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ep.5 転校とは時にトゲのある行為である

受験勉強が忙しすぎる件について詳しく・・・・・・

「はぁ・・・・・・」

「ちょっとお兄ちゃん!!そんな幸せが逃げちゃいそうなため息つくのやめてよ!」


 そう言って俺の目の前の空気を掴むようにして何かを集める痛い少女。


「妹よ、そういうのを外でするのやめないか?お兄ちゃん耐えられないよ?」


学校の正門・・・・・・それは学校の正面入り口。たくさんの生徒がこの門を利用する。入学式ともなれば親同伴の家族だっていることだろう。そんな今日この頃ある兄妹が二人そろって『同じ』デザインの制服を着ている。


 今日の日付は4月6日葵の入学式だ。



       *****


西暦2032年 4月2日 AM10:06


「先生俺もう帰っていいっすか?」

「ダメだ。まだマグネシウムと吹き上げ花火を無断使用した罰が済んでないだろ?」


今日、俺は朝の7時から自分の通う【月宮高等学校】の物理準備室にて先生がやるべき新学年の資料作成と実験準備もろもろを手伝い(9割がた俺がやってる・・・・・・)をしている。


「無断使用件についてはコンビニスイーツ10個で許してくれたじゃないですか!!」


おかげで俺の金がいくら飛んだと思ってんだ!!


「まぁ、そう怒るな・・・・・・。天音にはいい話を持ってきたんだ」

「いい話・・・・・・?」


 まずいな・・・・・・こう言う話を持ちかける彼女は限って『悪い』話を持ってくる。例にならって俺は今回も身を構えその話を聞くことにする。


「実はな私の転勤が決まった」

「・・・・・・は?今なんて?」

「だから私の転勤が決まったって」

「はい聞きましたよ?それのどこに俺にとってのいい話があるんですか・・・・・・?」

「まぁ聞け。まず私の転勤先だが『異能学園』への転勤が決まった」


異能学園・・・・・・つまり先生は


「先生も何か能力を・・・・・・?」

「まぁね。5年くらい前から持ってはいたんだがそのときにはここに勤めてたからそっちに行く気は全くなかったんだが、どうしてもと言われてはな・・・・・・」


 つまり先生はこの学校から消えると。確かにパシリ扱いから解放されるのはいいけど先生が消えると結構真面目に孤立するんだが?いやまぁ今も孤立はしてんだけど・・・・・・学校で俺に日常会話を挟むやつが一人もいなくなってしまう。・・・・・・あんまり辛くな、いや辛いなうん。


「そこで朗報なんだが・・・・・・天音、お前もこっちの学校に来ない?」

「頭のネジはずれてんじゃねぇか?」

「教師に向かって何を言う・・・・・・!!別におかしなことは言ってないだろう?」


言ってるんだなこれが。

 つまりは何か?先生の転勤についていくと言うことか?


・・・・・・おかしくないか?


     

       *****


 そんなわけのわからない理論のもと転校という形で来たわけだけど・・・・・・。


「なぁ、お前どんな能力使えんの?」

「俺は物を凍らせる能力だお前は?」


「重力を動かせるの!?すごーい!!」

「まぁ、僕にかかれば簡単なことだよ・・・」


すげぇ、すごく居づらい。なんで俺ここにいるんだ?場違いすぎてなんか色々ヤベェ。


「ねぇ君たち君たちはどんな能力持ってるの?」

「え?」


唐突に話かけられたものだからバカみたいな声出たじゃないか。友達いないんだから配慮してくれよ!転校するってのに1人も「さようなら、またどこかで会おうぜ!!」って言ってくれなかったんだぞ!?何それ泣きそう!!


「ぼくは周囲の温度を上げる能力だよ。上限は30℃くらいだけどね・・・・・・。きみたちは?」

「私はどんなものでも治すことのことのできる能力だよ!」

「噂のデウスディザスター!?アスクレピオスかよ!!」


途端にあたりはこちらを・・・・・・正確には葵を見ながら何やらヒソヒソ話をしている。あれだ、ラノベやアニメでレアスキルやらすごいステータス引き当てたときに注目されるあれ。


「こりゃすげぇな・・・・・・アンタは!?彼氏?友達?かは知らないけどどうなんだ!?」

「俺は・・・・・・」


俺は・・・・・・・・・


「能力は無いんだ」

「能力がない・・・・・・?」


 辺りでヒソヒソ話をしている・・・・・・。世界ってこうも人に対する温度差が違うんだなぁ・・・・・・。


「そ、そうなんだ・・・・・・珍しいな・・・・・・じゃあ俺入学式があるからじゃあな!」


入学式って・・・・・・新入生なら一緒にするんだから逃げる言い訳にはならないぞ?


「それじゃあ葵、俺は先に2年の教室に行ってくるからまたあとでな」

「うん、行ってらっしゃいお兄ちゃん!!」


       *****


「すぅ〜、はぁ〜〜〜」

「なんだ、緊張してるのか天音?」

「先生こそいつもはジャージに白衣着てるくせに今日はスーツなんですね」

「大人だからな」


大人は関係ねぇよ。

 そう心の中でつっこむと先生は教室の扉を開けて中に入っていった。俺は後続組だ入れと言われれば入る。


『みんなはじめまして、今日からここ2年F組の担任を担当する西条友梨さいじょう ゆりだよろしく』

パチパチ

『ありがとう、では今日の予定を・・・・・・』


 そこから連絡事項が続く・・・・・・その間に『なかなかいい先生だな』とか『俺タイプかも』とか言う生徒の声が聞こえたのはまた別の話だ。


『最後の連絡だがこのクラスに転校生が来ることになった。あま・・・柏木入ってこい』


その声を聞いて俺は扉の前で深呼吸をした。中からは『どんな子だろ〜』とか『美少女だったら良いな!』とかなんとか言っている声が聞こえる。ごめんな美少女どころかパッとしない陰キャなんだわ。

 そうして扉に手を掛け横にスライドして開ける。扉を閉め教卓の前へ行く。当然だが教室内の全員が俺に注目している。緊張しながらも教卓の上に置かれた端末に名前を打ち込み位置を調節して表示させる。この学校の黒板は全て強化液晶で端末のデータを表示させたり黒板のような使い方もできる(さっき教えてもらった)らしい。このシステムはまだこの学校でしか実装されておらず、全国への普及は約3年後と言われている。


「星王高校が来ました柏木天音です。よろしくお願いします」


パチパチと拍手されたのち席を指定された。自分の席は窓際の1番後ろ特等席だ。


「よし、それじゃあ用意して体育館へ行け」


その指示のもと俺はカバンを机の上へ置き体育館へ向かう。葵の入学式を見に行くぞ。

昨日は(11/3)文化の日何の日かは・・・・・・忘れちゃった。

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