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元王女様は、世界を滅亡へと陥れたい。  作者: 九漆
第四章 西ニトロア編
14/26

13.新天地、誰だって探検したくなるものである。


 図書室の本を全部読めたので、本を元の位置に戻していた時、偶々黄土色の髪が見えた。いよいよ抜け出したのがバレたらしい。

 あの見た目は恐らく眼帯補佐。何かを読んでいる様子だった。

 タイミングが悪すぎる。

 丁度その位置に戻す本があるのだ。あの眼帯補佐が邪魔で置けない。


 ……どっか行くのを待つしかないか。

 

 私はこっそりと眼帯補佐が見える場所へ移動する。

 すると、ボソボソと声が聞こえた。

 

「──は逃げ出しました。……現実という辛さに目を向けたくなかったのです」

 

 眼帯補佐は本を音読していた。

 っ、その、本は──

 

「何処に逃げたのでしょうか。それは──」

「ダメ」

 

 思わず声をかけてしまった。

 眼帯補佐は私の方を振り向いて驚いている様子。

 私はスッと眼帯補佐が持っている本を取る。

 

「ダメだよ。続きを読んじゃ」

「ーー何故?」

「……ダメなの」

 

 私はその本を魔術で燃やした。

 あの本はここにあってはいけないモノだから。

 

「あの本は、一体……?」

「……」

 

 教える気も、言う気もない。

 私はただ、沈黙を貫くだけだった。

  

「言えない、ということですか?」

「……察して」

「……分かりました。ところで、こんなところに居たんですね?皆さん心配してたんですよー?」

「あ」

 

 今更だが、話しかけない方が良かったのでは無いだろうか。

 いやでも話しかけないと、眼帯補佐が全部読んじゃうところだったし……仕方ないか。

 

「全く。何してたんですか?誘拐されたのかと思ってヒヤヒヤしました」

「本読んでた」

「見れば分かります。さあさあ、戻りますよー」

「本戻すから待って」

 

 白黒も呼び戻さないと。あとあのミーフをお持ち帰りせねば。

 

 ◇

 

 本を戻す途中で事前に連絡していた白黒が、まだ探検が終わっていないと言って暴れたので無理矢理連れ戻し、オリジナル自作ソファーを片付ける。

 その際に、スヤスヤと気持ちよく寝ていたあの真っ白なミーフを起こしてしまう形になってしまったが、私はそのミーフを抱える。白黒が目を輝かせてミーフを見ていたのが気持ち悪かった。

 

「図書室にミーフなんて珍しいですねー」

「……なんで?」

「いやぁ、パラン王国の大体のミーフは、パルニィ庭に居てなかなか外に出たがらないんですよ。特に今みたいな危険な状況ですと」

「あー」

 

 確かにミーフは謎に危機察知能力が高い。

 自分に向かって攻撃しようとするとすぐ逃げるのだ。

 その点はかなり優秀だと考えていいだろう。

 

 でも、そのパルニィ庭にミーフのほとんどが居て、外に出たがらないのなら、ここに居るミーフは確かに謎だ。

 “見た”感じ分かるところと言えば……

 

「このミーフ、主食が魔力っぽい」

「え?」

「魔術書は魔力が籠ってる。だから図書室にいる」

「そんな特異個体、存在するんですか?」

「……“見た”から間違い無い」

「いや、“見た”って何ですか!?」

 

 あー……そこも説明した方がいいのか。

 言いたくはないけど。

 

「そういうスキル持ってるの。……秘密だよ」

「君がすごい事は分かりました」

 

 何だろう。

 なんか、いや、もしかして引かれてる?

