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10 優しい口調 

 俺は病院の中で女のカウンセラーの人を付けられていた。

「仕事はしているの?」

「いつから、死にたいという気持ちになったの?」

そう言う類の質問を尋ねられていた。

俺は、質問に答えるのが嫌だったが自分の怒りをぶつけるようにそのカウンセラーの人に話そうとした。その人もうんうんと、うなずいていて俺の話を聞いていた、そして、そのカウンセラーの人は差支えのないように言葉を選びながら喋っていた。

この人たちも話を親しみに聞くことが仕事だから優しい口調を出しているのだろう、大体そうだこんな上辺だけのカウンセリングでどうやって人を救えるのだろうか、俺の何を知っているのか?何の助言も聞きたくない、あなた達は、人間の心理の事で勉強しているから分かる訳であって、本当の苦しんでいる人間の内面と言うのは、分からないよ、だから俺に何を言っても無駄な事だ。


 病院のベットで寝ころがっていたら医者が俺の所を訪ねて来た。

「調子は、どうだい?」

そう聞いてきたので、俺は、「あんまり。」と答えた、そして、早くこの病院から出て行きたかったので、その医者に言った。

「いつになったら、ここから出してもらえるんですか?」

「そうだね、親にも連絡していないし、君の心も安定していないし・・・」

「どうしたら出られるんですか?」

「うーんカウンセリングの人とちゃんと話して、ちゃんと君の心が安定した時かな?親には言いたくないんでしょう。」

「・・・・・・。」

「ちゃんと君が真剣にこの問題に向き合って、もうあんな事は、しないと心に決めた時かな。」

「自分の命なんだから俺が好き勝手、どうこうしてもいいでしょう!!」

「まだ、そんな事言っているのかね。」

そういう事で、この病院からは、一歩も出れない事になった。

俺が病院を出ようとすると必ず近くにいる看護師が駆けつけてきた

「どこに行くんですか?」

院内総動員で俺を監視しているのだ。そうされては、もう、らちがあかない。

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