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神々の戦いに首を突っ込む事にした俺の異世界闘争記  作者: こってり
第一章【神との旅路】
2/2

修行? したよ十九年間

 夢を、見ていた。


 異世界に俺が転生する前の、前世最後の記憶。


 俺が『俺』として生まれ、新たにガイウス・ヴォイドという名を与えてもらう前の記憶。


 思えば色々とあったもんだ。


 神様を名乗った彼女、アリシア・ランドークの名を教えてもらい。


 新しい世界で生きるのだから、とアリシアから名を授けてもらい。


 彼女の名を知れた事と新しい名を貰えた事に喜んでいると、よくよく自分の身体を確認してみれば赤ん坊にされていて。


 転移じゃなく転生なんだからこれで正しいんだろうが、絶世の美少女と言っていいアリシアに例え赤ん坊の姿でも素っ裸を晒すのは恥ずかしいと羞恥に苛まれ。


 そんな俺の様子は念話に似た念話っぽい何かでアリシアに筒抜けで。


 アリシアもまた、共感性羞恥とでもいうのか、羞恥に苛まれる俺の姿を見てなんか恥ずかしがっていた。


 まぁ、その様子はとても可愛かったので結果オーライだが。


 素っ裸を晒した甲斐があったという物だ。



 そんな、絶妙に変な空気から始まった俺の異世界ライフは本当にドタバタとしていた。


 赤ん坊の頃は肉弾戦が出来ないから、と齢零歳から魔法の特訓をさせられたり。


 転生から五年ほど経ち魔法もそこそこ使えるようになった途端『何においても資本は自分の身体よ』とアリシアが言い出し、いきなり超が付くほどのハードな特訓をさせられたり。


 こっちはメンタルアラフォーとはいえフィジカル五歳児なんだぞ。


 そこからさらに五年ほど経ち身体能力に磨きがかかった頃『じゃあそろそろ対人戦を学んでいきましょ♪』とアリシアが言い出し、いきなり死を覚悟するほどの組手をさせられたり。


 メンタルアラフォーとはいえ涙が出そうになるほど、いや実際何回か泣かされる程キツかった。


 起きている間の殆どをアリシアとの組手で過ごす生活を五年ほど過ごし、アリシアにようやく一本取れるようになった頃『じゃあ次は冒険者として色んな経験を積んでいきましょ』と言われ『やっぱ異世界と言えば冒険者稼業だよな』と意気揚々とアリシアと共に冒険者になったりと。


