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2sequence 次世代兵器

ハルは作戦に備えて準備運動をしていた。軽く動かす程度だが動かさないよりはマシだろう。


「ヤッホー、貴方のアイドル。ミア・シュベルツ!さぁ~んじょう!」


またお前かと心の内で溜息をするハル。日に二度会うなど運が悪いと自分の悪運が尽きたか?などの思考が入る。


「何か用か?」

「うんうん!ハルにプレゼントだよ」


ハルは少し首を傾げる。まだ誕生日でも何でもない、特別な日でも無いはずだ。と思ったが渡された物を見て納得する。


「何だ。これがプレゼントかよ」


その物は球体だった。SEを圧縮した物がコレになる。用途は無数にあり武装などと融合すれば武器等を粒子化され球体状に収縮したり出来る。もはや質量保存の法則をガン無視である。そしてその恩恵を受けたのが装着型兵器バトルドレスで人並みのサイズ、自動でその人物の身長に合わせる事が出来、高防御力、高機動力で武装も同時に粒子化しバトルドレスを展開させた後でも自由に武装を出す事が出来る。さらにジェットパックを採用し空も飛べるようになった現主力兵器になった。


「何だとは何だよ!ハル専用型でもあるし私のお手製なんだから大切にね。使い方、解る?」

「知らん」

「まぁ、ハルなら使えると思うけど教えるね。はっきり言えば感覚的なものなんだけど、表現的にすると水を体に纏わせるって感じかな」

「成る程、さっぱり解らん。まぁ上手くやるよ。でなきゃ今の新人類じぶんになった意味がない。それにミアも見たいんじゃないのか?」


ミアは科学者的な興味は有るので核心を突かれウッと少し口籠もる。その反応を見て鼻で笑い言葉を続ける。


「見たいなら見せてやるよ。期待通りの結果は出す」


ミアを見据えながら言う。その後に肩を叩いてあんがとと呟き飛行船に向かう。その後を追いかけ、ミアも向かう。彼女もそれに同行しデータ分析をするために。だがあまり手の内を晒す真似はしない方が賢明なのだが、不信に思われて目を付けられても厄介なので敢えて今保てる戦力を見せつけ、何事も無く済ませた方が都合が良い。



飛行艇内の射出機の前で球体状のバトルドレスのスタンバイ状態を解きセッティングする。


「セットアップ完了。マッチングクリア・・・何時でも行ける」


確かに水を纏わせるような感覚だった。感覚的にするしかなかったので出来る人には出来るだろうが出来ない人には出来ないであろう。


「どう?苦しいとかない?」

「何一つ無い。俺以外でもこれ使えるだろ?」

「そうだけど、多分あちらさんはハルの実力を見たいんじゃないかな?危険因子か見極める為に、ね」


それを聞いて口元を歪ませる。そんなものか、権威保持の為かと。所詮はそんなものなのだ。反乱でもされたらそれが火種となり非参加国も蜂起をしたら権威も墜ちるし、万が一敗北でもしたら自分たちの時代が終わるのだから。


「まぁいい・・・ハスベル・ルイセンハーン、出る」


飛行艇から飛び降り付属のジェットパックを使い下降していく。しかし、何か違和感を感じる。体、と言うよりも今身に着けているバトルドレスが軽い。先までとは明らかに重量が違うのだ


「体が軽いな」

『そりゃあね。なんせハルのはSE粒子型ジェットパックだからね。そのSEのお陰で斥力が働いて重力が半分になってるからね。ジェットパックも不要だしその分を他に回してるから、他のバトルドレスよりも能力が上だよ。まぁ、ハル専用機だからその能力を最大限に生かす為にSE粒子を採用したんだけどね。他の人が使うとSE粒子を直に浴びる事になって廃人になっちゃうし』


ミアから長ったらしい説明を受けて納得の声を上げる。その理由はSEエネルギーが今生きる人の精神情報等を伝達しそれを一斉に直接脳が受け脳が受けきれずパンクし、多大なダメージを及ぼすからだ。新人類、彼の一番の特徴がSEを制御するという能力でそれを情報を一部しか受けず、他の情報をシャットアウトし脳にダメージを負わさせない為だからだ。そして、彼はSEで動かしている兵器などを自分の思考と連動させ扱う事が出来るのも強みになっている。そして他のバトルドレスには展開時と収納時にしかSE粒子を発生させずさらに、それも微量の為人体に影響を及ぼす様な事が無い。


「見つけた。暴れに暴れまくってるな」


その見た光景は村であったろう残骸だろう。所々に人々の倒れている姿が見える。さらに死んだ人達の念がSE粒子となって語りかけてくる。痛いだの苦しいだの死にたくないなどのひめいがハルの頭に木霊のように響く。垂れ出ているSE粒子なら制御できるが直接語りかけてくるものはシャットアウト不可なのだ。それ故、怒りこみ上げていた。こんな気分にしやがってと。自分を出撃させる前に、自軍等が出撃していれば被害はマシだったかも知れない、抑えられたかも知れない。との感情が淀む。


「この・・・物の怪風情が!」


と叫んでハルの専用機の武装、SE制御ブレードを全射出し魔物をそれぞれを全て切り裂いていく、一匹残らずに殲滅する。彼は殺された彼らの復讐の代理人になった。物の怪と呼んでいる魔物は、元は人間だ。SE粒子は常に空気中に垂れ出ておりそれは意志を伝達する特性を持っていてそれは死ぬときにその思いがSE粒子に焼き付かれ負の思念としてこの世に留まる。つまり幽霊となって生きとしものを恨みそれが形となってSE粒子で構成された魔物・妖怪と言った類の物となる。魔物になった時点で只破壊本能ぐらいしか残らないが。本来ならそのまま星に循環され戻るのだが、負の念があればこの世に留まってしまうらしくそのせいで政府の軍隊による非人道的な弾圧行為はまさしくこれに繋がると言う訳だ。


「殲滅完了。これより帰還する」


圧倒的な戦果を出したハルの専用機は射出したブレードを回収し飛行艇へと戻る。しかしミスをした。今まで体験した魔物はただ暴れているだけだったが今回の魔物もそれに準じていたが、魔物が構成されていたSE粒子の異常を、怒りで気づけなかったのだ。戻った彼はフリールームでベンチに横になりながら携帯端末を弄るハル。それを見たミアが寄ってくる。


「鬱憤は晴れた?」

「いいや、その逆だ。死者の声が頭に響いてな。脳裏に焼き付く」


ミアにそう返答する。


「ミア、軍備は整ってるのか?」


その問いにミアは後、一週間ぐらいかなと答えた。それに悪態を見せる。まだか、まだ蜂起を実行出来ないのかと。今の軍事政権では死人がゴロゴロ出て、魔物が増える一方なのを早く止めて、それを新たな政権の手向けにしたいのがハルの思惑だった。


『通達、通達。ミア・シュベルツ、艦長がお呼びです。繰り返します、ミア・シュベルツ、艦長がお呼びです』

「何かな?呼ばれたから言ってくるね」


と言い残し去っていったのを見て、ハルは目を閉じ眠る姿勢に入る。眠る直前に激しく頭痛がし、顔を歪めながら両手で頭を抑える。


「何だこれは・・・!?」


直接頭に語りかけてくる様な、いやそれとは違う異質な感じの見せ方だった。それは目を無理矢理開けさせられて見せられている。その様な感覚だった。彼が感じているのは星が、地球が直接彼に見せているのは何かのSOS信号の様な物だった。

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