↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10年付き合った彼氏に浮気された地味女は、ヤンデレになった後輩に溺愛される。  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/9

自宅①

朝の支度(したく)を終えてから、秋子(あきこ)は春斗(はると)に車まで案内された。彼は助手席のドアを開けて、彼女を待つ。


「ありがとう。この車、お父さんに買ってもらったの?」


席に座って、シートベルトを閉めながら秋子が聞く。春斗は穏やかな笑みを浮かべた。


「いえ、僕が自分で買いました。そこまで高いものでもないので」


彼女は車には詳しくない。なので、その言葉を受け入れるしかなかった。春斗が彼女から伝えられた住所を、カーナビに入力する。


(……騙されてるような気もするけど)


乗りごこちが良い。エンジンの音も、とても静かだ。絶対にいい車だと、秋子は思う。


(しかも車内が綺麗だし、運転もすっごく丁寧(ていねい)だし……)


悪いところが見つからない。そう思いながら、彼女は彼の横顔を見つめる。


「……あの、先輩。そんなに見られると、緊張するんですが」


しばらくしてから彼が言った。その頬(ほお)は、少し赤くなっている。


「……あ、ごめん」


秋子は慌(あわ)てて前を見た。同時に彼女は、むなしくなる。


(雪也はこんなこと、言わなかったな)


比べてしまう自分がイヤで、落ちこんでしまう。そんな彼女の姿が、ルームミラーに映った。春斗はその姿を見て真顔になる。


「大丈夫ですか?」


秋子は無言でうなずいた。だが、その表情は曇(くも)ったままだ。


(……まだ僕のことを意識してはくれないか。そういうところも、好きだけど)


ナビに従って右に曲がり、細い道に入る。本当は、家までついていきたかった。けれど彼女は、それを望まないだろうと思ったから。

彼はあえてナビを無視して、アパートの裏側にある、少し離れた駐車場に車を停(と)めた。

秋子は黙って車を降(お)りて、家に向かう。アパートの前に回り、階段を上がって、彼女は自宅のドアを開けた。


「やっと来たのか」


ソファに座ったまま、雪也(ゆきや)は振り向かずに言った。彼の隣(となり)には、浮気相手……南鶴(みなつる)夏海(なつみ)が寄りかかっている。


「早く持っていってよね」


彼らは秋子を見ていない。捨てられたのだと感じて、彼女はうつむいたまま作業を進めた。

引っ越し用の段ボールを取り出して、好きな本とマンガ、ぬいぐるみやアクスタを入れる。それだけで、箱が1つ埋まってしまった。もう1つの箱を用意して、彼女は食器を取りにいく。


「そんなに入れて大丈夫? 置き場所とか、ないんじゃないの。置いていったら、私が売っておいてあげるけど」


「……大丈夫です」


自分の食器を紙に包(つつ)んで、化粧品や歯みがき用のセット、衣類などと一緒に箱に入れる。そうしながら、秋子は言った。


「大好きな物なので、全部持っていきます」


というか、彼女に渡したくはなかったというほうが正しい。

行き先が決まっていないことは、今は横に置いておく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。