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ep.7 情報源

西暦2032年 4月6日 PM 15:10 新宿学生区


 白いカッターシャツに同じく漆黒のズボン。どこか古臭さの残る漆黒の白と赤のラインが入ったロングコート。その前胸あたりを結ぶ金色の紐。手には指抜きのグローブ。腰には使用感の残る漆黒のナイフと左越しに古い拳銃その横にコンパクトポーチ。右足に新品の拳銃。かなりの重装備である。


「ここか・・・・・・」


 今俺は新開発都市の一つである新宿区の学生区にいる。今の都市は、新開発都市に選ばれている都市の配置を見直し何区画かに区切る。だから区の場所が変わっていたり新しく作られたり無くなったりしている。そしてそれぞれの区に学生区を作るように義務付けられている。多くの学生がいる中で俺と一樹はある路地裏を調べている。血飛沫が飛び散ったそれを調べていると一樹が突然声をかけてきた。


「天音はこう言うのを見ても特に気分が悪くなったりしないんだな」

「え、あぁ…そういうのはないな・・・・・・」

「普通はこういうのを見るの苦手なやつ多いんだけどな」

「そういう一樹こそ大丈夫なのか?」

「俺か?俺は大丈夫だ。俺の能力的にこういう現場は慣れてる」

「そういえばお前の能力ってどんなやつなんだ?」


そう俺が聞くと一樹は肩をすくめながら


「そうすごい能力じゃない。特技みたいなレベルのやつさ。《得た情報を整理する能力》・・・・・・どこにでもある汎用能力だ」


 一樹は卑下しているがかなり有用的な能力ではないだろうか?でも確かポーチの中には・・・・・・


「でも一樹、お前ポーチにメモ帳入れてたよな?その能力があるならあらないんじゃないか?それに・・・・・・」


俺は耳元のインカムを指差しながら


「これのウィンドウにメモできるだろ?」

「インカムにメモするのはあまりな・・・・・・もし故障とかハッキングされた時困るだろ?」


 なるほど・・・・・・そういう可能性もあるのか。


「それで何か分かったか?」

「いや、訳がわかんねぇ。学園長はどうしてこのクエストを・・・・・・」


 あの後学園長からはあるクエストを渡された。学園長直々の特別依頼だ。受注条件は学園長に推薦された生徒及びSクラス生徒だけらしい。


「学園長の意図は読めないが、少なくとも俺たちになにか関係していて俺たちだけでは手に負えないってことだ」

「てことはSクラスに助けてもらうのか?」


 俺は首を振り肯定する。


「ん?」


 すると突然インカムがなっていることに気づいた。虚空にウィンドウを開くとそこには見慣れた名前が書いてあった。これはインカム直じゃなくて、端末の方にかけてきてるな。

 俺はそれをとり話しかける。


「もしもし・・・・・・」

『もしもし天音?聞いたよ、異学に入学したんだって?おめでとう!!』

「めでたくねぇよ、お前のその情報量なんなんだよ・・・・・・」

『アレ?そんな口聞いていいの?せっかくあなたが今調べてる事件の犯人の行き先がわかったのになぁ〜』

「・・・・・・・・・・・・」

『あ、まさか天音ももう気付いてたりする?《大量殺人犯》しかもその地域の人に気づかれないようにできるようなやつが行く場所なんて限られてるよね』

「・・・・・・・・・今どこだ?」

『ふふっ、新宿の商業区のファミレス』

「今行く・・・・・・」


 そう言って俺は通話を切り目的地に向かって歩き出す。


「んあ?どこ行くんだよ天音?」

「少し用事ができてな、先に学園戻っといてくれSクラスへの出撃許可取っといてくれ」

「あ、あぁわかった・・・・・・」


        *****


西暦2032年 4月6日 PM 15:55 新宿商業区


 俺がファミレスの中に入るとまず店員に驚かれた。そりゃそうだ黒い服着た男が足に拳銃装備してんだもんなごめん。俺は左胸、ロングコートにはいった学園のマークを見せその少女の元へ向かった。そこには金色の髪をおさげにしている少女がドリンクを飲みながらスマホをつついている。かなり絵になる風景ではあるが、そうも言ってられない。


