃん、何するんだよ」
驚いて見下ろすと、おばあさんの目には、薄い黄色の髪をしたこの青年を心配する色が浮かんでいた。
「坊や、行っちゃいけない。危ないよ」
僕はしゃがみ込んで、彼女の手を優しく足から離した。
青年は少し歩き出し、不安を感じさせない明るい笑顔でおばあさんの方を振り返った。
「大丈夫ですよ、ちょっと見てくるだけですから」
しかし、おばあさんはtanenterの行動が信じられず、まだ心配そうな顔をしている。
「……見てくるだけですよ。もし本当にヤバくなったら、すぐに逃げますから」
そう言い残すと、tanenterはトラックを包み込む黒煙の中へと駆け出した。
煙の中に入ると、tanenterは息ができず、パーカーの襟を引っ張り上げて鼻を覆った。
「ゲホッ、ゲホッ……何も見えないし、息が苦しすぎる」
もう少し進むと、右側に横転したトラックの運転席側にたどり着いた。彼はまだ割れていないフロントガラスに近づいた。
「マジかよ、なんでガラスが割れてないんだ?」
観察してみると、正面と上部のガラスは無傷なのに、地面に接して横転している下側のガラスだけが粉々に砕けていた。
「本気かよ、なんで片側だけ割れてんだよ」
……。
「えっ!? ちょっと待て、あれは何だ?」
意識を失った何かが中にぶら下がっている。tanenterは目を凝らして中を覗き込んだ。
「うわぁぁぁ!! 死体発見!?」
運転手の体が運転席側(左側が上になっている)で宙吊りになっていた。シートベルトで辛うじて固定されているが、その頭の真下には鋭い鉄の棒が突き出ていた。もし体が落ちれば、悲惨な光景になるのは目に見えている。
tanenterは周囲に危険がないか探った。運転手の顔には血が流れており、体にもいくつか傷があるが、ふと見ると運転手の唇がかすかに動いた。彼がまだ生きている証拠だ。
「嘘だろ、これだけ派手にひっくり返って生きてるのか?」
ドンドン!!
僕はガラスにひびが入るか試すために強く叩いた。しかし、傷一つ付かない。
「おい!! こんな時だけ頑丈なガラス作りやがって!」
ドンドン! ドンドン!
何度も叩いたが、全く割れない。飛び蹴りを食らわせても、両足で蹴ってみても、ガラスはびくともしなかった。
「ハァ……ハァ……」
色んな方法で壊そうとして疲れ果てたが、黒煙がひどいため鼻を塞ぎ続けなければならない。
「クソっ! 助けに来た側がピンチじゃねーか。どんな高級ガラスだよ、頑丈すぎんだろ」
トラックの周りを歩きながら考えを巡らせる。車体の底の方へ歩いていった時、あることを思いついた。
「もしかしたら助けられるかも。……あぁ〜、爆発する前に間に合えばの話だけど」
そう思うと、火の手が回る前にトラックの正面へ急いで戻った。ガラスに顔を密着させ、中の運転手に聞こえるように叫んだ。
「おじさん!! 心配しないで、助ける方法を見つけたよ! 上に登ってドアを開けて、おじさんを引っ張り上げるからね!!」
無茶な考えかもしれないが、賭けてみるしかない。
「おじさんも意識をしっかり保ってて。いい!? 」
運転手は僕を見て、小さく頷いた。それを見て僕は、車の後ろ側へ回り込むために駆け出した。
しかしその時、トラックのエンジンから異音が響いた。
ギギギ……ギギギ……。
チュドーン!!
フロントエンジンと後ろのコンテナが同時に爆発した。
「あああああ!!」
爆風に煽られ、僕は車体から遠くへ吹き飛ばされた。
キィィィィィィーーーーン。
至近距離での爆発音で耳鳴りがひどい。周囲の音が何も聞こえなくなった。
激しい爆発のおかげで、さっきまでの黒煙は吹き飛び、視界がクリアになった。もう鼻を布で覆う必要もない。
僕は、さらに激しく燃え上がるトラックを見た。
「やべぇ……間に合わない」
僕は立ち上がり、どうすべきか決断を迫られた。まだ時間は残っているはずだと信じ、すぐに走り出した。
「やるしかねぇ!! とにかく急いで助けて、さっさと逃げる。それが一番だ!」
走りながら自分の頬を軽く叩く。
トラックの正面まで戻ってきたが、炎が道を塞ぎ、熱気も凄まじくてガラスに近づけない。このまま突っ込めば火傷で死ぬ。
「クソっ、火の海じゃねーか。どうすんだよ……KCFの焼き鳥になんてなりたくねーぞ!!」
最短ルートを探して目を走らせると、横転した車体の底側はまだ火が回っていないことに気づき、そこへ走った。
「高いな……本当にこれ登るのか?」
ペシッ、ペシッ、ペシッ!