 メンタルアラフィフとはいえ少年の心はいつだって胸に宿しておきたい。


 だって男の子だもん。


 そして冒険者になってから四年経ち、本当に色々な経験を積めたと思う。


 主に高難易度の依頼ばかりを選ぶアリシアのせいで。


 それはともかくとして。


 この十九年間、前世の事を思い出す余裕もない程だったのに、今になって夢を見るという事は、やはり俺も無意識に覚悟を決め始めているという事なのだろうか。


 転生する前、彼女が語った神々の戦い。


 それは俺が転生してからすぐに始まるものではなかった。


 これに関してはとてもありがたかった。


 お陰で戦闘訓練を積む事が出来たのだから。


 だが、その戦いの火蓋が切られるまでの時間は、もう残り少ない。


 おおよそ一年。


 それが神々の戦いまでに残された時間。


 正確な時間が分からないのは、アリシアが実はポンコツな神様だった、という事ではなく全ての神がそうらしい。


 なんでも出来るだけ戦いを公平公正に行う為の措置らしい。


 ちゃんと時間を決めた方が公平公正なんじゃないのか、と俺は思うが、まぁ、神様の感覚なんて俺には推し量りようもないのでそういう物なんだろう。


 とにもかくにも、俺とアリシアに残された時間は少ない。


 この残り一年をどう使えば神々の戦いを有利に進める事が出来るのだろうか。


 目下一番の課題と言えば――。



「ガイウスー? 朝だよー、早く起きてー」


 ぼんやりと、夢から覚めた後考え事を巡らせていた俺をアリシアが呼ぶ。


 アリシアが起こしに来る時間になるとは、随分と長く思考に浸っていたらしい。


「もう、まだ寝てるの? 早く起きないと、強めにいくよー?」


 強めにいく、その言葉を聞いて背に冷たい物が走る。


 まずい、寝起きにアレを喰らうのは、いや、寝起きでなくともアレを喰らうのは絶対に避けたい。


 ベッドから飛び起き手早く身なりを整える。


 そうして転がるようにドアを開ければ。


「わ、そんなに慌ててドアを開けたら危ないよ!」


 ドアの前には、絶世の美少女が待っていた。


 右足に魔力を纏わせながら。


「あぁ、悪いアリシア。それはそれとして、ここは宿屋なんだから、あんまり、な?」


 アリシアの右足をちらりと見て、遠回しに強めにするのは止めてくれとアピールする。


 だが当のアリシアはどこ吹く風で。


「大丈夫だよ。これでも力加減が得意なのは知ってるでしょ? 宿に被害を及ぼす事なく正確にガイウスだけを打ち貫くぐらい訳ないんだから」


 ニコニコと楽し気に、それこそ今すぐにでも右足で俺の鳩尾を打ち貫こうか言わんばかりの様子だ。


 本当に勘弁してほしい。


 一度アリシアを怒らせて彼女の『強めにいく』を喰らった時は、マジで三日三晩飯が食えなかった。


「そ・れ・よ・り、何か言う事、ないの?」


 不意にニコニコ笑顔を止め、ジト目を向けてくるアリシア。


 そうだ、アリシアはこういう事をとても気にする。


 いや、とても大事にしていると言った方が良いか。


 まぁ俺としても無下にする気は毛頭ないし、むしろアリシアとの絆が育まれていくようでありがたい気持ちだったりもする。


「悪い、慌ててたから言うのが遅くなった。おはよう、アリシア」


「うん。おはよう、ガイウス。おかみさんが朝ごはんを用意してくれてるから一緒に食べよ?」


 朝の挨拶。


 それだけで、もの言いたげだったジト目は可憐な笑顔の形になる。


 やっぱ可愛いわ。



「やっぱり俺としては、最低でもあと二~三人の仲間が必要だと思うんだよ」


 宿のおかみさんが用意してくれた朝飯をアリシアと囲みながら、俺は一年後に迫った神々の戦いに向けての問題点を口にした。


 ちなみに今口にしているのは根菜やら肉やらが豪快にぶち込まれたスープだ。


 大きめにカットされた根菜はゴロゴロとしてボリュームがあり、根菜に負けず劣らずの大きさの肉もかなりの物だ。


 味も具材の大きさと同じように大味、かと思いきや以外と繊細な風味を感じさせる。


 魚介系の出汁、まではなんとなくで分かるのだが、それ以上何でこの風味を出しているのかは分からない。


 まぁ、とにかく言える事は、このスープは量も味も大満足って事だ。


「仲間、かぁ。ガイウスの言いたい事も分かるけど、それに関して私の答えは変わらないかな。下手に人員を増やすより、私達二人のコンビネーションをもっと極めるべきだと思う」


