本を読む汚れた少女は
『必要としない物ではなく、自分の要る物をあげましょう』
byマザー・テレサ。
「はい。お小遣い」
「ありがとう、お母さん」
小学生の少女は、笑顔でお小遣いをもらう。
「また、貯金?」
「うん」
「そっか」
少し困ったような顔で、母親はうなずく。
お小遣いを毎月3000円もらえる家庭。
どちらかというと、裕福な方だろう。
だが、少女の外見は汚れている。
髪は自分で切るから揃っていない。服も、ほこりはついていないが、所々破れている。
周りから心配されるような外見。
「買ってあげようか? 服」
「わたしがやりたいからやってるの」
「うん。そっか」
虐待してるって思われないかしら、と母親は心配になる。買ってあげたいのに断ってくるのよね。買っても着ないだろうし。
少女は、本をめくる。
その子は、毎日図書館を利用する。
学校の授業で気になったこと、社会で問題になっていること、自分の好きな作家の本も。
『勉強熱心だけど、何か事情があるのかな』
司書や他の利用者たちは疑問に思う。
外見は汚いし、小学生くらいなのに大人の読むような本を積んでるし。
そして、もう1つ疑問。
「お疲れ」
「そっちも、お疲れ様」
いつも、出入口で待っている少年。
服はキャラクターもので、汚い少女と比べると彼の方が裕福に見える。破れている所は、服にはないし。
「帰ろっか」
少女は少年に笑顔で言う。
「うん。
ごめんね? いつも」
少年は申し訳なさそうにして返す。
少女から手をつないで、帰っていく。
笑顔の少女、申し訳なさそうな少年。同じくらいの歳に見える2人。
『どういう関係?』
と。
高校生になった。
「一緒に帰ろうぜ!」
「う、うん」
明るく陽キャな少年、地味で陰キャな少女。
「読ませてもらったよ。君の小説。あ、モチロン俺のバイト代でな。高校を出たら契約するから布教する」
「そこまでしなくても。
面白くなかったでしょ?」
「いやいや、最高だった。努力が報われたな!」
少女は小説家になった。小学生の頃から熱心に本を読んでいたから作品の世界観や登場人物の設定が生々しく、かつ深い。
そして、少年はプロ注目のサッカー選手になった。高校生で既に働いてもいる。
少女の髪は揃っていて、制服も綺麗。
「恩人だし。大ファンだぜ」
「私は、私のしたいことをしただけだから。こっちこそ、今も友達でありがとう」
「友達か…」
「違う?」
「友達なんだろうなあ、まだ」
彼の気持ちに、彼女はいつ気付くのだろう?
毎月お金をくれた恩人、だが今は恋愛の対象でもある。そんな彼の恋心に。
てえてえ。
ありがとうございました。
なろう系じゃないような(*´・ω・)




