エピローグ:異世界へ。
よろしくお願いします。
日本の高校生で俺の名前を知らないやつは多分いない。
昨日ついに全国の有名ヤンキー校を締め上げ全国統一を成し遂げた。
入学式、全国屈指のヤンキー校「悪羅学園」の頭争いから始まり、関東を締め…
高校3年でついに俺は全高校生の中でトップになったわけだ。
「雄星さん!ついにやりましたね…」
「205勝0敗…オレ、雄星さんならやってくれると信じてました!」
「雄星、本当にやりとげるとはな…オレも鼻が高いぜ…」
一緒に戦ってくれた仲間、後輩は感極まっている感じだ。
思い返せば四年間、ケンカに明け暮れた毎日だった。
だが、これがオレの青春。これが怒剛 雄星の生きざまよ。
「雄星さんも今年で卒業っすか…オレらだけで悪羅をまとめていけるか不安っす…」
「なーに言ってんだバカ野郎、お前らはオレと共に全国を統一したんだぜ?
オレがいなくてもやっていけるさ」
「いや、正直全国を締めることができたのは雄星さんや先輩方の力があってこそっす。
先輩方が卒業すれば全国から復讐の旗を掲げて悪羅に全国の猛者が押し寄せてくるっす」
「その時オレらだけで悪羅を守れるか…」
「何弱気になってんだ!そん時は悪羅全員で返り討ちにすりゃいいんだよ。
お前らがそんなんじゃオレが安心して卒業できねえだろ?」
「そうだ。オレらの代は雄星がいた。全国統一は雄星がいたから成し遂げられたことだ。
次はお前らがおまえらの時代を作ってお前らのやり方で悪羅をデカくしていけばいいんだ!」
「……確かにそうっすね。今から弱気になってたんじゃ悪羅を守ることはできねぇ…
てめえら腹ぁ括れ!オレたちで新たな悪羅を作るんだ!」
「「「っしゃあす!」」」
うん、これで悔いはない。
これでケンカとは縁を切るが、オレは新たな世界で第二の人生を歩むんだ。
『あら、ここにイイのがいるわ』
『あぁ。新しい世界での生活を望んでいる。こちらに召喚しても文句はいうまい』
『ふふ。元気もよさそうだし、この子にしようかしら…』
なんだ?頭の中に声が響く…
「雄星さん?どうかしました?」
「いや、なんでもない。悪羅を卒業した後の生活を思い浮かべていたのさ」
『ほら、彼はこちらでの生活を思い浮かべるほど楽しみにしているみたいよ!』
『決してこちらの世界のことを思い浮かべてはいないだろうが…』
『いえ、彼は新たな世界での生活を望んでいる。
異世界での生活なんて正に彼の思い描いている生活に違いないわ!』
『ふむ、確かに。それならば我も心置きなく召喚が行えるというものよ』
なんだこの声は?
「だれだ?オレに話しかけているのは」
「雄星さん?」
『…この子もしかして、私たちの声が聞こえてる?
わあ、この子すごい!私たちの声が聞こえるみたいよ!』
『ああ。こやつはこちらの世界の適応度がとても高いようだ。
才能か、それとも精神が鍛えられているのか…』
『そんなのどっちでもいいわ!重要なのは…』
『召喚の成功率が格段に上がる…ということだな』
『私、彼気に入ったわ!』
こちらの世界?召喚?なんだ?何が起こっている?
『ふふ…やはり聞こえているようね。決めた!彼にしましょう!』
『うむ。異論はない。早速始めるとしよう!』
「まて!なにを始めるんだ?」
『ふふ。怖がらなくていいわ。あなたならきっと成功するわ。
そうでしょう?デウス。』
『ああ、心配は無用だ。貴様ほどの適応度があれば不安要素は皆無だ』
おい、何する気…
『聖なる時空の精霊よ…我が身に纏い、その大いなる聖力を我に与えたまえ!』
おいおいおい、なんか嫌な予感が…
『召喚!!!』
なん…だ?意識が……遠くなって……
『…………どう?成功?』
『ああ…成功だ。』
『ふふふ。さすがね』
『召喚する価値があったかどうかは彼の能力次第だが…まあ心配あるまい。』
『ええ。彼ならきっと我が国を救ってっくれるわ』
『………………』
『…………
こうしてオレは訳の分からぬまま意識を失ってしまった。
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かくしてオレは、異世界召喚されてしまったのだ。