 対してアリシアが口にしたのは仲間不要論だった。


 アリシアの言う事もまぁ分かる。


 新しく仲間を迎え入れれば、新たな戦略やコンビネーションを考える必要性が出てくる。


 神々の戦いまで残り一年という際どい時期に、だ。


 当然たった一年しか共に行動していない者と、十九年共に過ごした俺とアリシアとでは、信頼の積み重ねや互いの実力への理解度などに大きな隔たりが生まれてしまう。


 それは互いの背を預け合う戦場では明確な弱点となるし、下手をすれば仲間内での不和に繋がりかねない。


 だからこそアリシアの仲間不要論も理解は出来るのだが……。


 ところで先程からアリシアが一口サイズに千切りながら食べているパンがとても美味しそうだ。


 クルミ、なんだろうか。


 何かの木の実を練り込んだパンはどうやら焼きたてのようで、アリシアが千切る度に芳ばしい香りがこちらにまで漂ってくる。


「それに、もうこの時期じゃ大抵の強者と呼ばれる人達は他の神の眷属として取り込まれてると思うよ?」


 アリシアが提起したのは、新たに仲間を迎えるにあたりそもそもの問題として戦力に数えられるような人材は既に他の神の眷属として迎えられているのでは、という物。


 もちろんそれは理解している。


 だがしかし、やはりパーティーメンバーが二人だけというのは単純に心細い。


 戦いが数の多寡で決まるとは思わないが、それでもやはり戦いは数だろう。


 それに加えて神々の戦いにおけるルールによって、俺は他の神と戦う場合、一対一で戦わなければならない。


 一対一、つまりアリシアからなんの援護も受けられなくなるのだ。


 それはそうとアリシアが食べてるパンが本当に美味そうだ。


 スープのボリュームが結構あるからとパンは頼まなかったが、後で一つ頼むか。


「それは分かってるよ。でもやっぱりさ、相手方の神とタイマンを張らされるのは勘弁願いたいっていうか……。それにもし相手が武神の逸話や戦神の権能を持つ神だったりすると、俺だけじゃ秒ももたないって」


 神々の戦いにおけるルール其の壱、『神は神と戦うべからず』、そして神々の戦いにおけるルール其の弐、『必ずや己が加護を与えた眷属を以て他の神を討つべし』。


 これらのルールによってアリシアは直接他の神とは戦えない。


 例え決定打を打たない援護のみであっても、だ。


 故にパーティーメンバーが二人きりの俺達は、必然的に俺が他の神とタイマンを張る事になる。


 正直冗談じゃないと思う。


 神と相対する恐怖は骨身に沁みている。


 転生する前、アリシアとの問答で彼女から浴びせられた死の恐怖だけでも転生を拒みたくなるくらいには恐ろしかったのだ。


 あれが俺に拒絶の言葉を吐かせる為、多分に自身を恐ろしく見せる為にアリシアが行ったパフォーマンスであるという事を加味しても、この戦いにおいて神と相対するという事はあの時以上の死の恐怖との戦いになるだろう。


 そんなものを、俺一人で受け止める事など出来ない。


 俺は再三アリシアにそう進言しているのだが……。


 ところで先程からアリシアは千切ったパンを俺に差し出している。


 俗に言う『あーん』という奴だ。


 どうやら俺の物欲しそうな視線に気づいていたらしい。


 その厚意はとても嬉しいが、アリシアはどうにも俺の事を歳の離れた弟程度にしか見ていない節がある。


 そりゃ見た目十代半ばに見える姿でも神は神だ。


 恐らく生きてきた、いや、存在してきた年数は俺のメンタル的な時間の十倍なんかを遥かに超えた時間なんだろう。


 赤ん坊として転生してからしばらくは、やれ『体が小さいと汗を拭くのも一苦労でしょ? 私がやってあげるね』だの。


 やれ『あらら、泣いちゃった? ま、精神がいくら成熟してても体は赤ちゃんだからね。しょうがないよ』だの。


 そもそもこの件で俺が泣いてしまったのはアリシアに魔法の使い方のコツを聞いた時『コツ? やっぱり自分の身体で受ける事、かな? じゃあやってあげるね。大丈夫、いくら何でも直接当てるなんてことはしないし、私魔法のコントロールには自信があるの!』などと言い出し、俺の頬スレスレに風の魔法をブッ放してきたからだ。


