第一章 第2話「『LDCO』、それに向けた特訓」
登場するキャラクター
【水属性を扱う古川家の長女】古川ミズホ
・この小説の主人公。女性。高一で水乃橋私立高校に通っている。基本的に落ち着いた性格であり、物事を冷静に見る事が出来る。だが、戦闘力はあまりない。水属性の技を使う。実は兄弟や姉妹がいるらしい。
【ノリは良い皮肉家、電気使う女子高生】電野雷華
・女子高生であり、ミズホの友達。高一。ミズホと同じ学校に通っている。シニカルな性格だが、ノリが良く楽しいことはとことん楽しむ。戦闘力はミズホと同じくあまりない。電気属性の技を使う。
【熱血でポジティブ、火属性を使う男子高生】火矢炎蔵
・男子高生であり、ミズホの友達。高一。ミズホ、雷華と同じ学校に通っている。とにかく明るい性格で熱血。どんなことも楽しむ。雷華とは言い争いをする事が多いが、何だかんだ仲は良い。戦闘力はあまりない。
火属性の技を使う。
【長女に容赦ない古川家の双子の光属性の姉】古川陽佳奈
・ミズホの妹。そして双子の姉でもある、光属性を使う少女。ミズホの事はねいちゃんと呼んでいるが、彼女への扱いはぞんざいと言える。だが、双子の弟、黒介の事は大切にしている。強い者はしっかり認める性格。
【臆病で優しい闇属性を使う双子の弟】古川黒介
・ミズホの弟で、陽佳奈の弟。陽佳奈の事は陽佳奈姉ちゃんと呼び、ミズホの事はミズホ姉と呼ぶ。双子の姉の陽佳奈と比べると臆病で大人しい。だが、優しく思いやりがある。闇属性を使う。だが、怒ると陽佳奈よりも怖いらしく…?
【古川家随一の技術者】古川憐
・ミズホの父親。厳格だが優しさもあり礼儀正しい。主な属性は氷。だが、それ以外にも沢山ある。戦闘力は古川家の中でも随一。『LDCO』からは【古川家随一の技術者】と呼ばれる。
〜夕方〜
〜何処かの草原〜
「はぁ…っはぁ…此処まで来れば安心か?」
ミズホ達三人は「LDCO」から逃げる為に古川家を出て行った。
「恐らく…と言うかまさかこんな事態に…」
「私も信じられないよ…!こんな楽しみを崩されるなんて…!」
三人は今起きた事態に驚いていた。すると──
──(ピロン)
「ん?」
ミズホの持っていたスマホの通知が鳴った。どうやらメッセージが送られたから通知が鳴ったらしい。
「あれ?メッセージ?送って来た人は…え!?憐父さん!?」
メッセージを送った人はなんとミズホの父親、古川憐だった。
「憐さんって…ミズホの父親だよな?しかも古川家でかなり凄い人って言う…」
「いや、凄い所の話じゃないと思う。古川憐さんは『LDCO』のそれなりに強い人達を苦労せずに倒しているらしいからね。」
「えっと…メッセージの内容は…」
「『…家に戻ってくれ。其方達に伝えないといけない事がある。』?」
「…すぐに向かおう。雷華、炎蔵。」
「うん!」「ああ!」
そして古川家にて──
「来てくれてありがとう。三人とも。」
【古川家随一の技術者】古川憐はわざわざ来てくれた事にお礼を言った。【古川家随一の技術者】とは様々な人からの呼び名みたいなものである。因みに三人にも一応あるが殆ど言われない。そのどれもが長すぎるからだ。後、キャッチコピーみたいだからと言うのもある。
「憐父さん…どうして私達を呼び出したの?」
「ああ。それを今から説明しよう。」
そう言うと優しそうな顔をしていた憐は一層真剣そうな顔になった。
「まず、昼くらいに『LDCO』と言う敵組織が来たのは覚えているな?」
「はい。憐さん。俺達、必死で逃げました。」
「流石、覚えているようだな。」
「今日襲来したのは『LDCO』でも最弱の強さを持つ『lowest』だ。」
「え…?あれで最弱なんですか?凄く強そうに見えましたけど。」
三人は驚く。
「確かに『lowest』はいきなり見たら強そうに見える。」
「──だが、戦闘慣れしている者にとってはそこまで苦労はしない。」
「まあ私は他の方と比べたら未熟な面もあるが。それでも私が『LDCO』のメンバーを撃退出来たのは相手が『lowest』だったからだ。」
「あの、それって『LDCO』には他のクラス?もあるんですか?」
炎蔵が聞く。憐はそれに頷いた。
「ああ。クラスは他にもある。」
「…そうだ。君達にも『LDCO』の情報は大事だから教えておこう。」
憐はそう言って自分の知っている情報を言う準備をした。
「──まず先程も言った通り、クラスはいくつかある。」
「その種類は五種類だ。」
「下から、『lowest』、『lower』、『medium』、『higher』、『top』だ。」
「まず『lowest』から説明していこう。」
「よろしくお願いします!」
「──『lowest』は『LDCO』の中では一番弱い強さだ。」
「戦闘力1000未満、任務をこなした数もかなり少ない。」
