14 ケイタイの個人情報の流出問題まさに、それです。
夕日がちょうど落ちた頃、俺は、目を覚ました。辺りは、もう真っ暗になっていた。
そして死神の姿はなかった。お袋の所に行ったのか?
多分そうだろう。俺は、
周りの床をあさるように手をこねくり回した。アレ?
ケイタイがない、どこ行ったのだろうか、まだ眠気が覚めない目蓋で、考えていた。俺は自分の家を出て駅へと向かっていた。そして、電車を一回乗りついで新宿の駅で電車を降りた。そして、ゆっくりと東口の方へ向かった。その途中コインロッカーが見えた。
俺は、コインロッカーの前へ立った。そして、ズボンのポケットのボタンを開けて財布を取り出した。その財布の小銭が入った所を見ると、お金と交ざって小さい鍵があった。それを、
手に取って12番目のコインロッカーの鍵穴に差し込んだが鍵穴に鍵が合わなくて、うまく入らなかった。おかしいなと思いコインロッカーの番号を確かめたが鍵の番号とコインロッカーの番号はあっていた。そして、ロッカーの上の壁に貼られていた。
注意標識を見た。
そこには、二週間経ってもこのコインロッカーに預かり物を置いていたら、当局で管理します。
一ヶ月以上当局に預かり物を取りに来なかった場合は、こちらで処分いたしますと書かれていた。
俺は、それを見て電話番号が書かれていたので、近くの公衆電話からコインロッカーの管理局に電話をかけた。そして、
管理会社の人に指定された、コインロッカーの近くにある、その会社の事務所へと向かった。すると
1人の管理会社の人がドアの前で立っていたので、その人に案内されて、事務所の中に入った。そして、管理人さんが現れてテーブルにあるものを置いて言った。
「君の私物はコレだね?」
「ハイそうです。」と小声で恥ずかしながら言った
「預かっていた事忘れていたのかい?」
俺はそう言われると、どう答えていいのかわからなくなってハイ、ハイとうなずくばかりだった。
「ロッカーの中に物をずっと入れておくとその間、使えなくなるからね。だから、ロッカーの鍵穴だけ変えたんだよ、そうすると次の人も使えるでしょう。」
管理人さんは、当然の事を口走っていた。俺は、そんなことは、もうわかっているんだよと思いながら目を下に背けて、話を聞いていた。
「・・・・・・。」
「それで、このケイタイ何であのロッカーに入れていたんだい?」
みのうえ話しは、もういいよ。俺は、早くこの場から退きたかったが、
しつこく質問責めにする管理人の言動に応えるしかなかった。でも、
もし本当の事を話してしまったらマズイと思ったので俺は、別の言い分を考えたが、言葉が見つからず増々口ごもってしまって誰かが自分の家にかけつけて、ケイタイを調べられて、親に連絡されてしまったら終わりだ。
だから、コインロッカーの中にケイタイを入れた。なんて言ってしまったらシャレにならないだろう。そして、
現に自殺に失敗してしまって、まさにこういう事態になっているだろう。
その前に家の大家さんや不動産屋に連絡したら、実家の住所がとめられているから分かるだろうって?・・・・そういう事はないさ、
この前不動産屋に行って実家の住所が変わったんですと言ってウソの住所を書いて手渡した。そして、本物の住所が書かれた書類を不動産屋の従業員に捨てさせたから、問題はない、電話番号は、元々実家には電話がないから、別にどうってことはないし・・・
俺ってしたたかだろう。
「君・・・・話し聞いてる?」
コインロッカーの管理人さんがそう言ったので、俺は呆然としていたのをかき消して、いかにも聞いている素振りで表情を真剣に変えて小さな声で「ハイ。」と言ってうなずいた。
「大体ね君ケイタイって言うのは、常に持ち歩いているのが普通でしょう。何でコインロッカーなんかに・・・・
いつまで、話し続くんだろう?
俺には、もう話す事なんか何もないのに。