 よく分からないけど、この人に好感は持たれてなさそう。

 

「ところで、本は全部戻し終わったんですか?終わったなら早く会議室に戻りますよー?」

「お腹すいた」

「お前が余計な事をしなければ今頃夕食だったんだけどなー?」

 

 多分私、この人に嫌われた。敬語抜けてるし。

 私はそう思いながら、眼帯補佐に手を引っ張られて、会議室へと向かわされた。

 

 移動の最中、暇なのか眼帯補佐が話しかけてきた。

 

「そう言えばリネアさんって、図書室で何読んでたんだ?見た感じ結構読んでたっぽいけど」

「あーまぁ、いろいろ」

「曖昧な答え方だな…。じゃあ、何冊読んだんだ?」

「んー……四十二冊?」

「は!?よ、四十二冊!?いくらなんでも速すぎだろ!!」

 

 覚えてる限り、だけど。

 まぁ私、あんまり忘れることは無いからあってるハズ。

 

「本当にあんな短時間でそんなに読めたのか!?」

「ん。一応あそこの図書室にある本は、全部読んだことある事にしたつもり」

「ややこしいけどサラッととんでもないこと言ったな、お前」

 

 どんどん眼帯補佐の口調が悪くなってる気がする。

 それだけ眼帯補佐と仲良くなれた証拠だね。もしかするとこれが素なのかな。

 本心を出してくれてるようで何より。

 

 その後暫く会話を続け、気がつけば会議室に辿り着いていた。

 眼帯補佐が扉を押して中へ入ると、私たち以外の全員がこちらを見ていた。なんだか視線が痛いが……気のせいだろう。

 

 まず口を開いたのは国王。

 

「誘拐されていなくて何よりですが、リネアさん。貴女は先程の会議から抜け出した、ということであっていますか?」

「ん。そうだね」

「ッ、てめぇ……!!」

 

 それを聞いていた赤髪宰相が私を睨み付け、口悪くそう言って私の胸ぐらを掴む。

 

「兄上ぇ、一応相手は女性何だよ?」

「あ"?んなことはどうだっていんだ。今はコイツの失礼すぎる態度を直してやらねぇとよォ?」

「!た、確かに!兄上、充分に教育してやって!」

「おし。手始めに骨でも折るか!」

「やめて。痛いの嫌だから。いや、ほんとに」

 

 私は抵抗しようと体を動かすが、赤髪宰相の力が強すぎてなかなか抜け出せられない。

 ヤバイ。死ぬことはないし傷とか負っても治せるけど、あんな拳は食らいたくない。

 痛いのはイヤだ。本当にイヤなのだ。

 

 ──仕方ない。

 

 私は〈時間停止〉の魔術を発動させた。

 

 魔術はちゃんと発動出来たようで、周りの動きは完全に止まっている。

 私は魔術が切れる前に、急いで赤髪宰相の手から抜け出す。止まっているなら体を柔らかくして拘束から抜け出す事など容易いことなのである。

 

 〈時間停止〉が終わるまで、私は赤髪宰相からなるべく遠くの場所へ移動する。魔女帽子の近くなんか安全そうだ。結界魔術が得意らしいし。

 

 移動し終えた辺りで、〈時間停止〉の魔術が切れて世界は動き出す。

 

「……は?……テメェ、何した」

 

 赤髪最初は驚いたような顔をしていた。

 それもそのはず。

 はたから見れば、私は瞬間移動しているように見えている。時魔術を信じられないものからすれば、仕組みがわからず驚くのも無理はない。

 

 私はその質問を無言で貫く。タネを明かす必要はないのだから。

 

 驚いていたのは赤髪宰相だけでは無いようで、この場にいる全員が私に注目していた。

 

「い、今の、え!?えぇ!?」

「……兄上から抜け出した……?どうやって……」

「何だね、その移動速度は!!素の身体能力か何かかね!?」

「確かに驚いたわね。貴女のような早い奴は初めて見たわ」

「……陛下、これは……!」

「そうですね。シュンさんの言う通りでした」

 

 誰もが驚き私を見る中、国王はそう発言し、私の近くへと歩み寄る。

 

「リネアさん。私たちはこれから、アールツトと戦います。協力をしてくださいませんか?」

 

 やっぱり、私にも協力要請は来るか。

 言われるだろうと考えていたことの一つだったが、どうやらこの人達は初対面でまだ何も分からない私達に、警戒の一つもないらしい。

 

 だけど、私の答えは既に決まっている。

 

「ムリ」

 

 私ははっきりと、相手にちゃんと伝わるようにそう言った。

 