「キララ」

「おっ、天音早かったね?・・・・・・それが任務用の服装?見事なくらい真っ黒だね。《昔のあなた》みたいに・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」


 コイツは苦手だ。俺の過去を唯一知る同年代。俺の過去を知っているのは両親とコイツ、そしてコイツの母親・・・・・・星夢ソフィア学園長だけだ。


「これはソフィアさんの皮肉かあるいはお前の・・・・・・」

「ううん、ただ似合ってるのは確かだから怒らないで?」


 両手を振って否定してくる彼女に俺はため息をつきながら小声で聞いた。


「犯人の居場所は・・・・・・」

「その前にまず座らない?いっぱい奢るよ?」

「・・・・・・・・・・・・」


 言われた通り席につきホットコーヒーを頼む。


「犯人の場所は天音の思ってる場所で間違いないよ。でも相手は能力者、正面から行けば返り討ちにあうよ」

「何か案があるのか?」

「1番いいのはSクラスの人に任せること。そして天音は学園で待機かな・・・・・・」

「でもそれじゃあ無理だSクラスのやつらじゃあの場所を自由に歩けない。道を知ってるガイド役が必要だ」

「・・・・・・そうだよね・・・」


 彼女は下をうつむきながら。


「・・・・・・また、いつもの天音で・・・・・・・・・変わらないあなたで戻ってきてくれるなら行ってもいい。でも!!」


 そう一言ついてから彼女は言った。


「私も行く」

「!?バカかお前!!お前が行ったら死ぬぞ!!」

「ならあなたはどうするの?また・・・・・・」


 彼女はその先を口にしなかったけど、自分にはわかる。その先の言葉が・・・・・・。


「Sクラスの誰かの元から離れない、学園長からの許可をもらう、この条件を飲むならいい」

「わかったわ、今から連絡とるね」


 そう言ったので俺はコーヒーを飲み干して立ち上がる。


「ありがとう、わたし天音のこと好きよ?」

「・・・・・・俺は嫌いだよお前たちが」


 そう言って俺はその場を立ち去った。俺は忘れてはならないのだ、あの夜のことを・・・・・・明日はそれをもう一度それを刻みに行く。あの時の感覚を取り戻すため・・・・・・。



天音の装備紹介


学園強化繊維衣服

 学園が研究した特殊セラミックを用いた衣服。耐久性が高く生徒が致命傷になることを防いでくれる。上から着るものはマント、コート、上着とさまざまであるが同じく特殊セラミックを用いているので耐久性には自信がある。


グリップグローブ

 指抜きの革手袋。グリップの力が強くものを握りやすくしている。


アクロバットブーツ

 どんな地形にも合うようなデザインに設定されており、軽い設計。足音も出にくく耐久性にも優れている。黒く染められているのはスパイ活動のためと言われており、静動システムは研究中でありこのブーツは試作機である。


インカム型特殊作戦用通信デバイス

 学園が総力を上げて開発した通信装置。何もないところにホログラムを作り操作盤として使えるなど最新鋭の技術が使われている。

 端末と接続することで端末で使用できるアプリケーションを全て使用できる優れもの。防水防塵もかなりの物のようだ。音質もかなりいい。


コンバットナイフ

 柄は手に馴染む使用感のあるものを使用されている。刀身は改められ数種類の金属を特殊な工法で配合して打った学園特性のナイフ。耐久性と確実なグリップ力、程よい重さが手に馴染む一級品。


FN Five Seven

 5.7mm弾を用いる貫通力に優れた拳銃。拳銃の中で最も高い威力を誇る使い所の難しい品物。所々汚れており誰かに使用されていたのは確実だ。


CZ75 Anesthesia Mode

 学園が改造した特殊作戦用麻酔銃。マズルに消音性の高いサプレッサーをつけている。しかし構造上の問題から1発1発スライドをコッキングして薬室に弾丸を入れなければならない。麻酔薬も特殊なものを使用しており心臓や脳に近いところに当たれば即座に麻酔できる。


コンパクトポーチ

 容量の小さい分軽くて持ち運びがしやすい。中にはサプレッサーの予備や携帯端末、ドリンク、拘束器具、マガジン予備などが入っている。


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