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元王女様は、世界を滅亡へと陥れたい。  作者: 九漆
第二章 ヴォルメ王国編
5/26

4.現在、ヴォルメ王国首都にて。


 ――二ヶ月後。


 冒険者ギルド。

 

 そこはどんな身分の者でも、銀貨一枚あれば登録ができる超大型組織。依頼する者、依頼をこなす者が、それぞれここにやって来る。冒険者ギルドは、今や世界中の何処にでも存在してる。どの国にとっても欠かせないようなモノとなっていた。

 そんな冒険者ギルドは人材も素晴らしく、一番上のSSランク冒険者であれば厄介な魔人をいとも容易く討伐出来てしまうほどだ。

 ただし、生きるか死ぬかはその冒険者次第。

 

 そんな冒険者ギルドに今日もまた、依頼が届く……


 

 

 ヴォルメ王国首都ヴォルメア冒険者ギルドーー。

 

 

「たっ、大変だー!南の森でレッドドラゴンが現れたぞー!」

 

 とある冒険者が、ギルドに入ってくるなり大声でそう言った。

 

「なっ何だって!?急いで避難をーー」

「その必要はない」

 

 そう言ったのは、このギルドのギルドマスター。

 

「ギ、ギルドマスター!?何故ですか!?」

「忘れたのか?此処には、SSランク冒険者が居るではないか!」

 

 その声に、全員は一斉にその冒険者を見る。

 

「そうだよ!居るじゃねぇか!」

「早く倒してくださいよ!SSランク冒険者『万能の女神』、リネアさん!」

 

 全員の視線の先にいるのは、黒髪に赤色の目をもつ少女、SSランク冒険者『万能の女神』リネアだった。

 

 ◇

 

 私はシュリア・ネーフェス。元ネーフェス王国の第二王女。

 今は『リネア』としてSランク冒険者として活動中。大物しか狩らないため、勝手にSSランク冒険者と言われるので、時々こういうことがおこる。

 正直見飽きた。

 というか私まだSランクなんだけど?

 何勝手にランク上げてるの?

 

 いろいろ突っ込みたいところではあるけど、今ギルドはレッドドラゴン出現のパニック状態で聞いてくれそうにない。

 

「お願いします!リネアさん!」

「……えー……幾らでるぅー?」

「金貨五十枚は越えるであろう」

 

 手持ちには金貨三百枚。いや要らない。

 

「うん、十分持ってるのでパスで」

「そこを何とかならないか?頼む!」

「えー。……やる気ない」

「ギルドマスター。リネアさんも動いてくれないようですし、僕が行きますよ」

 

 うわでた……。

 

 自主的にレッドドラゴンを倒すと言ってきたのは、伯爵家長男の金髪少年、アドレック・ガルディーノ。

 とんでもないほどお人好しの優男で、容姿が良いため女性からの人気は高い。貴族という立場であっても民の為に魔物を倒す強者で、平民たちの人気も非常に高い。つまりアドレックは、平民たちから信頼されている超人気の人物でなのある。

 

 それ故に、アドレックのその発言に、ギルドの人達は食いついた。

 

「おぉ!アドレック様が行ってくだされば、私たちも安心です!」

「本当ですか!アドレック様!」

「アドレック様が行くのでしたら、私達も付いていきます!」

 

 あー始まった。アドレック信者はほんとウザイ。

 

 ギルド内は一気に大盛り上がり。全員でレッドドラゴンを倒すと意気込んでいる。

 

 そして私は影薄いようなのでその場から離れ、自分が泊まっている宿に帰った。

 

「のぅ、一緒に行かなくていいのか?」

「うるさい害虫」

「む!?何故そんな呼び方に戻しておるのじゃ!!」

 

 この目がチカチカするくらい白黒のやつは、時の精霊で私の契約精霊。名前は確かスジアン。

 

「私、群れるの嫌いだから」

「……そうなのか。……にしても、よくそんな容姿に出来たものよのぅ」

 

 白黒は私を見つめながらそう言った。

 

 確かに、あの国を出ていく前と今では、容姿が全く違う。

 

 長い白髪の髪は、思いきって切った。

 お陰で頭が軽くなった気がする。

 

 そして、この髪色と目の色。以前白黒が言っていた事を参考にしてみた。

 感情によって姿が変わるのなら、ある一定の感情をずっと引き出していれば、黒髪赤目を引き出すことができるのでは?と思いやってみたところ、思ったよりも上手くいった。

 ついでに服も動きやすいように簡素な感じにした。

 

