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夜月  作者: 御華槻 羅夢
5/5

第5話

…今日は月曜日。


 僕は、圧迫感を感じて目が覚めた。


 両サイドには、胡代里とラズがスヤスヤと寝ている。


…今何時だろ…?


 僕は頭の上の目覚まし時計へと手を伸ばす…。


…8時10分。


 僕の通う中学は8時30分には席に着いていなければならない…。登校にかかる時間は20分。


…遅刻だ…!


 僕は横で寝ているラズを叩き起こした。


「ラズ!起きろ!!!」


「…あんた、あたしの眠りを妨げるとはいい度胸じゃない!」


 ラズは目を擦り、体を起こしながらケンカを売ってくる…。


…また裸かよ…。


「いいから早く!遅刻するぞ!」


「ちこくって?」


 ラズは首をかしげて聞いてくる…。


…まぁ学校も知らなかったから当然か…。


「…菜穂達に会えなくなることだ」


…意味合いは違うけど似たようなものだろ。


「何で早く起こしてくれなかったのよ!!!」


 ラズはベッドから飛び降りると、支度を始めた…。


「…朝から何騒いでんの?」


 胡代里が起きた…。


…こっちは下着姿か…。ってそんな事じゃなくて!


「胡代里も早くしろ!」


「…えっ?うそ…。もうこんな時間!?」


 胡代里の通う小学校も僕達の通う中学の隣にある。つまり、胡代里も遅刻寸前だった。



「早く行くぞ!ラズ!胡代里!」






「ギリギリだったね!」


 菜穂は苦笑いだ。


 僕達が学校に着いたのは8時28分だった…。奇跡的に信号が全て青に変わってくれた。


「隼人は構わないけど、ラズちゃんが遅刻はダメだな~」


 友哉の笑顔での説教…。何か裏がある…!


 気になった僕は聞いてみた。


「…何でだよ」


「だってさ、1秒でも多く会いたいからさ!」


 友哉は笑顔でラズに近寄る。

…予想通りだ…。


「友哉君怖い~!」


 ラズは菜穂の後ろに隠れる。


「ラズちゃんかわいそ~!」


 菜穂がラズを庇った…。


「何もするつもりなかったんだけど…」


「そこの一角うるさいぞ!」


 いつの間にか担任(ゴリラ)が来ていた…。


「HR始め…」


…ジリリリリリ!!!


 唐突に火災報知機が鳴り響いた…。


「友哉。悪戯はせめて、校内で留めとけよ…」


 僕は絶妙なタイミングで言った…。


「何もしてませんけど!?」


 友哉が瞬時に返事した。


「やっちゃったね!友哉!」


 菜穂の笑顔でのボケ…。


「菜穂ちゃんも!?」


「…磐石」


…担任は何を言うんだろう。


「はいっ!!!」


「…やったのか?」


「だから、何もして…」


ピーンポーン…


…校内放送の合図だ…!


『只今、誤作動により、火災報知機が鳴っております。繰り返します。これは誤作動です』


「…誤作動か」


「何ガッカリしてんの!?」


 友哉のつっこみ…。


「誤作動なら授業は通常通り始めるぞ!」


―火災報知機が鳴ったまま授業が始まった…。音は午前中ずっと鳴っていた。






「まさか朝からあんな事があるなんてね…」


「…僕も驚いたよ」


 僕もあの出来事は初めてだった…。


「まぁ何事もなくて良かったよ!」


 友哉は笑顔で言った。


「…あれ?ラズちゃんは?」


 菜穂は辺りを見回し、捜していた…。


「…確かにいないね」


 友哉も捜しているが、いないらしい。


「ラズ!どこだ!!!」


 僕も必死になって捜す…。しかし、見つからない。


…ラズ!どこにいるんだよ!