 いくらメンタルアラサーといえど怖い物は怖いし、アリシアがブッ放した魔法はもう少し位置がずれていれば顔が横に真っ二つになる威力だったのだ。


 泣くに決まってるだろ、こっちは赤ちゃんなんだぞ。


「どうしたの? 食べないの?」


「その小首を傾げる姿は最高に可愛いけどさ、流石にもうやめてほしいっていうかさ。普通にその一口じゃ足りないから自分の分は自分で頼むよ」


 などと、子離れできない母親と一人前ぶりたい子供のようなやり取りをするのは日常茶飯事だ。


「……そっか、そうだよね。ガイウスも、もう十九歳になったんだもんね。フフッ、自分の事を自分でやれて偉いぞ」


 少し寂し気な顔をして、それでも成長した子供の姿を見て考えを改めた母。


 のような雰囲気を出すのは本当に止めてほしい。


 宿のおかみさんに至っては『お姉ちゃんを困らせるんじゃないよ、ほらアンタの頼んだパンだよ』等と言って俺の口にパンを押し込もうとしてくる始末だ。


 ぶっちゃけ見た目十代半ばの美少女に母親面されたり姉面されたりするのは中々にキツい。


 そりゃ前世の世界じゃバブみだなんだと、色々な性的趣向があったが。


 俺はそもそも前世の時点でそれらにティン! と来ない人種だったのだ。


 だから先程からのやり取りは普通にキツい、というかこんな話をしている場合じゃないんだ。


「いや、そういうのはいいから。とにかく、俺はこのままじゃ他の神とタイマン張らなきゃいけない現状をどうにかしたいんだよ」


「もう、私からすればガイウスはまだまだ子供みたいなものなんだし、そんなに邪険にしなくても良いのに。それはそれとして、ガイウスの心配事だけど、私は大丈夫だと思ってるよ」


 自信ありげに、アリシアが不敵な笑みを浮かべる。


 可愛い。


「そのように私が鍛えました。って?」


「そう。私たちには二十年しか鍛える時間は与えられなかったけど、だからその分ガイウスには一対一で武神や戦神と戦っても勝てるように鍛えてきたつもりだよ」


 そりゃ俺だってこの十九年間、本当に血反吐を吐くような経験を積んできた。


 それも正真正銘神であるアリシアの指導の下で、だ。


 だが、それでも。


 俺はそれだけじゃダメだと思っている。


 いや、思っている、というより。


「……それとも、もしかしてガイウスの勘がそう言ってるの?」


 太鼓判を押す言葉にも心晴れず、むしろ不安を増した俺の胸中を読み取ったのか、アリシアが気遣わしげに俺の顔を覗き込む。


 可愛い。


 それはそれとして、ずばり彼女の言う通りだ。


 これは勘だ、ただの直感。


 しかし俺は転生してからこっち、この直感に何度も助けられている。


 それこそ神であるアリシアに『もしかしたら転生した時に偶発的に目覚めた異能、もしくは眷属としての権能かもしれないね』と、アリシアにも権能クラスの能力であると太鼓判を押される程に俺の勘は当たる。


 だからこそ神とタイマンを張りたくないという俺の超個人的な思いは別としても、仲間は必要だと考えているのだ。


「そっか、ガイウスの勘、か……。うーん、これは中々難しいね。さっきも言ったように私個人としては仲間は必要無いと思ってるけど、ガイウスの勘は怖いくらいに当たっちゃうからなぁ」


