<あらくれもの が あらわれた!!>
ピィピィ……ピィピィ……
「……鳥のさえずりが心地よいですね」
みなさん、おはようございます。
魔改造ゴーレムのトムです。
これから身分証になるカード、
冒険者ライセンスを発行してもらうために
冒険者ギルドへ行きます。
楽しみですね。
~~~~~~~~
ー冒険者ギルドにてー
ガヤガヤ……ガヤガヤ……
「よっ! リリーちゃん! 今日もかわいいな! よかったらデートにでも……」
「駄目です」
「そんなぁ~」
ヒソヒソ……
「アイツまたやってるよ……」
「まったく……懲りないヤツだな……」
冒険者ギルドはいつも騒がしい。
ドシッ!!
「なんじゃ! ぶつかってきおって!」
「あん? 小さくて見えなかったよ! 悪かったな! ハハハ!」
「なんじゃと!?」
たまにこうして小競り合いも起こる。
「今日のクエストは何やる?」
「う~ん、そうだな……あ! これとかどうだ!」
「……悪くないな。じゃあみんな! 今日はこのクエストでどうだろうか!」
「いいね!」
「さんせ~い!」
そして冒険者は、複数人のパーティーを組んだりもする。
これが冒険者ギルドの日常だった。
「リリーちゃん、気が変わったらいつでも「しつこい男は嫌われますよ」
ハイ……」
「なにが小さいじゃ! オマエこそ実は肝っ玉小さいの知っておるぞ!」
「テメェ……」
そしてこの日、冒険者ギルドに一人の男が訪れた。
ギイィィ…………バタンッ
コツッ……コツッ……コツッ……コツッ……
「あ?」
「え?」
「わぁっ……イケメン……」
「リリーちゃん!?」
なにをかくそう、トムである。
「な、なんだアイツ……」
「強そうだな……」
「身長あって顔もいいのかよ、ケッ! つまらねぇ!」
「冒険者バッジは付けてないねぇ~、もしかして新入りかな~?」
「フンッ! 冒険者になりたいとかほざいたら叩き出してやるよ、ウィ~ヒック」
「やめとけよ……というか酔いすぎだバカ! 時間考えろ!」
コツッ……
……シーン……
冒険者ギルドが静まり返った。
ときおり、酔っぱらいのしゃっくりが聞こえてくる。
静まり返った冒険者ギルドの真ん中で、
トムは口を開いた。
「冒険者になりたいのですが、担当の方はどなたでしょうか?」
「は、はいっ! 私になります!
え、えっと、リリーと言います……よろしくお願いします……」
「こちらこそよろしくお願いしますね?
僕はトム、と言います。お見知りおきを。」
「かっこいい名前ですね!」
「いえいえ、それほどでも……」
「あ……あぁ……俺の、俺のリリーちゃんが……」
「いやお前のじゃないだろ……」
「アイツ……気に食わねぇな」
「これはちょっとねぇ~世間は許しちゃくれやせんよ~」
「ウィーヒック……叩き出してやるか」ゴトッ……
「やめとけやめとけ! なんかヤバい気配するし、関わらないほうがいいって!」
「どけ」
「あぁ……もう知らないぞ……」
「お、アニキ、ヤるんですか? 俺もついていきますよ?」
「ケケケッ! アイツのツラをぶん殴りてぇところだったんだ!」
ドタドタドタドタ……
「おい! テメェ! ちょっとツラかせや!」
<あらくれもの が あらわれた!!>
早速ごろつきに絡まれたトム。
トムの見た目の良さを気に食わない冒険者がいたようだ。
だが噛ませ犬、やられ役としか思えないごろつき達。
はたしてトムに勝てるのだろうか?