―その後も捜したが見つからなかった…。




 翌日、僕は物音で目が覚めた…。


 ラズかと思って飛び起きると胡代里だった…。


「おはよ。…お兄ちゃん」


 胡代里はどこか元気が無さそうだ。


「ラズは…帰ってないんだな」


 僕もいつもより、元気が無くなっていた…。


「うん…。どこに行ったんだろうね…」


「まぁ、学校に来れば連れて帰ってくるさ…」


「お願いね!」


…僕はこのあと学校で予想外の事が起こるとは思っていなかった。




…事は前触れなく起こった。


「おはよ…。友哉、菜穂…」


「どうしたの?隼人…」


「元気ないじゃん!何かあった?」


「…ラズが帰ってないんだ」


「えっと…、ラズって…?」


「…えっ?」

「いよいよ隼人も目覚めたんだな!同志だ!」


「そんな訳ないじゃん!ねぇ隼人?」


 菜穂が同意を求めてくる。


「…うん」


 僕は曖昧な返事しか出来なかった。


「早く席に着け!授業始めるぞ!」


―授業が始まった…。僕はラズの事が気になり、窓の外ばかり見ていた。






「隼人!帰ろうぜ!」


「…ああ」


「今日本当にどうしたの…?」


「…二人とも本当に忘れたのか!?」


「だから何がだよ!?」


「…何でもない…」


「私達今日はこっちから帰るね!」


「ちょっ!帰り道そっちじゃ…」


「じゃあね!隼人!」


「…何でこっちから帰るんだよ!」


「今の隼人はそっとしといた方がいい気がする…。それに、私も何か忘れてる気がするんだ」


「…菜穂も頭やられたのか?」


「もういいっ!」


 菜穂は怒って走っていく。


「待てよっ!菜穂!」


 慌てて追いかけていく友哉。


「どこに行ったんだ。ラズ…!」


…僕は呟くしか出来なかった。






「…ただいま」


「おかえりっ!お兄ちゃん!ラズちゃんは…いないね…」


 胡代里はがっかりした様子で言った…。


「明日探しにいくよ…。休みだからな…」


「あたしも探すよ!」


「胡代里はダメだ。…学校だろ?」


「でもっ…!」


 それでもなお、行こうとする胡代里。


「いいから僕に任せろ。…いい?」


「…わかった」


 ようやく諦めたのか、胡代里は部屋へと戻っていく…。


 僕も自分の部屋に戻り、ベッドへと倒れ込む。明日はどこに回ろうかと考えているうちに眠りについていた…。






「…いってきます」


 胡代里が学校へと行った後に僕はラズを探しに町へと出た。


 ラズが行きそうな場所を重点的に回ったが、それでも見つからなかった…。


「…どこにいるんだよ…」


 時刻は気づけば、夕方になっていた…。


 僕は初めてラズと会った場所へと向かった…。最後の望みをかけて。


 その場所には、ラズが一人で空を見上げて立っていた。


「ラズ…!探したぞ!」


 僕は走って駆け寄る…。


「…隼人?何でここに…」


 ラズは不思議そうな顔をしている。


「お前を捜してたんだよ…」


「あたしを…?」


 ラズは泣きそうになっていた…。


「帰るぞ!皆お前を待ってるんだ…!」


「…そんな訳ないじゃん!」


 ラズは俯き、答えた…。


「あたしがここに来るまで会った人の記憶は消したんだから…」


「…えっ?」


 予想外の答えに僕は驚くしかなかった…。


「…さよなら。隼人…」




―次の瞬間、僕は目が覚めた。




〈エピローグ〉


「…長い夢だったな…」


 僕はそう言いながら体を起こし、1階へと向かう。




…ベッドには長い蒼色の髪の毛が落ちていた…。


         END

 終わりが雑になってしまったことに、深くお詫び申し上げます!

 定期更新の難しさを感じた作者ですが、なんとか最後までもっていけたと思います…。


 最後になりましたが、この作品を読んで頂いた読者の皆様ありがとうございました!


 今後も他の作品を読んで頂けると幸いです。

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