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1sequence 先駆ける者

人は一つになれずにいた。国はほぼ一つになっていてもだ。そして非参加国の反発を防ぐ目的で作られた政府の唯一無二の軍隊。あらゆる火種を消して回ると言う役割であったがそれも徐々に歪んだ方向へと変貌していく。彼等は不穏な動きを示した非参加国に対して非人道的な弾圧行為をこれでもかと言わんばかりに行った。急激に増長していく、政府の掣肘の声が出るがそれを圧殺して己が世界の統一者であるが如く権勢を欲しいままにしたのである。しかし、その内部から影からも反発しその非参加国と結託し蜂起しようと行動しようとする者達が現れた。が、それもごく少数の者達で人手も武器も足りない状態では蜂起を蹶起しようにも出来ないのが今の現状である。


「アローアロー。応答せよ」

「何です?」


宇宙空間で閃光を出しながら趨る機体に搭乗する男。


「定期報告をしてないからこうやっている。少しは真面目にやれ」

「長年研究室で被検体モルモットやってるんです。少しは自由にもなりたいもんですよ。それに蜂起しようってもんですから余計窮屈で適わない」


通信越しにぼやく男。実験に縛られていて胡散ばらしにでもの行動をしたいのが本望なのだろう。その愚痴に対して待遇処置は考えておこうと言われたが男はしない事を口にするもんじゃないと内心冷ややかに思いながら定期報告をして機体をいじり急速させ地球への帰還を急かす。この分ならもう地球に着くだろう。


「全く・・・また被検体モルモットに逆戻り、か。まぁ被検体は被検体なりの生活を送りますか」


自分の独り言に自虐の念を込めながら憫笑する。男は仕方がないと割り切っているので別段拘束されるのを悔いたりしないが多少の面倒な気持ちがある。そうなどやっている内に地球に戻ってくる。機体を帰還フォームへと移行させ大気圏突入に備える。男にとっては七日ぶりの地球だが懐かしくもないらしく頭に両手を置きながら緩やかに時を立つのを待つ。そしてその時間は思考をする時間でもあった。男の任務は異星への調査・探査だった。彼の調べた星の一つに何らかの生物がいた様な痕跡があったのだが、あっただけで何一つ解らなかった。それが今となって何か引っかかる様な覚えをしたのだが、今更考えた所でだと思考を中止する。考えている内に大気圏を突破し海に落下する。今日こんにちの彼の成果は幸か不幸か解らぬものだが人類が知るだろうに至る事に繋がる事になるだろう。




地球に帰還した彼は研究施設に戻り研究所内での自由時間を設けられたが納得はしない。研究所内だけなど見飽きたにも程があり、自分は外に出たいのが本心であってこんな所は只窮屈なだけでなんの解決にもならなかった。彼にとっては予想通りと言った所だろう。さらに彼は研究所に居る一人の人間に見つかるのが嫌なのですべき事を済ませ即座に自室じっけんじょうに戻ろうとする。


「ハルゥゥゥッッッ!!」


との声が聞こえた後に唐突に突撃タックルしてきた女によって床に倒れるハルと呼ばれた男、本名はハスベル・ルイセンハーン。あだ名がハル。タックルした女が言いだしたのが定着したらしい。そのいきなりの事により不運にも後頭部をぶつける。声には出さなかったが顔を顰める。言うまでも無いが痛かったのだ。倒れたハルの上に乗っかて感激の声を上げる。


「おっかえりー!!お早い帰還だね!もしや私の為に帰ってきてくれたの?うれしいなぁ~!」

「相変わらずお前は会話を端折るな、ミア」


馬乗り状態のミア。本名はミア・シュベルツ。若干16でありながら軍の技術開発の統括者で科学者の権威である彼女は他の様な科学の権威者達は他人との壁やそれに近い物を作り少し距離を置くのだが彼女は誰とでも明るく切歯さらに容姿も良く彼女は言わばアイドル的存在なので、同年代の男性からは憧れの存在となっているのだがハルは小さい頃からの付き合いなので恋愛感情も無く、面倒な奴としか思っていない。彼女の過剰なまでの態度にうんざり気に倒れた状態から立つハル。