「……何故ですか?協力する方が貴女にとってメリットしかないと思うのですが……?」

「興味ない。私は見てる方が好きだから」

「見る?私達の戦いを?ふざけないで下さい。私たちは真剣なんです。それをまるで舞台鑑賞でもするかのように扱わないで下さい」

「私にメリットなんてない。戦って何になるの。勝ってどうするの。負けるってことは死ぬってこと。勝ってもこの国はどうあがいても滅亡する。生き残れただけでも幸運だと思って、さっさとエルレウム教国とかに避難した方がいいんじゃないの?」

「ッ!」

 

 国王は核心をつかれたように悔しげな顔をする。

 あ、これまた嫌われたやつかな。

 

『リネアは嫌われないと気が済まないのか?』

『善意そうな奴見るとつい……』

 

 特に今回はあの王族擬きに似ていたせいもある。

 

『腐っておるな』

 

 何が、とは聞かなかったが、白黒にまでそう思われたなら、やはりこれは嫌われたのか。

 国王は俯きながらブツブツと何かを呟き続けている。

 その様子に周りはあたふたと国王を元気づけようと話しかけている。

 そんな中、長身はキレてしまったようで、私にづかづかと詰め寄ってきた。

 

「おい、リネア。お前は困っとる奴見たら助けるっちゅうことが出来ないんか?」

「なにそれ。どこの文化?」

「文化も何も人間としての信条ってもんがあるやろ!リネアはアールツトがヤバイ奴なんは知っとるやろ?そんなんにやられそうになっとるこの人たちが可哀想だとか、助けてあげたいとか思わないんか?」

「そんな考え持ってる人がかわいそー」

「お前なぁ!」

 

 その後も似たような感じの説得が続いた。ほとんど聞き流したが。

 聞いていて無駄なのは確かである。

 

「おい、聞いとんのか!?」

「聞いてる」

「嘘付け!さっきまでぼんやりしとったやろ!」

「……あのさ。長身が協力するのか知らないけど、何言われても私は協力しないから。別に、敵になる訳じゃないし。私はただ傍観するだけなの」

「……お前、よくイカれとるって言われんか?」

 

 イカれてる……か。

 

「初めて言われた」

 

 個人的には常識人のつもりだけどね。

 

「もうええ。止めや止め。何言うても意思は変わらんなら、お前に構うだけ時間の無駄な気ぃしてきたわ」

「ん。そうするといいよ」

「……リネアさんがそこまでして協力したくないと言うのなら、私も諦めます。出会って間もない人に協力を要請するのも失礼でした。謝罪します」

 

 長身の諦めの声に続いて、国王が頭を下げてそう言った。

 

「諦めてくれて何より。だから頭は上げて」

「…お前、陛下が頭を下げてまで謝罪しているのだぞ!?無礼過ぎる態度だとは思わないのか!!」

 

 護衛騎士は思考も堅苦しいのか。

 

「クロム、良いのです。元々、私達の無謀な戦いですから。巻き込むのも失礼だと思いませんか。リネアさんの反応が普通ですよ。その点、協力してくださるシュンさんには感謝しかありませんね」

「ッ!で、ですがっ!」

「クロム」

 

 国王は目を鋭くさせて護衛騎士を睨む。

 もういいと強く訴えるような目に圧倒された護衛騎士は、仕方ないと言わんばかりに黙った。

 

「では~、そろそろ食事にしましょうかー!パパっと作ってきますからね~。皆さんはホールへ移動していて下さいね。それとカーリャさん、お手伝いをお願いします~」

「任せてください!」

 

 丁度よい頃合いかと思ったのか、眼帯補佐が声を大きくしてそう言い、魔術師帽子と共に会議室から移動した。

 

 やっと食事だ。

 でも、滅亡未遂の国の食事はあまりおいしい気がしない。

 

 ◇

 

 その後、眼帯補佐達が用意してくれた夕食を食べた。  

 結構美味しかった。ちょっと舐めてたかもしれない。


 夕食を食べ終えた後、二階の空いている部屋に案内してもらい、私達はそこで一旦休むことにした。もちろん長身とは別々の部屋である。

 

