伝説の魔物~シチューを食べる
「さぁ、完成しました〜オーク肉の戦シチューでございます。」
場所は厨房からテトの待つ城壁外へと移った。周辺には騎士団が待機しており簡易的なテントまで建てられていた。
自分達の住処の目の前ではあるが、億が一の事があるためなのだろう。仮にもエンシェントドラゴン、王妃様が連れ去られてしまえば抵抗するすべもないだろう。
「これが貴様の料理か、」
テトは料理に顔を近づけ目を瞑り香りを楽しみ始めた。
「ふむ、センクリンドの料理も素晴らしかったが、香りを嗅いだだけでわかる。奴の料理とは一線を描く料理と言ったところ、実に楽しみだ。」
「騎士団の皆様方も是非〜」
なんとも肝の据わった女性だ、と周囲の人間は思うだろうがテトの家まで行った彼女だからわかること、テトは悪しきものではない。国の結界も然り報酬の件も、対等な関係を心得ている聡明な魔物だと理解していた。
「で、ですがテト様の分が減ってしまうではありませんか」
声を上げたのはセンクリンドであった。かなりの量だが騎士たちに配るとなるとこれまたかなりの量が減ってしまう。テトの体から考えるに圧倒的に足りなくなってしまう。
「構わぬ。人間とは食を分け合うものなのだろ?我も貴様らと友好な関係を築きたい身、そちらの作法に合わせなければ無礼であろう。」
「し、しかし....」
「それに我は飯をあまり食わん、魔力を主食としているからな、飯は単なる楽しみでしかない。量はどうだっていいのだ」
テトはドラゴンでもあるが半分精霊の類でもある。エンシェントドラゴンとはそういう存在である。
「テト様がいいと言うのであれば....」
「さっさと卓に付かんか!我は早く食いたいのだ!」
最近で一番の気迫。ドラゴンとは思えないほど温厚な性格をしていた為この気迫は今まで以上の威力となっていただろう。騎士達はさっさと自分達の分を用意し地面に座り込んだ。
「さぁ召し上がれ〜」
「いただきます....これで合ってるか?」
「えぇあってるわよ〜?」
テトはメイヘムの隣で頭を下げ器に顔を近づけていた。恐る恐る、という表現が正しいのだろうが内心ワクワクしながらシチューをひと舐めした。
「ぬぁ?!!!!」
「どぉ〜?」
『な、なんだこの味わい深い食べ物は!料理という人間のみが使える究極奥義これ程とは、これは数千年程前、エルダードワーフが作ったゼンリョクパンチャーマンとかいう古代兵器に吹き飛ばされた以来の衝撃だ、』
一般的な家庭で使われている材料を使用した料理ではあるがやはり大きな鍋で1度に大量の食材を調理すると味に深みが出てくれる。(学校の給食みたいな感じ)騎士達もかなり満足そうにしていることから普段料理を口にしている人達からしても優れた料理なのだろう。仮に不味かったとしても王妃様の料理にケチをつけるなどしたら首が飛びかねないが.....
「クッハッハッハッハッハッハ!!!!素晴らしい、素晴らしいぞ!!!!!!!!」
周囲が吹き飛ぶほどの咆哮、騎士達も不意打ちを喰らい中には顔面にシチューをぶちまけてる人もいる。
「て、テト様!落ち着いてください!!」
「クアーーー!....っと、それもそうであるな、すまなかった、ぬ?!せっかくのシチューが溢れてしまってるではないか!」
騎士達がこぼしてしまったシチューを見て多少の怒りが湧いたが自分に責があることを理解しこの場を解決させる魔法を発動させた。
《リボイド》
周囲が少し前の状況に段々と戻っていった。時間が遡ると言うより状況だけが戻った不思議な状況、騎士達もかなり戸惑っているようだった。
「フン、これで元通りだな、さて!冷めぬうちに間食しようではないか!」
騎士団所属の魔法使い達が今の魔法について話し合っていたりもしたがテトからすればどうだっていい。今は目の前のシチューに全神経を集中させている。
「今のは時間干渉系魔法か?!」
「いや、空間干渉系ではないか?!」
正解は結界魔法の応用である。仕組みさえ知れば人間でも使える魔法だが、如何せん魔力の消費量がイカれている為テト並の魔力量があってやっと通常運用が許される程だ。
「メイヘムよ、またこうして飯を作ってくれないか?その時は客として代金も支払う。我らのしょうもない貸し借りの話はこれ以降一切無しだ。」
「ではその時は宴にしましょう〜?食事はみんなで楽しむものなの」
「それについては我も同じ意見だ!一人寂しく食べているより何倍もいい気分だ!」
《満足》この一言でこの状況は表わされるだろう。騎士団も満足気な様子、今回の勝者?は王妃メイヘムで間違いないだろう。全員の胃袋を掴んでしまった。
「ご馳走になったな!また会おうではないか!クッハッハッハッハッハッハ!!!!」
テトは周囲に気を配り少しだけ静かめに羽ばたき大空へと去っていった。
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「実に有意義な時間であった、やはり料理とは素晴らしいものだな、気力が満ち溢れてくるわ!」
普段生肉か魔力を摂取しているテトからすればやはり料理というものは特別だ。未知のもの、それも美味であるということは気の持ちようも変わってくる、というか気ではなく本当にバフの効能が確認されている。今回のシチューは魔物にとって魔力出力の向上を促す効果があった。この性質に気がつくのはまだ先のお話。
「さて、今回の一件で我には仲間が必要だと感じた、つまり!我の計画の1つであるこの、」
旧友に声を掛けに行く
「これを実行しようではないか!初めに声をかける相手は既に決めている、待っているが良い、マンティコア!」
テトの初めての街作り ─ ロードマップ編
:達成度
建設予定地の整地:40%
人材を確保する(人間で無くとも良い):0%
作物を育てる:0%
家畜を飼う:0%
料理が出来るやつを見つけるor作れるようになる:3%
旧友に声を掛けに行く:0%
人間と仲良くする:16%→17
いい街を作る:2.1%
内装を作る:12%
電気を作る:6%