 偽装としてはたぶん完璧である。たぶん。

 

「感情のコントロールなぞ、そう簡単に出来るものでないぞ?シュリアよ」

「違う。今はリネア」

「おっとすまぬ」

 

 『リネア』という名前は、シュ“リア・ネ”ーフェスから取った。

 元々は『リ“アネ”』にしようと思ってたけど旅の途中で白黒が、

 

「のう、リ“ネア”よ。あとどのくらいじゃ?」

「いやリアネだから」

「あぁそうじゃった。リ“ネア”じゃな」

「直ってない」

「す、すまぬ、リ“ネア”」

「………もうリネアでいいよ」

 

 という風に、あまりにも間違えるのでリネアに変更した。

 聞き取りずらいのは良くわかるけど、これは間違えすぎだと思う。

 

 まぁ、何だかんだあって、私はバレずに冒険者リネアとしてお金を稼いできた。

 

 もうこのお金で一生暮らすのもアリだが、私の目的はスノを探すことなので休んでいる暇はない。


 とはいえ休息も大切。

 今日くらい休んでいいよね……なんて思いながら、私は宿のベッドの上に倒れこんだ。

 

「白黒。私今日はもう寝るから」

「む?お主の体は睡眠を必要としないのではなかったのか?」

「今日は寝たい気分」

 

 私は目を閉じ、脳をシャットダウンする。

 

 ◆

 

 ミューナンセの森。


 そこはミューナンセ大陸にある広い広い森。

 近くにはネーフェス王国とヴォルメ王国があり、よく魔物や動物の狩りなどで利用されるスポットである。凶悪な魔物も存在するため、危険な森でもある場所だ。

 

 そんな森の中、ポツンと一人の少女がいた。

 少女は何らかの方法を使って、魔物を召喚していた。

 

「あぁぁぁぁ遅れちゃうよぉぉぉ!!早く出てってばぁぁ!」

 

 少女は次々と魔物を召喚していく。

 

「何で今日に限って出ないのぉぉ!うぅ。これも全部アイツのせいなんだか………あ」

 

 瞬間、少女はドラゴンを召喚した。

 

「うわぁぁぁぁ!ななな、何でこんな確率が低い魔物が普段なら絶対出ないの出ちゃうのぉ!?ああああまって! どっか行ったら私が怒られちゃうよぉぉ!!」

 

 ドラゴンは少女の命令を聞かず、ヴォルメ王国の方向へと向かった。

 

「あぁぁぁ……。せ、せめて私が召喚したってバレないようにしないと……!あっ」

 

 少女はまた召喚を始めようとしたが、魔方陣が浮かばない。

 

「あああ、ま、魔力が足りてないぃぃ……!うぅ。ポ、ポーション買わないと。何処かに盗賊とかいないかなぁー……?」

 

 少女は半泣きになりながら、ポーションを探し始めた。

 

 ◆

 

 翌日ーー。

 

 外の明るさに伴って、私はベッドから体を起こす。

 簡単に支度を済ませ、カーテンを開ける。すると、外が騒がしい事に気がついた。

 耳鳴りがする。

 

「……うるさい」

「同感じゃ」

 

 ふと横を見ると、白黒が肩に座ってそう言った。

 

「何があったの」

「分からぬ。宿のおばちゃんに聞いてみた方が良さそうじゃな」


 確かにと思い、一階へ降りた。

 

 下には宿主のおばちゃんが居りテーブルに今日の朝ごはんを並べていた。

 

「リネアちゃんおはよう。今日も早いねぇ!」

「おはよう。…何時も有難う」

「いいんだよ。さぁ、食べな食べな!」

 

 ニカッ、と笑うおばちゃんは眩しかった。

 私は座って朝食を食べる。

 ……うん、流石。私じゃこんな美味しいのは作れない。

 

 私は朝食を取りながら、今朝の騒動について聞いた。

 

「ああ、外の騒ぎの事かい?何でも外で魔物が大量発生したらしいよ。モンスターテンペストかもしれないってね」

 

 ふーん。首都に来るかもしれないって、慌ててるのか。

 

「おい、シュリアよ。我の朝食は無いのか?」

 

