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王女と遠出

「テト様準備が整いました!では、行きましょう!」


「うむ、では()くとするか」


準備は1時間程で整った。日差しが眩しく一般人が長時間外に居たら間違いなく日焼けするだろう。ドラゴンにそんな事は関係ない。手荷物は少し大きめな革製の箱型手提げケース、多少の魔力が帯びているところからかなり頑丈だろう。


「き、気をつけるのだぞ?王族の自覚を持って行動するのだぞ、?わかったか、?」


「行ってきまーす」


セイヘムはテトの頭の上に飛び移りユンタルを軽くあしらった。心配そうな目でこちらを見つめ続けるユンタル。背中に向けられる視線がとてつもなく熱い。


「マンティコアに会いに行くと言っておられましたが、マンティコアとはどのような生態をしているのでしょうか!」


もう頭の中から【ユンタル】という単語が消滅しているのだろう、何処までも不憫な王様だ。


「良かろう、マンティコアとは北にある特殊な気候に住む魔物だ。」


「特殊な気候?」


「そうだ。極寒·灼熱·陽気、相対する気候が入り乱れる特殊気候、ある場所を境に気候が整い始めるのだかあやつはそこに住んでおる。」


「なかなかに過酷な旅になりそうですね、」


「なぁに、我が居るのだぞ?心配は無用だ。我が結界を張れば気候など気にする必要も無い。ただの優雅な旅だと考えれば良い。」


「テト様がそういうのでしたら私は何も心配ありません!」


いつの間にか伝説の魔物への信頼度がカンストしているが、この子はもっと危機感を持った方がいい。王族が関わりが強くなったからと言ってそんなホイホイと着いてきていいはずがない。テトが悪しき魔物であった場合セイヘムを人質にとってなんでもできてしまう

.....そんな事をしなくても力でねじ伏せられるのは一旦忘れよう。


「そういえばセイヘムよ、貴様はさっきこう言っていたな?」


『私見てみたいです!マンティコア!』


「何故見てみたいのだ?マンティコアは人類にとっては脅威だ、進んで会いたがる人間などいないだろう。」


素朴な疑問、それもそのはずだろう。近くにエンシェントドラゴンとかいう怪物がいるから感覚が狂っているのか、マンティコアは人間的に言うとSSランクの魔物、西の王国(リードルド)が勢力を上げて勝てるかどうかの相手、天災と言って差し支えないだろう。


「お父様には言ったこと無かったのですが実は私、魔物学者になりたいのです!」


「魔物学者?」


「はい!」


───魔物学者

魔物についてのあらゆる情報を調査する者の事。魔物の弱点や習性なども把握しているため冒険者のような魔物との戦闘を生業にしている人達からかなり重宝されている存在。


「だが、貴様は王族なのだ、王位はどうするのだ?」


「お兄様がいますので大丈夫です!」


「なに?兄が()るのか?」


「はい!」


今は遠方に居るらしいリードルド・ルイタル、セイヘムの4つ上で政治などにかなりの知見がありセイヘムよりも王位に近い位置にいるそうだ。と言うかセイヘムが王位に興味が無いらしく王位継承権を持っているが今はただ持っているだけらしい。


「それでユンタルは納得しているのか.....?」


「表向きにはお兄様と争っていることにしてあります!実際はお兄様もグルで私の夢を応援してくれています!というかお兄様的には私を応援しない理由はないですし!」


「それもそうであるな。競争相手のセイヘムが事実的な離脱を宣言しているのだ。王位を狙っている貴様の兄にとっては好都合と言うものであろう。」


「はい!ですので私は伸び伸びと暮らさせていただいております!一人の時は執事に黙って持ってこさせた様々な魔物の生態について書かれた本を読んでおります。本という物は読めば読むほど夢が広がっていきますよね〜」


「それについては同意見だ、知識を得るということは見える世界の拡張と同義、我のように暇潰しで読んでいるのでは無く目的を持って知見を深めているのであれば尚更であるな。」


雄大な空を飛びながらの談義。ここら辺は以前家まで連れてきた時に見せていたから話に集中できたのだろう。だが、ここからが大空の美しいところなのだ。


「雑談も良いが、景色を楽しむのも遠出の楽しみと最近の文献で読んだぞ?」


セイヘムはテトの頭から体の方に移動し四つん這いになって下の景色を眺め始めた。辺りを見渡すと大きな湖や小さな村、花畑と色々な物が見える。


「魚!魚がはねていますよ!」


セイヘムはかなり目がいいようだ。かなり離れた距離からだが湖で跳ねている魚達を背中見ているらしい。


テトが気を使ってくれたのだろうかいつもよりも遥かに低空に降りてくれた。


天気も良くちょうどいい気温でテトの速度で飛んでいても一切肌寒くもなく心地良さで寝れてしまうほどだ。


「はぁ〜、日頃の疲れがすり抜けてくような、そんな解放感がありますね〜。」


「空を飛ぶことができない人類種にとってあまり体験できないことだ。旅はこれからだ、振り落とされぬようしっかり捕まっておるのだぞ?」




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