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あたしの奥の手

作者: 歌川 詩季
掲載日:2026/06/04

 最終決戦までは捨て台詞がだいじよね。

 あたしの奥の手はピンチになったからといって

 そうやすやすと他人に見せるものじゃない


 まずは小手調べを終えてから

 まだこれは○()のちからだってくだりを

 様式美のようにきちんとこなして

 ほんとはまだ振り絞れるぶんが残ってるのに

「待たせたな こいつがあたしのフルパワーだ」

 って さんざんもったいつけたように

 言ってのける


 そんでもってここぞとゆうときには

 とっておきの切り札を

 惜しげもなく披露するんだけど

 それでもなお

 奥の手を見せてやるわけにはいなかい


 だってここまでしてかなわないあいてには

「ふっ たいしたものだ

 今回はあたしの負けとしておいてやろう

 だがおぼえておけ

 あたしはまだ奥の手を見せてはいない」って

 捨て台詞を置いてとんずらする予定だから


 嘘じゃないもん はったりじゃないもん

 ちゃんと奥の手はしっかり隠し持っていて

 ほんとうにいざというときには

 その手の内を(さら)け出してみせるのだけれど

 今回はそうするまでもなかったってこと!


 負け惜しみと呼ばれるならかまわないし

 負け犬の遠吠えと笑われてもしかたないものの

 このくらいの強がりはゆるしてほしい


 フルパワーを解放したうえに

 切り札を見せちゃったんだよ?

 ここまでしてもかなわかったことに

 さずがのあたしもずいぶんと

 へこたれてるんだからね

 せめて逃げぎわの捨て台詞には

 強がりと(から)元気くらいとっときたい


 だからこそ そのために

 残しておいたのがこの奥の手

 もし奥の手まで使っちゃってたら

 あたしはどんな捨て台詞で

 虚勢を張ればいいとゆうのだろう


 だからこそ そうゆう意味でも奥の手

 だからこそ 絶対に

 見せるわけにはいかないのが奥の手


 嘘じゃないもん はったりじゃないもん

 嘘でもはったりでもないけれど

 見せるわけにはいかないし

 実際に意地でも見せてやらないんだから

 ほんとにあっても ほんとはなくても

 どっちでもかまわない

 シュレーディンガーの猫の手



 あたしの奥の手は決して陽の目を見ることなく

 神秘のヴェールに包まれ続けている

 切り札と奥の手って、どっちをさきに見せるものだろう?

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― 新着の感想 ―
〉シュレーディンガーの猫の手   お上手♪www  小手先の  先手必殺  我が奥技  こてさきのせんてひっさつわがおうぎ  「殺魔次元流! 血ぇす刀ぉぉぉぉぉっ!!!」    
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