 私の服の裾を引っ張って、白黒がそう言った。

 うるさいので私は無言でパンをちぎって渡す。

 それを受け取った白黒は、美味しそうに食べ始めた。


 精霊が人間のご飯を食べるのって、いつ見ても違和感しかないなぁ。

 

 白黒をぼんやりと見つめながら朝食を取っていると、おばちゃんが慌てていないことに気がついた。

 

「おばちゃん、逃げなくていいの?」

「あたしのとこはあんたが居るから安心だよ!なんせSSランク冒険者だからさ!」

 

 いやSランクです……と言っても、おばちゃんは聞いてくれない。

 どうしてこんなに話を聞いてくれない人ばっかりなんだろう。

 

 その後、私は朝食を食べ終え、ギルドに行って情報を集めることにした。

 

「こんにちわー」

「おいッ、ギルドマスター!どういう事だよッ!」

 

 おっと。お取り込み中?

 カウンターにて、お大柄な男が険しい表情でギルマスを睨み付けていた。何となく、ギルド内の雰囲気も暗い。

 何かあったのかな。

 

「どうもなにも、その言葉の通りではないか」

「そんなんで納得できるかよッ!」

 

 なんかめんどくさそー……

 

 厄介事には巻き込まれたくないので、私は適当に依頼を取る事にした。

 

 一通り依頼を見てみたが、どうにも討伐関連の物が多かった。おばちゃんの言ってた通り。

 んー……SSランクの依頼……。

 

 盗賊団討伐依頼。

 『連華の歯車』。

 ミューナンセの森深くにてアジトを発見。

 

 報酬金貨三百枚……!

 いいねぇ。コレにしよ。

 

 私はその依頼が書かれてる紙を取り、受け付けに持って行った。

 

「はい」

「えっ、あっ、あ、はい!えっと、リネアさんですね! はい、お一人でしょうか?」

 

 何時もより反応が遅めだった。

 多分、揉め事に目が行ってたのだろう。

 しっかりしてほしい。

 

「勿論」

「わかりました。こちらの依頼ですね。受理致しました。ではお気を付けて!」

 

 確認が終わったところで、私は早速依頼へ向かった。

 そう言えば、あの人達何であんなに空気が重かったんだろ?

 ま、関係ないからいいや。

 

 ◇

 

 ギルドを出て、すぐにミューナンセの森に向かった。

 森へ入ると、直ぐにゴブリンが私を出迎えるようにわらわらと寄ってきた。

 

 いや多い。

 

 簡単な魔法でどんどんゴブリンやオーク、スライム等の雑魚魔物を殺していくも、一向に全滅しそうになかった。

 

「白黒も手伝って」

「さっきからやっておるわ!」

 

 白黒は怒りながらナイフでスライムを倒していた。

 

「全然殺れてない」

「愚痴愚痴いうでない!我の魔術は複雑と言ったじゃろう!」

 

 確かに、白黒の魔術は複雑である。

 白黒は時関連の精霊なだけあって、それ系統の魔術しか使えない。なので、白黒単体の力はそれほどではない。

 まぁ、時空を歪ませて攻撃するとか言う謎の魔術もあるらしいけど、本人いわく魔力消費がえげつないからあまり使いたくないらしい。

 

 白黒は基本的に雑魚ではあるが、姿が見えないため攻撃されない。

 無性に腹立つ。


 白黒が戦力にならない故に魔物の量は減っていかない。

 

 しょうがない。

 

「白黒。着いてきて」

「了解じゃ!」

 

 私は、浮遊魔術を使い、そのまま盗賊団のアジトへと向かった。

 “逃げる”の選択である。

 

 ◇

 

 盗賊団のアジトは簡単に着いた。

 警備は手薄で入り口に二人いる程度。まずそいつらを剣で殺した。

 うん、剣いいね。思ったよりも使いやすいかも。杖じゃなくて剣で使おうかな、『破滅杖(カタストロフィ)』は。

 

 正面から侵入した途端に、仲間の盗賊団が現れた。

 

「おい、そこのガキ。お前がそいつらをやったの」

 

 私はそいつが言い終わる前に殺した。

 

「!?よくもっ!!」

「!分かってるんだろうなぁ!!」

「やってやる!!」

 

 殺る気が満ちているこいつらを、私はどんどん殺していく。

 こいつらの特徴として、死ぬ前に大体何か言って死んでいくので、ほんとにうるさい。

 