「趣味と仕事の研究はしなくて良いのか?」

「部下さんにやって貰ってるし、大体の目処が付いたからハルに会いに来たんだよ」


まずったタイミングに戻ってきたなと思うハルを知ってか知らずかミアはお構いなしにハルの頬を指で撫でながら喋る。


「お風呂にする?ご飯にする?それとも私?なんちゃって!まぁ私でも良いんだけどね」


何処かで聞いたことが有る様な台詞を聞いてハルは陽気なミアに本音言う。


「お前が俺の研究者じゃなくて良かった」

「照れちゃって~」


どうやら今の彼女には何を言っても無駄だとハルは判断し会話をすり替える。


「聞きたい事が有るんだが近頃は魔法が使えるのに新人類なんて調べるんだ?必要無いだろ?たかだか少し特別になったからって」


一旦ハルから離れてハルの顔に指さして答えるミア。


「それ訂正するけど魔法じゃないよ。星のエネルギー略してSEを圧縮して固形にしたのを使ってるんだよ!おとぎ話に出てくる様な物と一緒にしないでよね。それに私が作ったんだから、そこんとこ忘れないで!」


へいへいと軽く流す様に聞いたハル。彼が初めて見た時、手から炎を出したので魔法の様に見えた。幾ら理論を言われようが先入観に捕らわれて科学的な物では無く、魔法の様に見えてしまうのであまり馴染めなく不気味がってしまう。


「まぁ不思議エネルギーだし、実の所私もよく理解してないんだけどね~。だから今も全科学者が研究してるんだけど。それが中々進んでないの、その手がかりになるのがハル。人間には無い星のエネルギーを体内に循環している新人類。いいえ、人類の先駆者又は革新者と言うのが妥当ね」


と真面目になって言うのだがすぐに気抜けする。


「だぁかぁらぁ~、ハルは漫画で例えるなら某超野菜人だね!」

「俺は金髪になったりしない」


ミアがビシッと言ったのに対して直ぐさまにそれを否定する。


「検査の時間だからそれじゃあな」


うぇ~いとそれに名残惜しむようにミアがごねる様に言うのを背にそそくさと戻るハル。その後の検査は毎度毎度の血液を調べたり装置を付けられたりするものだった。ハルは背もたれに深く身を沈め椅子に座っている。ハルは少し脱力しているのか、顔を前に傾けている。その部屋に三人の軍部の人間であろう者が入ってくる。


「貴官だな。新人類化した人間は」


中年の軍人がハルに問うも、口を閉じて答えない。一人の青年士官が何を黙ってる。答えろと言った後、数秒おいてから喋り出す。


「ハスベル・ルイセンハーン中尉です。何か用ですか?」


見下した言い方で三人の軍人に挨拶するハル。


「知っているかは知らないが、ここ最近魔物が凶暴化しているのだが―――――」

「その結論から言いましょう。それは地球が原因です」


一節も置かずに答える。


「ほう。何故ここに閉じこめられながらも解る?」


その断言的な言い方が気になり、中年軍人が説明を求める。


「理屈なんてありゃぁしません。簡単に言えば感じるんですよ。只それだけです」


彼の言葉は不興を誘うものだったがその後に言葉を淡々と語るハル。


「それと作戦している様ですが、それは失敗に終わります。鎮静化なんて今の魔物の状態には難しいでしょう。それなら殲滅した方が魔物も減り、被害も減る。なら尚更良い。自分が行きますよ、新人類の力見たいんでしょう?」


悠然に語った彼は自分が出撃すると言った。


「貴官、思考を読めるのか・・・!?」


それに対して嘲弄と軽侮が混じった笑声を三人の軍人の鼓膜に響く。


「さぁ?それは己の判断にお任せします。それよりも許可をちゃんと取っておいてくださいよ、でないと出撃られませんので」


彼は思う。今作戦で堪りに堪った鬱憤を晴らすことが出来る。それも合法的な破壊が。さらに彼は新人類コレになったせいで軍の研究施設に送られろくに戦闘をしていなかったのでどれ程かを試す事が出来るので一石二鳥になるが、研究者もこれで戦闘データを取れるのでその為に働くのは少々癪に触るがそれでも尚、彼にはお釣りが来るので結果的には胡散晴らしは出来るので参加をするには十二分に意義があった。

初めまして、作者です。確認はしていますが誤字などございましたらお手数ですが言ってくださると助かります。

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