自分の顔を叩いて気合を入れる。車底の鉄骨を掴み、一歩ずつ登っていく。上まで行く前に、熱さを確かめるために車体に手を置いた。
「熱っ!! あちちちち!!」
まずい、熱気がどんどん増している。運転手が蒸し焼きになるか、爆発に巻き込まれる前に、何とかしなければならない。
「落ち着け……tanenter、死ぬことなんて考えるな」
一度地面に降り、急いでパーカーを脱いで口に咥えた。そして再び車底を登り始めた。今度はパーカーをクッションにして手をかけ、自分を押し上げる。成功だ。僕はパーカーを手に持ち、運転席のドアまで走った。腕を伸ばしてドアノブを掴む。
「よし、急がなきゃ。ふんぬぅぅぅ!!」
息を止めて全力でドアを引いた。しかし、全く開かない。何度も何度も試したが、びくともしない。
「うぅぅ……」
体力の限界で少し立ち止まって息を整える。こんな状況だが休まざるを得ない。肩で息をしながら、ふとガラス越しに中を見ると、ドアのロックピンが下がっているのが見えた。つまり、鍵がかかっている。
パチンッ!
「痛っ……バカだ、俺は本当にバカだ! 中からロックされてんじゃねーか。どうすりゃいいんだよ!」
ドアを開ける方法を必死に考えていると、手に持ったパーカーとドアガラスが目に入った。少し考え込み、僕は腰を落とした。
「ちょっと痛いぞ、tanenter……。はぁ、自分を慰めても勇気なんて出ないけど……やるしかねぇ。くらえ、このクソガラス!!」
tanenterは狂ったようにドアガラスを叩き始めた。拳を何度も叩きつけ、一刻も早く壊そうと必死に殴り続ける。
「ああああああああ!!」
立ち上がり、今度はガラスに向かって何度も蹴りを入れた。右足に全体重を乗せ、全力の連蹴りを叩き込む。
「よっしゃ……ついに……!!」
tanenterの必死の努力により、ついに頑丈なガラスに無数のひびが入った。蹴りを止め、パーカーを腕に巻き付けると、さらに数回殴りつけた。
ドン! ドン! ガシャーン!!
ドアガラスが粉々に砕け散った。体中が痛むが、ようやく成功だ。しかし、まだ終わりではない。パーカーを巻いた手を中に突っ込み、内側のロックを外した。
ガチャリ!
「ハァ、ハァ……いける! ハァ……やったぞ!! 開いた!!」
「はははっ、死ぬほど疲れた……はははっ」
ドアを押し開け、目的はまだ達成していないが、喜びで笑みがこぼれた。その時、後ろから呼び止める声がした。
「そこの薄い黄色い頭の少年……。そこから降りなさい!」
ゆっくりと振り返ると、学校の前には大勢の生徒たちが事件を見守っていた。スマホで動画を撮る者、おばあさんに付き添う教師。そして、こちらに駆け寄ろうとする数人の教師たち。しかし、その先頭に立っていたのは3人の人物だった。
中央にはメガネをかけたイケメン。その背後の左右には2人の女子が立っている。左側にはメガネをかけて恥ずかしそうにしている薄茶色の髪の少女。右側にはボーイッシュな赤い長髪の少女。
そして、人混みをかき分けてこちらを見ているキンの姿もあった。
「今すぐその危険な場所から降りろ……。残りは我々が対処する」
中央の男がメガネを指で押し上げ、鋭い視線を僕に向けた。
「そうよ、キラ君の言う通りよ。降りなさい、坊や」
赤い髪の少女がtanenterを指差した。
「あの……降りてください。もうすぐ消防隊も到着しますから……」
恥ずかしがり屋の少女が、メガネの男の背後に隠れながら言った。
火がコンテナやフロント部分に燃え広がっているというのに、誰も消そうとしない。みんなただ状況を見ているだけだ。全ての力を使い果たした僕は、心の中でこう思った。
「Oh No.....」
最初の50回のご閲覧ありがとうございます。文章に不注意があり、申し訳ありません。今後、間違いを修正し、スキルを向上させていきます。( >Д<;)




