近隣住民は大切に
「早速始めるとするか」
テトは国王に貰った(正式な許可は取っていない)場所に降り立ち街作りを始めたのであった。
「まずはロードマップを作らねばな。何事も目標と期限を決めねばいつまで経っても進まぬ。足踏みをしている時ほどつまらぬことは無い」
テトは頭の中にロードマップを刻み始めた。
「まずは整地だな、それから人材、それから......」
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テトの初めての街作り ─ ロードマップ編
建設予定地の整地:
人材を確保する(人間で無くとも良い):
作物を育てる:
家畜を飼う:
料理が出来るやつを見つけるor作れるようになる:
旧友に声を掛けに行く:
人間と仲良くする:
いい街を作る:
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「あとは全て成り行きでどうにかなるであろう、我は運がいいからな。」
テトは久々の作業に少々テンションが上がっているみたいだ。早速近くに生えていた木を伐採し始め、見晴らしの良い地形を形成していく。
「我にかかれば木を切るなど造作もないこと、風魔法を使えば作業が捗る。」
魔法。それはこの世界に流れる魔力というものを応用することによって使える特殊な力のこと。魔法には攻撃魔法・便利魔法・生活魔法・守護魔法・結界魔法・付与魔法の6つが存在している。他にも例外魔法と呼ばれる理屈が不明の魔法もあるが、それはまた後にしよう。この世界の住民はその力の大小は違えど皆魔法の行使ができる。
「木の伐採はこれくらいで良いであろう。雨が降っては困るからな。洞穴でも作って素材置き場にするか」
山の中腹に指を突き刺し大きな穴を作りそこに伐採した木を収納し始めた。
次に始めたのは土の固め作業。切り倒した大木の形を整えそれをローラー代わりにし土をコロコロと整地&固めていく。地道な作業とはいえ家で寝ているだけの日々より確実に充実しているとテトも実感していた。
「楽しい、楽しいぞ!今までの生活には戻れそうもない。」
ドスンドスンと地響きを鳴らし、移動しながらコロコロと地形を整えていくエンシェントドラゴン。かつてこのような光景があったであろうか、断言しよう。無い。
「先程から感じてはいたが、我の足音は少々五月蝿いようだな。この振動だとあの国にまで届いているだろう、どうしたものか....」
テトは整地を続けながらも対処方を考える。テトは人間を嫌っていないし殺めることもしない。人間の事はどうとも思っていなかったが、人間達の住む国の近くに住むとなったら話は別だ。ドラゴンだからと人間達に恐れられないようにイメージの改善を図らなければならない。ドラゴンとは聡明な生き物だ。目的の為にすべき事を蔑ろなどにできない。
「そうだ。結界を貼れば良いでは無いか。我の土地と西の王国だったか?そこの国にな。そうとなれば早速やろうではないか。」
テトは羽を大きく広げ魔力の膜を広げ自分のテリトリーを主張する。
「次はあの国か。」
テトは軽く羽ばたきゆったりとした速度で西の王国へと向かった。ものの数分で辿り着き、防壁と城を守る城壁をものともせず顔だけ乗り出し城に向かって話しかけ始めた。
「おい。この国の王よ」
初めて話した時と同じように城のベランダから国王が話に応じ始めた。
「どのようなご用向きじゃ。テト殿」
「ふん、なに。我の足音が少々響くようでな。貴様らの国に結界を施してやろう。そういう話だ。」
「け、結界をか.....?」
「そうだ。不服か?」
エンシェントドラゴンの結界。それは世界最強の結界と同義。防壁?城壁??そんなものないのと同じである。どんな攻撃であろうと削ることすら出来ないであろう。世界各国が攻め込まれようとも突破は出来ない。それ程までに強固な結界なのだ。
「ね、願ってもいない事であるが....」
国王というものは本来威厳を保たなくてはならない、が。エンシェントドラゴンにそんなことは関係ない、どころか。エンシェントドラゴンを前にして威厳もクソもないだろう。世界で最も威厳のある生物なのだから。
「では決まりだ。反論は聞かないし受け付けん。もちろん害などない上に出入りも自由にできる。外からの攻撃は防いでやろう。さらばだ。」
話している最中に結界を貼り終え話を終えた瞬間にバッサバッサと飛んで行ってしまった。
「......我が国は、とんでもないものを施してもらってしまったの。」
ふと我に返り現状を整理した国王であった。
*
「これで人間共の心配も要らぬな。」
テトが貼った結界にはテトの魔力が練り込まれている。それが意味することは女神の加護も組み込まれているということだ。テトも安売りはしていない為極極少量の加護しか込めていないが、今までよりも確実に良い結果が舞い込んでくるであろう。
「では。続きを始めるとするか。」
結界に織り込んだ振動や音を抑える効果により近隣トラブルも解決したことによってさらに効率の良い整地方法を編み出したのだ。
「我が体重を乗せて踏めば土も固まるであろう。」
テトは整地予定に全体重を乗せて踏み込んだ。その土地はギュッと土がなったかのように固く固まった。多少のムラはあれどそこはローラーを使いコロコロと整えれば、綺麗な土地の完成だ。
「我が住むには少々狭いが。我以外が住むには良い広さではないか。では早速次の作業に取り掛かるとしよう。」
次に取り掛かった作業は自分の家づくり。それも特段大きい物だ。家とは言えど、エンシェントドラゴンが住むような家など建てられる筈もなく、貰った山をくり抜き快適な洞穴を作ることにした。大きさとしてはテトが寝れるくらいの大きさ。西の王国の半分くらいの大きさだ。途中で洞窟や鉱脈に当たることなどなく資源を無駄にせずに掘り進めることが出来た。これも女神様の加護のお陰であろう。
「なかなかに良い家ではないか。では、引越しの開始だ。」
テトは一瞬のうちに元々住んでいたお家を空間ごと転移しいつも通りのお家を出現させた。もちろん元いた場所はただの空洞になりテトが所持していた全てのものが移動したのだ。
「家はいつも通りで良いのだ。多少広くなったことにより体を起こすのも楽々と出来るようになった。リフォーム成功であるな。」
大量に積まれた金銀財宝。このお金の使い道はいかに。