 ……はぁ、剣だと効率悪い。やっぱり魔術で一気にやった方が楽そう。

 

 私は『破滅杖(カタストロフィ)』を杖状に戻す。そして、氷魔術の〈氷結霧〉を発動させる。

 

 〈氷結霧〉は、一定以上この霧を浴びていると氷る魔術である。ずっと放っていればかなり強い。熱系魔術で対抗出来るのが欠点だけど、見抜く事も難しい魔術でもある。

 

 案の定アホばっかりだったから、誰も熱系の魔術を使っていなかった。

 

 魔術を発動しておよそ五分。

 私は攻撃を避けながら、近くの奴を殺していく。するとーー

 

「うわぁぁぁ! 手、手がぁぁ!」

 

 何処から、悲鳴に近い声が聞こえた。そいつが言ったと同時に、周りの盗賊がどんどん凍っていった。

 

「ふふ。効果的」

「た、助け」

 

 そう言った盗賊が、最後の一人だった。

 凍ったと同時に破滅の効果もついているこの魔術は、勝手に割れて崩壊していく。そういう仕組みなので、後処理がかなり楽である。

 

「ふぅ。相変わらず恐ろしい奴やのぅ」

「……あー居たんだ」

 

 半分忘れかけていた白黒が、入り口から遠くで此方を見ていた。

 

「早く来なよ。もう魔術は解いてあるし。……来ないなら置いてくけどね?」

「今行くのじゃ!」

 

 そう言うと白黒は速攻で此方へ飛んでくる。

 

 私は、更にアジトの中へと侵入した。

 

 ◇

 

 あれから、中にも盗賊がちらほらと居たが、先程の盗賊の量には及ばないうえに、殆どが雑魚だった。出尽くしたのだと思う。

 

 そして、盗賊団のボスの部屋であろう場所を通った。

 

 まぁー中に何人か居て、何か喋ってたけど、他の奴と何ら変わらなかった。直ぐに死んじゃったし、どうせ大したことないよね。とりあえず、ここで依頼は完了した。後は証拠を適当に持って帰って報告すれば完璧である。

 

 そこまではいい。

 順調に依頼はこなした。けど、問題なのは更にその先。

 ボス部屋の奥に、入っちゃ行けなさそうな部屋があった。

 

 興味本意で中に入ると、お宝が山のように積んである場所に拘束されている少女が一人。

 お宝は金になりそうだから持って帰る事にした。

 そして少女はと言うと、

 

「んー!んんんーーーッ!んッ!んんーーッ!」

 

 塞がれている口を使って、涙目になりながらそう言っていた。

 マジで何言っているか分からない。解読不能。

 

 そんな少女をどうするのか。私はそれに悩んでいた。

 

 とりあえず、見ていて可哀想だったので拘束具をほどいてあげた。

 

「ーーッ、はっ!あ、あああああの!た、たた助けてくれて、あ、ありがとうございますぅ!」

「……じゃ」

 

 少女は拘束をほどかれるなり、直ぐに私にお礼を言った。

 私はお宝を仕舞い始め、帰る準備を始める。

 後は勝手にどうぞ、ということで。

 

「あ、あの、ま、まりょ、魔力回復のポーション貰えないですかッ!?わ、私、魔力が足りてなくふぇ」

 

 最後噛んだ。

 そう思ったけど、伝えはしない。

 

 私は勿論ポーションなんて持ってないので、お宝集めに集中する。

 

「あああああのッ!!」

 

 少女は私のすぐ近くまでやって来て、大声でそう言った。

 

「……うるさい」

「ひぃッ!ご、ごめんなさいぃぃッ!わ、私、魔力が……!」

「……あーそう」

「えっと、わ、私、私……」

 

 曰く、少女は魔力が足りず近くの店まで買いに行こうとしたところ、運悪く盗賊団に捕まってしまい、反抗したところで魔力が切れて歩くことすら出来ない状態でこの部屋に捕まっていたのだと言う。

 歩くにも魔力が足りない為、ポーションが必要らしい。少女はかなり必死だった。

 

 ……ポーションって、私は魔術使っても全然減らないから必要ないんだよね。

 

「残念だけど、持ってないから」

「えっ!?うぅ……じゃ、じゃあ、町まで送ってくれませんか?」

 

 なるほど。町まで行ってポーションを買うのか。別に送ってあげることは簡単である。

 でも、

 

