07 やっと迎えに来てくれたか・・・
何気ない日常、充実感は、何もないこの日常から今スグにでも逃げ出したいが、それは出来ない。どうしたら、このわだかまりを捨て去る事ができるのか答えは、何もでなかった。
この社会は人を選んでいる、出来るヤツと出来ないヤツ、頭がいいヤツと頭が悪いヤツおだてるのが上手なヤツと下手なヤツ、誰を選ぶのかはもう、言うまでもない、要領が良い人間をこの社会は自分の配下に置くだろう。
それが当たり前だ。俺は布団の中でうなだれて、自分の頭の中で暗闇を想像して、その暗い道の中を歩いていた。
もう暗い所でしか自分は生きてはいけない、そう思っていた苦しいよ・・苦しいよ・・そう心の中で思っていると小声で自然に苦しいよ・・という言葉が漏れだしてきた。そして、その声が次第にエスカレートして苦しいよ・・という言葉が死にたいよ・・と言う言葉にすり替わり始めていた。そして・・・自然と涙がこぼれた。
風呂桶にたっぷりと溜めたお湯を見つめて、痛いだろうな、痛いだろうな、小声で震える言葉で発していた。そして俺は右手に持っていた少し太めのカッターを右手首の血管につきつけて削ごうとした。だけど勇気がなくて、なかなか切る事ができなかった。
痛いだろうな、と言う言葉だけがバスルーム中に広がっていた。俺はその言葉を味方につけて一気に手首の少し下あたりを切りつけた。すると
手首が切れたがまだ、傷口が浅く血が吹き出るほどではなかった。俺は痛みの感覚が麻痺して痛いよ、痛いよと言いながら3、4回だいたい同じラへんの所を夢中になって切りつけた。手首はもうメチャクチャになって無残な姿になっていた。
そして、そこから血がにじみ垂れてきて風呂桶の周りにポタポタと垂れてきた。そして俺はそのお湯が入った風呂桶に肩まで浸かって手首をお湯の中に潜らせた、すると血が花が咲いたかの様に綺麗に水に染まって一体となって、赤色が薄くなって水となじんだ。
それを見た俺は愉快になって、その手首の傷口を人差し指でなぞりながら溢れ出てくる血を眺めていた。そして何故だがこの一連の行動が充実感に満ちているような錯覚に落ちていて静かに目をつぶった。
急に家のチャイムがなった。そして何か声が聞こえてきた、それと同時にチャイムが数回なった。
俺は薄れゆく意識の中でゆっくりと目を半開きし、その音と声を聞いていた。
・・・・もう何時間経ったのだろうか?
・・・脳が鈍って体がだるく動きにくくなっていた。
誰の声だろうか・・かすかに聞こえてくる。俺はその声を無視して眠りにつこうとした。すると足音がダンダンこっちに近づいてくるのに気がついた。そして、
その音は俺のスグ横で止まった。
その音を遠のく意識の中で見た。
視界がぼやけて見えたが、誰だかスグに分かった・・・やっぱり俺は、これで死ぬのか・・・