戦闘力とはその人が持っている戦いの力。技術力、単純な力、精神力などで決められる。自分の戦闘力は見える。他人からは見えないが技を使えば見える。
「だが其方達の戦闘力とあまり変わらない。…もしその言葉が信じられないのならこの古川家から代々引き継がれている『戦闘力計測器』で計るか?」
戦闘力計測器とはその名の通り戦闘力を測れる器具。上限は1000万でそれを超えると一時的に使えなくなってしまう。
「憐さん…確かに私達は力もありませんからそれを見て現状把握するのは良いですね。」
「俺も測るぜ!自分がどれだけ力があるか知りたいしな!」
「二人はOKだな。ミズホは?」
その言葉にミズホは頷いた。
「うん。私も測る。」
「分かった。それじゃあまずは…ミズホ!戦闘力を測ってくれ。」
「うん。」
ミズホが戦闘力計測器を持つ。そして数秒後、結果が出た。その結果は──
「ミズホ。測り終わりだ。戦闘力計測器に書かれた数値を見てみるんだ。」
「えっ…?嘘…」
「たったの50!?」
たったの50だった。この50という値は『lowest』の下のメンバーですらそれより高い戦闘力を持っている。
「おいおい…そんな戦闘力だと『lowest』ですら苦戦するじゃないか…」
「と言ってる炎蔵も戦闘力50くらいしかないじゃない。」
雷華は皮肉ったように言った。
「はあ…!?でもお前も戦闘力50くらいしかないじゃないか!」
「あ。」
三人の戦闘力を見て憐は言った。
「やはり君達は戦闘力があまり高くないから戦いとなると危険だな。」
「……決めた。これから君達は特訓をしてもらう。」
その言葉にミズホはピンと来ていなかった。
「…?え?でも今は『LDCO』が…」
「そこら辺は気にしなくていい。私の才力で君達をLDCOが干渉できない位置に移動させるからな。」
憐の才力は「人や物をどんな場所にでも移動させる才力」。だがそれ以外にもあるようで…?
「動符『干渉不可能地域』」
憐の才力で三人は闘技場のような場所に移動した。
「…え?此処は?」
「此処は私達以外が干渉出来ない所だ。『LDCO』も此処には来る事が出来ない。」
「因みに此処で何分過ごそうが、現実では一秒も経っていない。」
「…此処の説明はこれくらいだな。それでは特訓を始めるぞ。」
「それじゃあまずは…ミズホ!君が戦うのは…」
「(え?私?まだ準備が整っていないんだけど。)」
しかし、心の声なんて分かるはずがない。憐はミズホと特訓をする相手を呼ぶ。
「すまん。陽佳奈。ミズホの相手になってやれ。」
「え〜?ねいちゃんと?ねいちゃん弱すぎて相手にならないよ。」
特訓する相手は古川陽佳奈。ミズホの妹的存在である。だが、性格は強気で姉のような冷静さはないかもしれない。
「その点は安心しておけ。もし、陽奏が無理なのであれば、君の双子の弟である、黒介を呼ぶからな。」
「まあそれだったら良いかな〜黒介は努力が得意だし。」
古川黒介はネガティブな陽奏の弟。だが、陽奏とはそこまで仲が悪くないらしい。最も強気な彼女に苦労もしている。少し話すのが苦手。
「………はぁ…」
「父さん……なんでぼくを…わざわざ……」
黒介は「此処」に謎に呼び出された。
「…… 陽佳奈姉ちゃん!?」
「あ、黒介!父さんがあなたのこと、呼んでたよ!…それとねいちゃんも。」
「……父さんと……ミズホ姉が……?」
「(ちょっと待ってよ!私、黒介の事呼んだっけ?絶対、憐父さんがやったでしょ!)」
ミズホは一人で焦る。そして今更な疑問を聞いた。
「憐父さん。今更気が付いたけど雷華と炎蔵は何処に行った?」
「…雷華さんと炎蔵君は今は此処にある…まあ観客席みたいな所にいる。」
「それより、黒介と陽佳奈が来てくれた。ミズホもこれからの事を考えたら特訓するべきだろう。」
「………それは確かに…」
ミズホは納得して、黒介と陽佳奈の所に向かった。
そして戦場に着いた瞬間、陽佳奈の目が変わった気がした。
「………ねいちゃん。」
「…陽佳奈。」
「わたしは努力をしていたの。あなたは知らないかもしれないけど。」
「確かにわたしは性格は良くないかもしれない。だけど、強い。少なくともねいちゃんよりは。」
「今、『LDCO』が突如強くなって世界を襲っている。」
「あなたの強さがどれくらいかは知らないけど…どうせ、三桁くらいでしょ?」
「……!」
図星だった。ミズホの戦闘力は50。三桁どころか二桁である。
「あ、もしかしてそれよりも弱い?…まあ仕方がないよね。」
「だって水属性の練習とかした事、無かったから。」
「おい!陽佳奈姉ちゃん……っ!」
黒介が止めようとする。だが…
「ごめんなさい。黒介。これはねいちゃんに必要な話なの。」
「その話が終わったら、特訓するから安心して。心配かけてごめん。」