「それって、私に何のメリットがあるの?」

 

 私はそこまで善良な人じゃない。

 

「えっ………お、お金…さ、…差し上げます!」

「……持ってないんでしょ?」

「っ!!な、ななななんで!?」

 

 分かりやすい。

 

「薄地の服装に、さっきまで捕まっていたと言う証言。全部剥ぎ取られたとしか思えない。そもそもポーションを買うお金すらないんじゃないの?」

「ギクゥッ!」

 

 反応からもバレバレである。

 

 少女はとうとう半泣きになりそうになった。

 

「うぅぅぅ。じゃ、じゃあ!おっ、おいしい食べ物が食べれるお店紹介しますっ!」

 

 誘惑。それはある意味誘惑だった。

 

 おいしいお店……。興味はある。

 

「………いいよ」

「えっ?」

「そのお店って、ヴォルメアの所?」

「えっ、えっと、はいっ!」

「……わかった。送ってくよ」

「っ!あ、ありがとうございます!」

「私リネア。君は?」

「あっ、えっと、わ、私はルンって言います!」

 

 ルン。

 

 紫髪に金の目を持つ少女は、オドオドと臆病そうに、そう名乗った。

 

「リネアさん、あ、あの、私もお宝……貰ってもいいですか?」

「そんなの個人の自由だけど」

 

 そう言うと、ルンは明るい顔になり、お宝を集め始めた。

 

 ◇

 

 数分後。

 

 とりあえず金貨千枚は越えるであろうお宝は集めた。お金は大事である。とっておいて損は無い。

 

 そして、ルンは更にその上。大量のお宝を、魔道具のアイテムボックスに入れていた。アイテムボックスもここにあったお宝の一つだった。金貨二千枚はいく……かな。

 

「ふふ。お宝がいっぱい……」

 

 ルンは呟くようにそう言う。私は聞こえてるけど。

 

「シュリアよ。こやつを連れって行って大丈夫なのか?」

「……大丈夫。だから人前じゃそれで呼ばないで。相手が鑑定系のスキル持ってたら即バレだから」

「す、すまぬ」

 

 私は白黒と小声で話す。

 

 いくら白黒が人の目に見えないと言っても、鑑定で調べられたらそこに何かいるという事がバレてしまう。

 なんなら私が元王女だということも筒抜けになる。まぁ、私以上の鑑定系スキルを持っている場合に限るが。

 つまり白黒は、下手すれば見られる人が少なからず私以外に居ないとは言い切れないのだ。

 

 そういうこともあるので、正体を悟られないようにするためには、連れていかない方が有益である。

 

 でも、おいしい食べ物が食べれるお店を紹介してくれるんじゃ仕方ない。正体がどうの言ってる場合じゃないからね、これ。

 

「……というか、ルンは動けないんじゃないの?」

「あ、えっと、あ、歩くのは無理でも、て、手とか使って移動することなら、出来るんです!」

 

 ずいぶんと器用なことをする。

 

「そう。じゃ、移動するよ」

「はいっ!……え、でも、リネアさんって、ど、どうやって私を運ぶのですか?」

「なんで?」

「え、だ、だってリネアさん……」

 

 ルンはそこまで言った所で喋ること止めた。

 

 …………背が低いとでも、言いたいのだろうか。

 

「……やっぱり送るのやめようかな」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!ほんとに故意があった訳じゃないんです!!ごめんなさい!ほんっとうにごめんなさい!」

「……そこまで言うなら」

 

 何度も謝った所から反省はしている様子だったので、許すことにした。

 

 まず私はルンを〈浮遊〉で浮かした。

 

「おおおおお!!」

「騒がないで」

 

 そして、王族擬きのサフィエルから吸収したスキル、『転移』を使用して、首都ヴォルメアの門の近くまで転移した。

 

 ◇

 

 門の前まで転移したあと、とりあえずヴォルメアへ入った。

 

 ルンの身分証明は私の連れと言っただけだが問題はなかった。SSランク冒険者として慕われているようで良かったと、今だけは持ち上げた奴等に感謝する。

 

 そのあと、適当に荷台を借りてそこにルンを入れる。

 

「ファぁっ!?」

「ちょっとそこでおとなしくしてて」

 

 ルンはアイテムボックスを握りしめてコクコクと何度も頷いた。

 

 私は荷台を引きながらギルドへ向かった。

 

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