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対策

魔女のガブリンの家から帰って・・。

 その日の夕食が終わって家族の団欒の時間になった時に、母さんに何を考え込んでいるのかと聞かれた。

「ガブリンの家から帰ってからおかしいわよ、ホリー。」

「そういえば口数が少ないな。」

これは、父さんと母さんに話していいことなんだろうか、リードだけに言ったほうが・・・。

「ホリー、言ったほうがいいよ。僕たちだけで解決できないだろ。この世界のことをろくに知らないんだから。」

リードに言われて話す決心がついた。私がガブリンに言われたことを皆に話すと、さすがに三人とも黙ってしまった。


「僕たちがここに呼ばれたことには何か理由があるのじゃないかと思ってたよ。だから早く言葉も覚えたかったし、経済的な基盤も作っておきたかった。・・・しかし、ホリーの言う戦士として呼ばれたんじゃないと思うな。戦いを求めているのなら僕達じゃなくて、もっと違う職種の人間を召喚するだろ。」

リードの言う事はもっともだ。私達には戦うすべがわからない。

「わしは・・・その話を聞いたら、わしらの子どもとしてのお前たちが選ばれたなら、わしらもその対抗する勢力に含まれるんじゃないかという気がしてきたよ。」

「そうね。速足の魔法が使えるダンテ、癒しの魔法が使える私、予知魔法が得意なホリー、アイデアと経済を知り尽くしたリード。この四人が選ばれし者なのかもしれないわね。」

「母さん・・。」


「・・ということは、だ。わしらは行動を起こすべきなんじゃないか?どうだ、リード。どう思う?」

「そうですね、ダンテ父さん。まずは隣国のスーバルタン共和国について父さんが知っていることを教えてもらえますか?敵を知らないことには対策が立てられませんからね。」

「スーバルタン共和国は、わしらの国クローバルの南東に位置している隣国だ。つまり南の町サウゼ、東の町ライヘンに一番近い国だ。スー人の治める国が一番大きくてわしらの国に近い所にある。後はバル人とタン人だがこの二つの国は小さい。この三国が共和国をつくっている。ライヘンの町の役人たちは、今回の騒動はスー人の大統領の独断だと言っていた。その大統領は、クローバルの南東の二つの町を支配下に治めたいと思っているらしい。だからわしらの国で政権が北のノスルの町に移行する時期を待っているんじゃないか。今年から来年に変わる時期が侵攻の時期ではないかと警戒していた。」

「まぁ、じゃあ四か月もありませんよ。」


「魔法使いが内紛に動き出した時期を考えると、役人が言っていることには信憑性(しんぴょうせい)がありますね。・・・ふふっ、母さん四か月あったら楽に国を潰せますよ。二日もあれば大打撃を与えられます。」

「リード、何か考えがあるの?!」

「ええ。僕に考えがあります。しかし、内紛を起こされては面倒だな。先にその暗い魔法使いを仕留めなければなりませんね。ホリー、三人のいる場所を先読みしてくれないか。」

・・・社長にこういう一面があったなんて。

「ホリー。」

「はっ、はいっ。【ザグルト フタリノマジョノ イルトコロヲ シリタイ】」


私の目の前にぶわっと黒い煙があがって、それがだんだん落ち着いてくると幾つかの建物が見え始めた。

中央に大きな建物が見える。

「屋根に金色の玉ねぎみたいなものが乗っかってる大きな建物が見える。」

「おいっ、それはライヘンの庁舎じゃないかっ。」

「・・・ダンテ父さん、これは直ぐにも動き始めたほうがいいですね。しかし、夜は危険だ。明日の早朝にライヘンへ行きましょう。父さんに先に走ってもらって、それを目印に転移できたらいいんですが・・。こればっかりは試してみるしかないな。最悪僕たちが間に合わなかったら、父さんは三人の魔法使いの危険性だけでも役人たちに注意勧告してください。」

「わかった。」

「ホリー、私たちは携帯食の準備をしましょう。」

「はいっ。」

「待って。ザグルという魔法使いはどんな魔法を得意としているのかな。ホリーはガブリンから何か聞いてる?」

「もともとは鍛冶屋だって言ってたから、火を扱ったり金属加工が出来るんじゃないかしら。」

「ふーん。厄介だな。」

「わしはルクト村の魔女のレジーナのことは知ってる。農家の娘でな土を耕す魔法を使うんだ。両親を早くに無くして良い縁が得られなかったらしい。」

「・・・それは気の毒ね。」

「まずはザグルを押さえることだな。・・母さん、相手は狂気の者だ。同情は禁物ですよ。」

「わかりました。気を付けます。」


みんなで遠出をする準備を終えてベッドに入ったのだが、私はなかなか寝付かれなかった。寝返りばかりをうっている私を見かねて、リードが後ろから抱きしめてくれた。

「大丈夫だ。なんとかなる。」

繰り返してささやくリードの声を聞いているうちに、やっと私は眠りについた。



リード・・・本領発揮?

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