「あ……そうだったんだ…じゃあそれだったら心配、いらないかな……」
黒介は一旦、観客席の方に向かった。
「…ねいちゃん。いいえ、」
「『古川ミズホ』。わたしはあなたが『LDCO』にボコボコにやられて下手したら死ぬというのを見たくない。」
「だからこそ────。」
「わたしがあなたの実力を確かめさせてもらうよ!」
こうしてミズホと陽佳奈の戦いが始まった。
此処では傷は受けるものの、死ぬ事はない。憐の所に行けば、傷はすぐに治る。
「(陽佳奈…私の事も知らずによくいけしゃあしゃあと…)」
「(そもそも陽佳奈はどうして私の事を心配するの?意味が理解できない。)」
「(まあいいよ。私は陽佳奈と戦うのみだから。)」
「喰らえ!光符『ライトフラッシュ』!」
先行攻撃を仕掛けたのは陽佳奈。まずはお手調べとばかりに目眩しの攻撃だ。
「うっ…!眩しい!」
ミズホは目がやられる。
「ふふ。これは最低限の光の量なんだけどね?下手したら『lowest』ですらこれより強い技を放ってくるよ?」
「まあまずはこのフラッシュの眩しさになれないとね?」
だが初めて喰らったせいなのか目は正常に戻らない。
「(白色しか見えない…陽佳奈も見つからない…それだったら…)」
「水符『ウォーターバレッツ』」
ミズホは単体を狙う技ではなく、全方位に攻撃可能な技を選んだ。目が見えなくとも、全方位なら当たるかもしれないと考えたからであった。
「へえ…なるほどなるほど。目が見えないから全方位で当たりやすい攻撃をしかけたのね?…中々やるじゃん。ねいちゃんの癖に。」
「だけど、弱いね。火力が。当たっても水鉄砲を受けたみたいだよ。」
「それじゃああわたしも攻撃させてもらうね?」
「……ミズホが追い詰められているな。頑張れー!ミズホー!」
「ええ。私達も応援しましょう!」
観客席の雷華と炎蔵はミズホを応援する。たが、憐は別だった。
「(ミズホ…陽佳奈を悪く思わないでくれ。彼女は…言葉足らずだが、ミズホの事を思っているんだ。)」
「(今はしんどくてもいつか必ず、それが本当になる。信じてくれないか。)」
ミズホに語るように言った。
「光符『シャイニングスターライト』」
「(この技は…陽佳奈の代表的な技だったかな。当たったらまずいから私の技で)」
「水符『大波来たる時』」
大波が陽佳奈の攻撃をかき消していく。
「へえ。ねいちゃん。中々やるね。でも、その技はかなり大規模。こんな技を使って終盤大丈夫なの?」
「強くないねいちゃんがさ。」
「陽佳奈が知ったような口を…私は古川家の長女だよ。長女にそんな口の利き方をした代償を与えてやる。」
ミズホはさらに技を使う。
「水符『水の恵み』」
「水符『水の怒り』」
「水符『水の喜び』」
三つの技でミズホの攻撃力、防御力が少し上がり、少し体力が回復した。
「これで私の体力は回復した。…容赦はしないよ。陽佳奈。」
──(バンッ)
「(さっきよりも強いね…ねいちゃん。ならばこちらも力を強くしよう。)」
「光符『ヒカリノカミの保護』」
陽佳奈はこの技により、攻撃力などの基本的なものが上がった。
「そして…光符『シャイニングスターライト』!」
「これでダメージを受けろ!ねいちゃん!」
「っ!まずい!すぐによけ…」
しかし、遅かった。
「グハッ!」
火力の上がったシャイニングスターライトをミズホは当たってしまった。
「(嘘でしょ…シャイニングスターライトは陽佳奈の代表的な技。つまりこれからこれより強い技が来る可能性もあるってこと…?)」
「ん?ねいちゃん何処に行った?って、ああ。シャイニングスターライトが強すぎて動けないんだ。」
「可哀想に。でも…」
「わたしは容赦しないよ!」
「…古川家奥義『古川家聖光式〜総合』」
陽佳奈がそう言うと、周りの景色が変わったような気がした。少なくともミズホにとってはそうだった。
そして陽佳奈は言葉を唱え始めた。
「わたし達を照らす光よ。この古川家の双子の姉に力を与えて下さい。」
「貴方達の力は偉大なものです。暗い所にいる人を照らせる。その上、暗い所にいる人を探せる。」
「その力のほんのわずかをわたしに与えてください。」
「…『第一光力解放』!」
陽佳奈の体が光に包まれていく。
「……嘘っ!?陽佳奈!?なんでその技を私の前でっ!」
果たして陽佳奈にミズホは勝てるのか──。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回は訓練編前半ですね。物語の最後では陽佳奈が古川家聖光式という技を使い、真の姿をミズホに見せます。
果たして力も速度も防御も圧倒的に上の陽佳奈にミズホは勝てるのでしょうか?
次回予告
光力解放で覚醒に等しい力を持つ陽佳奈。大ピンチのミズホ。そんな時、憐達がミズホにとある事を教えて──?




