16 ネット掲示板の《ジケサー》
ひっきりなしに電話がかかってくる電源を入れた時から決まって毎日同じ時間にバイブの振動が床を伝って頭の中に響いてきた。
何故だろう?
多分仕事を長く続く人がいなのだろうか?
俺は、結構その仕事を長く続けて、慣れているから使いやすいのだろうか?
俺は気がついたら工事している所の近くに立って、歩行者の誘導していた。会社の思うツボだ・・・・。
チョット脳がなまっていた、別にそういう事どうでもいいか。会社に前に取りに行けなかった、二週間分の給料を取りに行った。
「お疲れ様です。」
「お疲れ・・・・そうか前の給料だったね、チョット待っててね・・・・確かここにっと・・」
事務所にいた、この会社の代表者の青山さんが優しい口調で話してくれた。そして鍵のかかった机の引き出しからまっすぐピッタリと折り目のない、給料明細とお金の入った封筒を重ねて俺に手渡してくれた。
「元気・・・・?」
と青山さんが、気遣いなのか話しかけて来た。俺は、ただ無表情の顔から即座に微笑して浅く首を縦におろし小さな声で「はい。」と言った。
「そう・・ならいいんだけど。」
青山さんは、あんまり俺を捜索するのを避け、ごまかす様にニッコリと笑顔になった。
本当は相当、気になっていただろう、二ヶ月間も無断欠勤したんだから、怒るのも当然なはずだろうだけど何もその話しに触れもしなかった。そんなにも俺の事を大事・・とは言わないけど、ひきとめたかったのか?元々の性格がそうなのか?分からなかったけど、多分、会社の事を考えての事だろう。
裏で何を思われているのは、分からない。
まぁいいさ、他人が勝手にあれこれ考えている事なんて・・・俺は、封筒の中から7万5千を手に取り、暗くなって街灯がすでに光始めている街中へ足を伸ばした。
「あった、あった。」
俺は独り言を言いながら食い入る様にパソコンの画面を見ていた。そして速走とマウスを動かした。
自分の顔は、みえないのだけど、多分目が乾く、くらい画面をみていたので、瞳孔は、開ききっていただろう、そして、ある項目に目が止まった。
「私と一緒に死にませんか?」
と言う文字が打たれていた、それは、《ジケサー》と言う何かの暗号の様な言葉が、かかれたサイトだった。多分「自決サークル。」の省略文字だろう。
その掲示板には、こう打たれていた、「私と一緒にしにませんか?私は、もうやる事なすこと嫌でたまりません、でも、私には、勇気がありません、だから、死ねないのです。誰か他に自殺したい人がいれば、必ずその人と一緒に死なないといけないので覚悟が出来ると思うのです。お願いします。私と一緒に死んで下さい。」
そう打たれていたが、俺は考えた。「私。」と打たれていたが。
女の人なのか?
年齢は、いくつ位なのか?
気になる。
もし、年齢が俺よりスゴク離れた中年の人なら何かやりとりしにくいしな、イヤもっと言って老婆だったら余計、話しずらいし、やっぱり年齢は、俺と近い方がいいな、それと俺は、なるべくは、女の人と死にたいな、それは、
男同士だと、なにかと変に思われるような気がする、同性愛者だけど、この世界に受け入れられないから死んだとか、俺は、死んでまでも、そうは、思われたくはない。まぁ女の人だと何となく、心が休まると言うか落ち着くと言うか・・・だけど顔がブスだったらなぁ~~~俺、コイツと共に死ぬのか、とか思ったり、まぁ適度な人と死ねたらいいなぁと
考えている内に結局思っている事全部、打ってしまった。そしたら、
一分もしない内に相手側から「何で芸能人で似ている人は、誰ですかって送ってくるんですか?」と返事が返ってきた。多分、スゴク変な人だと思われただろう、結局は、芸能人で誰に似ているのかは、聞けなかったが、おおよそな情報は、手に入った。そして、俺は最後にその掲示板に、返事を打った。
「俺も同じ思いです。あなたと同じです。この社会に絶望しているのです。だから俺と一緒に死んで下さい。」
するとすぐに、掲示板に返事が打たれた。
「そうですか。それじゃあ後はメールで連絡を取る事にしましょう。」
そう文字がつづられた後に、メールアドレスが打たれていた。そして、そのアドレスを自分の携帯電話に入力した。すると、
俺の席に左からドンドンと音がした。息をひそめて隣の席の声を聞いていると、女の人が小さな声で「こんな所でやだぁ。」と言う声が聞き取れた。
なにやら隣の席でカップルの男と女がコトをえている所だった。
何でこんな狭くしきられた足を伸ばす、余裕もない空間でそんな事をしようとしているのか、俺は、冷めた目でパソコンの画面に目をやった。が
あまりにも、隣の席からドンドンと小さな音が小刻みに聞こえてきたのでたまらなくなって関を立ちカラのコップを持ちドリンクバーの所へと向かった。