#4
「ただいま」
ぼそっという私。
既に起きていた母が神妙な顔でこちらを見ている。
「あんた…どこ行ってたの?」
「奥多摩のほうにドライブ行った。」
朝帰りはさすがにマズかったな…
と思ったが、母はため息をつきながら、
「無事に帰ってよかったよ。仏壇に手を合わせて、ご先祖様によくお礼を言っておきなさい。」
と言い、台所へ向かった。
母は人より第六感が優れている人だ。それでなにかを感じたのかも知れない。
その後、心配だったので山内さんと吉田さんにメールを入れた。
数分後、吉田さんから無事を知らせるメールが届き、
30分後に野村さん、45分後に山内さんからメールが返ってきた。
―みんな無事に帰れてよかった。
私は、母に言われた通りに仏壇に手を合わせ、
安心して眠りについたのだった。
一度、目が覚めた。
その日の夜8時だった。
一日中ねてしまっていたようだ。
折角の休日を無駄にしてしまい、悔しく思った。
後で聞けば他の3人もそうだったらしい。
―でも、夕べは貴重な体験をしたから良しとしよう。
そう考え、また布団に潜った。
―後日談―
野村さんのビッグホーンにある、壊れたオーディオは、
次の日には何事もなかったかのように動いていたらしい。
それから、山内さんの車には鎌かなにかでこすった跡がついていたらしい。
新車を傷つけられた山内さんは
「ふざけんなあのクソジジイ!」
とものすごい剣幕で怒っていた。
「やめとけやめとけ、怒るとまた来るぞ。」
となだめる野村さん。
あれだけ怖い思いをしといて、
数日経ったら笑い話にしている彼らがすごく強いと思った。
このお話は、数年前に私が体験した実話です。
『この体験をどうしても誰かに伝えたい…』という想いで、
慣れない筆を執りました。
拙い文章でしたが、読んでいただきありがとうございました!