 顎に人差し指を当て、悩まし気に眉間に皺を寄せて唸るアリシア。


 あれはアリシアが本当に困った時に見せる仕草だ。


 あの仕草も可愛いな。


 というかアリシアは見目がめちゃくちゃ整っているからどんな仕草も映えるし可愛いし美しい。


「だろ? 自分で言うのもあれだけど、今まで俺の勘は外れた事がない。だからやっぱり仲間は必要だって」


「……ふぅ、分かった。そこまで言うなら仲間、探してみよっか。それに私もガイウスの勘は絶対に外れないだろうなーって思ってるし」


 最後の一口を食べ終えたアリシアが唇を舐める。


 飯を食べ終わった後に唇を舐める癖ははしたないから止めた方がいいと何度も言ったのに。


 そもそもからしてアリシアみたいな美少女に目の前でそれをやられると情緒が破壊される。


 この十九年何度破壊されてきたか。


「その癖止めなって。それはそうと、やっと首を縦に振ってくれたな」


「そりゃガイウスの勘がそう言ってるなら、ね。私もガイウスの勘には何回も助けられたし。っていうか、どうして今まで『自分の勘が仲間を探すべきって言ってる』って言わなかったの?」


 癖を咎める言葉に、茶目っ気たっぷりにウインクをしながら舌を出すアリシアの姿は本当に可愛い。


 むしろこの仕草を見る為だけにアリシアの癖を咎めているのでは? と自問してしまうくらいには可愛い。


 まぁ、そんな俺のアリシア観察は置いておいて。


 何故今まで勘の話をしなかったか、と問われれば、今まで俺の勘はそんな事言ってこなかったから、としか言えない。


 つまり、今日このタイミングこそが最もベストなタイミングだったのだ。


「そりゃ、今日この日にアリシアに伝えるべきっていう事なんだろ。俺はそう解釈してる」


「……そっか。タイミングまでわざわざ計ってくれるなんて、なんかもう予言じみてるね」


 予言、か。


 確かにそんな力が目覚めてるなら大助かりなんだが、目覚めてるならそもそもとして任意のタイミングで使用出来ない仕様はどうにかならんものか。


 自分の好きに使えれば、路銀も簡単に稼げそうなんだが。


 まぁ、そこまで便利な能力でもないからこそ、この勘が働いた時は確実に動くべきって分かりやすくもあるんだが。


「予言だって言うなら、尚の事今動き出さないとな。とりあえずこの辺りに手練れがいないか、宿のおかみさんにでも聞いてみよう」


 最後の一口になったパンを飲み込み立ち上がる。


 パンが持つ香ばしさと甘み、木の実が持つ香ばしさと甘み、それらが喧嘩して打ち消し合う事無く調和していてとても美味しいパンだった。


 だが、やはりというか。


 朝から少し量が多かったかもしれない。


「もう、食べすぎで肝心な時に動けなかったらどうするの? やっぱり私が上げようとした一口で良かったんじゃない?」


 少し重くなった腹をさする俺を、アリシアはジト目で流し見しながら横をすり抜けていく。


 そんな仕草すら可愛いと思えてしまうんだから、アリシアって本当に美少女だよな、と当たり前の事を考えてしまう。


 前を歩くアリシアの背を見て、ふと思う。


 仲間を迎え入れるのは確定だが、それはそれとして、このアリシアとの二人の時間が無くなってしまうのを今更になって少し惜しいと思ってしまうのは、贅沢な悩みなんだろうか。


「贅沢な悩みなんだろうなぁ」


 だって俺は、アリシアとの二人の時間が無くなる事を惜しいと思いつつも、新たな仲間とはどんな人物達になるのだろうか、と少しワクワクもしているのだから。


「うん? なにか言った?」


 俺の独り言が聞こえたのか、アリシアは振り返って小首を傾げる。


「いや、これからアリシアを独り占め出来なくなるのは惜しいなって思っただけだよ」


「……そんなセリフどこで覚えてくるんだか」


「前世」


 俺の返答に呆れたように溜息を吐くアリシアだが、その耳が若干赤くなっているのを見逃す俺ではない。


 まぁ、その事を指摘する俺でもないのだが。


 表面上は怒った様子を見せつつも、アリシアがその実そこまで怒っていないのは端から見ても丸分かりで。


 話を聞きに来た俺達の様子を見た宿屋のおかみさんは終始ニヤニヤとしていたのは言うまでもない。


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