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渋滞探知機

 トーリと優介の問答はまだ続く。


 「いいか、トーリ。君も発明家を目指しているのだろう? 一応は」


 一言余計だが、その通りである。


 「はい。私の事はいいですから。で? 私が実験体になる発明とは何なのか、教えて下さいっ!」


 「私は答えを言っているのだがな。私はストレスを無くす発明と言ったのだ」


 「そうですよ。渋滞によるストレスを軽減する発明ってことですよね!?」


 「君も分からない男だな! 軽減する発明ではなく「無くす発明」だよ!」


 「!!! そ、そんな事、無理じゃないのですか?」


 「無理だと思う事を成し遂げるのが私の発明だ。まったくトーリは何年ここにいるんだ」


 (まだ一年と半年ですってば! そんなに何年もいたらストレスで胃に穴があいてますって!)

 トーリは心の中で叫んだ。





◆関越自動車道


 「で? なんで私が付き合わされるのかしら?」


 助手席で少し不満げな表情なのは、トーリの同僚のレインこと「水田まり」だ。

 レインもまた優介独特の呼び名で研究所では定着している。彼女の場合、トーリと違い「レイン」と呼ばれ名を気に入っている。名詞にも記載する位に。レインは佐竹優介を尊敬している。彼女いわく「本物の才能」の持ち主だと言う。

 トーリはレインに想いを寄せている。ゆえに今回の実験にレインが同席してくれる事は、内心ではとても嬉しかった。


 「まあ、所長が仰るから仕方ないわ。ちゃんと務めを果たしましょう」


 レインはそう言うと小さなコンパクトをダッシュボードに取り付けた。コンパクトを開くと、そこには地図が映し出されている。さながら「カーナビ」だ。


 「それは?」

 カーナビは既に車に搭載されている。不思議に思ったトーリはレインに問うた。


 「これは渋滞探知機よ。過去の統計、全国の十二万社のデータ、天候による路面状況、イベントの動員予測数など大凡(おおよそ)二百の項目を研究所を通して衛星を使ってリアルタイムで解析されて送られてくるの」


 「へえ。そんな物があったんだね。それで渋滞情報を感知できるって訳か」


 軽く驚きを表現したトーリに不満げなレインは

 「あなた、これはすごく画期的で素晴らしい物なのよ。私が使ってみると、予測と三十秒も違った事はないんだからっ!」

 と声を荒げた。


 これにはトーリも改めて驚いた。


 「そ、そんなに? そ、その発明、すごいじゃない!? 商品化すれば交通事情が変わるかもしれない」


 「そうなのよ。でも所長は特許を申請しないの」


 「なぜ?」


 「個人的に便利だから作ってみただけだからって」


 (本当に佐竹優介と言う人物は変わっている。どう考えても「すごい発明」であろう渋滞探知機を発明しながら商品化どころか特許も取らないとは)


 「その辺が普通の者には分からない『才能のある人』の奥ゆかしさなのよね」


 そう言ったレインはコンパクトの画面を操作しながら、どこか嬉しそうだった。同時にそんなレインを見て、優介に軽い嫉妬を覚えるトーリだ。



 レインの指示で、車は関越自動車道から上信越自動車道へ入る。


 「それで、僕らはどこに?」


 「軽井沢よ。夏休みで込んでいる国道へ出るわ」


 (なるほど、夏場の軽井沢は混むだろうな)


 軽井沢インター出口手前から既に混み始めていた。

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