「んじゃー俺、こっちやから、また明日な。ええか?絶対に誰にも何も言わずにどっか行くなよ?また心配させるんじゃないで?分かったか?」

「ん」

 

 何処かに行かないというのは保証できないけども。

 

「不安やな……。あ、あとそのミーフについても後で詳しく教えろや。今は休みてぇからな……それじゃあな」

「……分かった」

 

 バタンと音を立て、長身は隣の部屋へ入った。

 これから外を探検する予定だが、私も一応部屋へ入っておく。

 

 部屋の中は狭く、ベットと机に椅子、それから荷物が置けるような棚がある。実に簡易的だった。

 まぁ、これだけ揃ってれば個人的には十分。

 

 私がベットの上に座ると、頭に乗っかっていたミーフが疲れたのか私の膝の上に乗ってきた。

 私はミーフの頭を撫でる。うん、ふわふわ。

 

「我にも触らせて欲しいのじゃ!」

 

 白黒が目をキラキラさせながら、目の前に飛んできた。

 一応部屋の中という事もあるため、思念魔術で会話をするのは止めたらしい。


 まぁ、白黒がミーフに会いたいって言い出したんだもんね。

 

「いいよ」

 

 私がそう言うと、白黒は一気にミーフへ飛び付く。

 ミーフは眠そうだったので、白黒がもふる度に目が微睡んでいく。

 あー、寝そう。

 

 そう思った直後、ミーフが動かなくなった。

 

「うは~!可愛いのぅ!癒しじゃのぅ!リネア、本当によくやったのじゃ!」

「そうでしょ」

 

 ここまで懐かれて良かった。

 私は疲れてないけど、見てるだけでも癒されるのはよく分かる。

 

「して、また何処か出掛けるのじゃな?」

「……なんでバレてるの?」

「なぁに、少し思考を読んだまでじゃよ。というか、人の話を一切聞かないお主にはもはや尊敬するのじゃ」

 

 ムカつくので頬を引っ張っておいた。

 

「やふぇふほふぁ(やめるのじゃ)!」

「何言ってるのか分かんない」

 

 白黒は頬を引っ張られて顔をしかめた。

 いい顔が見れたので私は頬を引っ張るのを止める。

 

「はぁ、酷い目にあったのじゃ」

「優しくしたつもり何だけどな」

 

 過剰に反応しすぎだと思う。

 

「それで、いつ出るのじゃ?」

「今、十時くらいだから、後三時間後くらい?」

 

 あまり早すぎると気づかれる可能性がある。なるべく全員が寝静まる深夜に出て探検していきたい。

 

「ついでにここから出ていきたいんだけど、どう思う?」

 

 私は、ここからは傍観者に徹していたい。

 どちらかに味方をしたくないのだ。

 なので、今からでもよく見れる位置を探していく必要がある。

 

 まだ外までは完全に“見れ”ていないので、難易度は高い。

 全てが終わるのが数日後だとすると、終わる前に敵側にも接触していきたいところである。

 

 白黒は私の考えに少し驚いた表情をしたあと、肩を落として溜め息を付いた。

 

「酷い奴じゃのぅ。ミーフに会いたがっておったシュンが可哀想ではないか」

「酷くない。やりたいことをやろうとしてるだけ」

「よく言えば素直じゃな、お主」

「……それで?どう思うの」

「お主は我の契約者じゃ。主人の行動に意見してどうする」

 

 つまりは肯定。

 

「いいってことね?」

「そうじゃな。お主は外道な奴じゃが、なかなか面白い出来事に会わせてくれる。我はお主のそう言うところは気に入っておるのじゃ。故に今度も期待しておるぞ?」

「外道は酷い」

「あぁ、すまぬ。心の無い奴の方が良かったかのぅ?」


 そんなことを言う白黒こそ、外道に近しいように感じるが。


「……もういい」

「む。つまらんのぅ」

 

 白黒の煽り方が段々上がってる気がする。物凄くウザい。

 

