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元王女様は、世界を滅亡へと陥れたい。  作者: 九漆
第一章 ネーフェス王国編
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3.5.第二王女様の日記。

 ネーフェス王国の城の中に、とある部屋がありました。

 そこには一人のシュリアというお姫様が住んでいて、国王や妃はそのお姫様をたいそう大切にしていました。

 

 お姫様には友達がいません。部屋の外に出られないからです。国王や妃は、たった一人の大切な娘であるお姫様が、外へ出てどこかに行ってしまう事を恐れたから、どこにも行かないよう閉じ込めたのです。


 だけど、そんなお姫様には、スノという契約悪魔の友達がいました。スノは自分の事がお姫様以外にバレる事を良しとしませんでした。お姫様はたった一人の友達の頼みを、快く受けました。

 

 今日も二人で、内緒のオハナシが始まります。

 

「……スノ。今日は何する?」

「んーじゃあ、ルーノウ・アルネミーの話でもする?」

「ルーノウ・アルネミー?」

 

 お姫様はまだたったの四歳で、何でも興味を持つ知りたがりやでした。知らない事を知るのは、お姫様にとっての楽しみでもありました。

 

「うん。邪神ルーノウ・アルネミーと、創造神イルエル・エルレウムの話。知ってる?」

「……なにそれ」

 

 お姫様は目を輝かせていて、スノの話に興味津々です。

 

「そっか。それならよかった。じゃあ、聞いててね」

 

 スノはそう言うと、お姫様にかの有名な『創造神と邪神』の物語を聞かせました。

 

 ルーノウ・アルネミーは、イルエル・エルレウムを嫌っていました。淡々と仕事をこなす神達に苛立っていたのです。

 ルーノウはイルエルを初めとした神が嫌いで嫌いで仕方ありませんでした。元々神の一柱だったルーノウは、神たちにあらゆる嫌がらせをしてきました。

 

 するとある日、創造神イルエルに神からの地位をルーノウから剥奪しました。

 神の地位を剥奪されたルーノウは、吹っ切れたように下界で暴れ始めました。それはもう災害と呼ぶに等しい出来事でした。幾つもの国が滅び、人が死にました。

 それに怒った神達は、ルーノウを滅ぼそうと下界へ降りてきました。ルーノウは神達が降りてきたことを知り、逃げるように姿を消しました。神達はそんなルーノウを見つける事を困難とし、ルーノウを邪神と指定しました。

 

「後にこの出来事を『神々の制裁』等と呼ばれるようになった」

「……ルーノウは、その後も……見つかってないの?」

「まぁ、過去に神が降りてきたこと事態があの時だけだったからな。まだこの世界で逃げ回ってることも有り得るっちゃあ、有り得る」

 

 一通り聞き終わったお姫様は、何だか気分が良さそうです。

 

「……あ、スノ。私も、良いこと話してあげる」

「なに?どんな話?」

 

 ふと、お姫様は何か思い立ったようで、ニヤリと自信有り気にスノを見つめます。

 

「《■■■■■》って、知ってる?」

「……?……悪い、何て言ったんだ?」

「《■■■■■》」

「???シュリ、それはなんなんだ?」

 

 不思議な言葉を話すお姫様に、スノは不思議になって問い出しました。

 

「《■■■■■》……だよ。そう言った」

「いやオレ、シュリのそれ聞き取れないんだよ」

「……ならいいよ」

「どういうこと?」

「……絶対に、誰にも言わないでね。あれは──────」

 

 お姫様のその言葉に、スノは驚愕を隠せずにいました。

 

「──え?」

「スノだけだよ。スノだから教えたの」

「なんでそんなことを、シュリが……?いやでも、さっきシュリ、その言葉を言って──」

「私は、例外」

「つまり、それを知ってるボクが言えたら、ヤバイってことか」

「言わないで、絶対。言えるようにも、ならないで」

「……分かった」

 

 スノは、お姫様の心配そうな表情に気がつき、頭を撫で、苦笑いをしながらそう言いました。

 

 恐らくスノは絶対に忘れないでしょう。あの言葉を。

 

 けれど、お姫様との約束を破るつもりはないのです。スノは言葉をちゃんと発しようとはしません。お姫様を裏切りたくはないからです。

 

 《■■■■■》という言葉は、二人にとって、それは合言葉のようなモノ。しかし、この言葉はこの世のどんなものよりも危険な言葉でした。決して発音できてはならない、危険な言葉。

 

 ◆

 

 そんなこともあったな、何て。最後の日記を書きながらふと思い出す。

 

『×月◇日』

 

 それは私が起こした事件の日。スノを見つけると決意した日。

 

『あの夢は本当に私の記憶だった。私の記憶の一部だった。』

 

 確かにあれは私の記憶。でも、それを全て記すには難しい内容でもある。

 

『何で、思い出せたのか分からない。』

 

 嘘だ。本当は思い出せた原因何て、私が一番知っている。

 

『だけど、あの人に会いたい。アイツを殺したい。家族をアイツは殺したから』

 

 設定はアイツを殺害する前に書いた、と言うことになっている。復讐心が募っている文を作って、いかにもこれから実行するという風に。

 

『別にこの日記にこれを記す必要はないけど、ただ、あの人が此所に来た時私を探す為のヒントと思って書いただけ。ただ、それだけ。』

 

 そう。目的は、スノに私が生きているということを知ってもらう為。ポエムじみた文章を書きたい訳じゃない。と言うか書きたくない。第三者から見てポエムっぽくなってなければいいんだけど、まぁ無理そう。

 

 こんなモノかな。

 そう思い、日記に最後の仕上げとして、スノ以外の誰かに見られたらという時もあるため、ある程度血で汚しておく。

 

 あ、そうだ。

 あの“言葉”を書いておかないと。これがないと伝わらない可能性がある。

 

『それと、“アルネミー”……覚えてる?』

 

 これでより確実に、私が思い出したと言うことを知ってもらう。私とスノ、二人だけの秘密の言葉。

 

 ──《■■■■■》

 

 正確にはこっちだけど、訳したらアルネミーになるので、そっちの方を書く。

 不思議だよね。かの邪神と同じ名前何てさ。

 

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