幻のホーリースライム
―下水道にて―
ポヨン! ポヨン!
「フフフッ……かなり集まってくれましたね」
皆さんこんにちは、トムです。
僕は今、下水道にいます。
というのも例の計画3つ目、
モンスター牧場を作るために、モンスターが必要なので探しに来ました。
下水道に生息するモンスターは
スライム、吸血コウモリ、毒ネズミ、お化けミミズなどがいます。
その中で今回僕は、スライムを探しに来たわけですが、
なぜかスライムの方から僕に近づいて来るんです。
そのおかげで30匹ほど集まっています。
ですが変ですね?
スライムの色は普通水色なのですが、少し黄色みがかっているような……
……念のため、浄化してキレイにしてあげましょうか。
「浄化」
パアァァ!!
ピョンッ! ポヨン! ピョンッ! ポヨン!
……金色、ですね?
鑑定してみましょうか。
「鑑定」
名前:ホーリースライム
レベル:1
体力;10
魔力:11(1+10)
職業:なし
称号:なし
スキル:光属性魔術(Lv1):100%威力上昇(+10魔力)
伝説のホーリースライムでしたか。
……なるほど、分かりました。
僕が先ほど下水道を見渡す限り浄化した影響ですね。
おそらくですが、浄化による光属性の魔力に当てられて、
スライムの性質が変化したのでしょう。
それにしてもこのホーリースライム。
100年に1、2回発見される幻のスライムのようですね。
ホーリースライムを手にした者には栄光の未来が約束されるとか……
そういったウワサもあり、目の飛び出るような高値で取引されるようです。
……大変なことに気づきました。
ホーリースライムが下水道から流されてしまえば、
もちろん外の川に流れつくわけですが、
誰かに発見される恐れがあります。
1匹ならいいですが何匹も、となると、
不必要な注目を集めてしまいます。
急いで回収しなければ……
「魔力感知!」
…………
255匹のスライムが集まりました。
スキル:魔力感知を使ったので、
おそらく全て見つける事ができたと思いますが……
心配ですね……
~~~~~~~~
―????―
プニッ……プニッ……
「う、うぅ~ん……ハッ! ここは!」
俺が目を覚ますと、真横にスライムがいた。
負傷した俺にとっては、スライムでさえ危険だ。
だから剣を抜こうと思ったのだが……
プニッ……プニッ……
敵意を感じない。
というか、意外とかわいいな。
……はっ、死ぬ前に思うことがこれか……
俺は腹に手を当てながら苦笑した。
「……ん? 腹が?」
俺は腹に違和感を覚えた。
痛くない、そう思って腹を見るとすっかり治っていた。
「なっ!」
さっきまでは重傷だったはず……
いったい何が……
フニョン……フニョン……
愕然としている俺に、スライムが近づいてきた。
そして……
パアァァ!!
「こ、これは! 光属性魔術! するとこのスライムはまさか!」
その時俺はやっと気づいた。
スライムにしては色が黄色っぽいことに。
そしてその正体に。
ホーリースライム255匹を手にしたトム。
トムの浄化が予想外の効果をもたらしたようだ。
しかし、取り逃がした1匹が「何者か」に見つかってしまった。
ただこの「何者か」、深い事情がありそうだ。