 白黒の相手をするのに飽きたので、私は破滅杖(カタストロフィ)や白黒の日記が入っている、スノのスキルの一部である亜空間から、紙と筆を取り出し、机に広げた。

 その様子を見ていた白黒が、不思議に思ったのか私に問う。

 

「何をするつもりじゃ?」

「一時になるまで新魔術研究する」

「そういえばお主、魔術好きじゃったの」

 

 魔術は奥深い。

 何せ、魔力があれば誰にだって引き起こせる現象だから。

 術式を記憶しなければならないという難点こそあれど、逆に術式を改良すれば、理想の魔術が出来るというのがまた良い。

 だから私は研究する。

 どんなに下らない魔術だって、嫌がらせ程度に使えるかもしれないから。

 

 ──三時間後。

 

 あれから特に何の成果もなく時間がたってしまった。

 まぁ、私の理想の魔術の完成には近づいたし、少しは成果があったのかも。

 

 でも一旦研究は終わりにしよう。時間を気にしてないとすぐ朝になってしまう。

 そう言うわけで、私は机に広げていた紙をまとめて全て仕舞う。


 あ、忘れる所だった。

 部屋全体を見回していると、ベットにミーフが居たことを思い出した。

 

「白黒、運んで」

「了解じゃ!」

 

 私はそう言って、寝ていたミーフを白黒に渡した。

 ミーフは軽い。なので白黒に持たせておけば何処かに置いていくことは無いはず。

 

 私は持ち物を確認し、窓を開けて外へと歩き始めた。

 

 ◇

 

 外は真っ暗で、相変わらず建物はボロボロだった。

 今あの爆弾魔は活動をしていないらしく、爆発音は聞こえてこない。安心して外を出回ることが出来る。

 今のうちによく見れる場所を見つけておこう。高台なんかが丁度いいんだけど……いいところあるかな。

 

 私は〈浮遊〉で空を飛び、ここらで一番高い場所に飛んでいく。

 着いた場所は半壊している灯台。鐘があったのか、一番上は外がよく見える。

 目を良くすればここからでもかなり良く見えるだろう。


 うん、傍観場所はここで決定だね。

 

「白黒、ここ仮拠点にするから、一応場所は覚えておいて」

「うむ……ん?……は?お主、アホか?何故こんな目立っている場所にしたのじゃ?」

「……?確かに目立ちやすいけど、ここなら見やすいでしょ?」

「いやいやいや!お主は被弾する確率を考えておらぬのか!?」

「結界張っておけば大丈夫」

「そうじゃった。お主、おかしいくらいにスキルと魔力を持っておったな……魔術に関しては言わずもがなじゃったわ」

 

 白黒も納得したようだし、ここにはまた後で来るとしよう。

 

 次は敵探しといこうか。

 なかなか面倒だけど、姿さえ見つかればこちらのもの。


 『千里眼』をフル活用すれば、そう時間はかからないはず。

 

 ◇

 

 否、案外見つからないものである。

 

 あれから一時間と少し。

 『千里眼』で見つけようとするも、何かに邪魔されたのかのようになかなか見つけられなかった。

 白黒なんて、ミーフに抱きつきながらすやすやと寝ている。地味にウザい。

 

 遠くを“見る”って結構疲れることに気づいた。

 休憩しながら“見てる”と朝になってしまう。

 それだけは避けないと。

 

 それにしても、城から少し離れた先にある、ボロボロな家を見ようとすると、何かに弾かれて真っ暗になるんだけど……もしかして彼処に居たりして。

 

 ……ありえる。全然ありえる。

 少し休憩したので、もう一度あの家を“見てみる”。

 

 バチッ

 

 ……弾かれた。

 やっぱり怪しい。

 

 そう言うわけで、私はその家に向かって近くまで『転移』した。

 しっかり白黒もたたき起こしたので、忘れ物とかはないはず。

 私はそこからあの家まで歩き進める。

 数分もすれば目的地に着いた。

 見た感じは其処らと同じようなボロボロな家。屋根なんて穴だらけである。

 

 私はその家の扉に触れる前に『千里眼』で“見て”みる。


「ふふふ」

 

 ……みーつけた。

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