優しい人を見ると私も優しくなれます
またダメでした。
もう何度目か分からないほどの挑戦はダメでした。
どんなに急いでも、
どんなにのんびりでも、
またダメでした。
私のイライラは日に日に大きくなります。
私は何故こんなにイライラしてると思いますか?
誰でも一度はイライラするものです。
それは…………
赤信号です。
毎日通る交差点の信号機はいつも私をイライラさせます。
仕事へ行く時、赤信号。
仕事から帰る時、赤信号。
急いでいる時、赤信号。
待ち合わせに余裕をもって出た時も赤信号です。
私に対しての嫌がらせではないのかと思うほど赤信号で止まります。
イライラするならこの交差点を通らないようにすればいいと思いました。
その日はイライラはしませんでしたが、交差点の信号機のことが気になっていました。
毎日見る赤信号が私のルーティンになっていたのかもしれません。
その日の帰りはあの交差点を通ることにしました。
やはり赤信号で止まりました。
でも、今日はいつもと違います。
いつも横断歩道は誰も通らないのに、今日は小学生とおばあさんが渡っていました。
ゆっくり歩くおばあさんを小学生の男の子が支えながら渡っています。
いつもイライラして待っている私もこの光景を見ると何故か優しい眼差しで見守っていました。
すごく微笑ましいです。
二人は少しだけ青信号には間に合わず、車に乗っている私達を少し待たせました。
ちゃんと渡りきった二人を見届け、私は車を走らせようとしたときです。
小学生の男の子が私達に頭を下げ一礼をしました。
おばあさんの為に頭を下げたこの男の子は、大人でもできないことを普通にしたのです。
私は驚きました。
私もお返しに一礼をして進みます。
その後もう一つ私は驚きました。
ルームミラーで通り過ぎた男の子とおばあさんを見ると二人は別々の方向に歩いています。
二人は家族ではなかったようです。
ただ男の子がおばあさんを助けていたのです。
この男の子の将来が私は楽しみになりました。
そして、私はこの信号機の意味を知りました。
この信号機の赤色はこの男の子とおばあさんの為にある信号機だと。
そんな理由で信号機がつくとは思えませんが私はそうだと思いたいです。
だって毎日通るこの交差点はやっぱりいつも赤信号なのですから。
読んで頂きありがとうございます。
寒くなってきたこの季節に心が温まるストーリーはいかがでしたか?
温かくなって頂ければ幸いです。