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三題噺もどき3

整理

作者: 狐彪
掲載日:2024/07/16

三題噺もどき―よんひゃくきゅうじゅうご。

 


 久しぶりに晴れ間がのぞいた。


 ここ数日の雨が嘘のように、外には気持ちのいい青空が広がっている。

 見える範囲に限ると、雲一つないと言ってもいいぐらいの空だ。

 これでようやく梅雨明けになるんだろうか……まぁ、梅雨が明けてしまえば本格的な夏が来るだけの話で、それはそれで嫌になってくるが。

「……」

 きっと今日も外は暑いんだろう。

 突き刺すような日差しが降り注いで、それにさらされたところから体力を根こそぎ奪っていくような……最悪命にかかわるような暑さなんだろう。

 時折ちらりと携帯を見ると、その度に熱中症警戒アラートというものが表示されている。

 不要不急の外出を避けることなんて、あの流行り病以外でそうそうないだろうと思っていたのに。それが解除されても外はもう今までのように生活できる環境じゃなかったなんて、そんな小説の中で起こるようなことが現実になるなんて思ってもなかった。

 しかしまぁ、それなら、外に出るのも考え物だなと思って、とりあえずこれといった用事がない時は部屋にいるようにしている。……室内に引きこもるのは今に始まったことじゃないけど。

「……」

 だから、久しぶりに晴れた今日も、家の中で片づけをしていた。

 というか、昨日の夕方の時点で割と雨はおさまっていて、そのタイミングで買い物なんかに行ってしまったので、今日は外出の予定がなくなったのだ。

 そうでなくても、暑い中では外に出たくもないけど。

「……」

 それでまぁ、そういえば片づけが中途半端になってるものがあったなと思いだしたので、ようやく手を付けたと言う感じだ。

 中途半端というか、どう処理したものかと思って放置していたのだ。

 なんでこんなものまでここに持ってきたのかという感じではあるんだけど。

 あちらの方に置いてきたものだと思っていた。

「……」

 こんな、大した思い出もないような卒業アルバムとか持っていても。

 しかもなぜかちゃんと小中高大まであるのが不思議でならない。

 こんな重いものどうして持ってきたんだろう……まぁでもあっちに置いてても邪魔だからとか言われそうなものだから渋々持ってきたのかもしれない。

「……ん」

 しかしどうしたものかとその四冊をまとめて手にとったら、何かが隙間から落ちてきた。

 アルバム同士の間に挟まっていたのか、はがきほどのサイズの紙がひらりと足元に。

 何かというか……写真ではあるんだけど。

「……」

 手に取り、何の写真だろうと確認してみると。

 なんともまぁ、学校生活の中で一番といっていいほどの苦しかった時期の写真だった。

 それでもこの写真の中では取り繕って笑顔でいるあたり、こういう集団行動が必要な際はそれとなくうまくできていたんだろう。今よりも。

「……」

 文化祭か体育祭の後の写真だろう。

 教壇に、クラスの全員がぎゅうぎゅうになって並び、中心に教師が座り、中心的存在の人たちもその周囲に集まり、周りをその他大勢で囲んで。

 私はもちろん端の方……と言いたいのだが、なぜか昔からこういう集合写真を撮るときは中央寄りにいる。中心的存在よりも中心ではないのが幸いか。

「……」

 あぁでも、この頃までは周囲に置き去りにされないようにと、それなりに必死になってはいた記憶がある。だからこうして取り繕うのもできていたんだろう。

 でもこの次の学年くらいから、なぜだったかは忘れたが……いろんなことがどうでもよくなって、なぁなぁになっていた気がする。

「……」

 正直、楽しくもない記憶しかない。

 このクラスで修学旅行に行ったと考えると……ホントによく頑張ったなって感じがする。自分とは全く違うタイプの人間しかいないクラスだった。その前の年に同じクラスだった人が一人も居なかったりもして、クラスに馴染む気にすらならなかった。この頃のクラスメイトの名前とか全く覚えてない。顔は見ればなんとなく見覚えあるなぁとなるんだけど……誰だろうね。

「……」

 成人式にでも行っていれば、この辺りの人とも会うことはあったんだろうけど。

 残念ながらそんなものに行く必要性ないだろうと、そもそも頭にすら入れていなかったので、この頃の人たちと会うことなんてもう二度とない。会いたくもないが。

 案外まだあの辺に住んでいたり、意外とこの辺りですれ違ったりしているかもしれないけど。あちらはきっと気づかないだろう。

「……」

 あの頃とは似ても似つかないからな、自分で言うのもなんだけど。

 学生の頃の私は、髪が比較的今より長くて、眼鏡がデフォルトだったから。

 社会人になってから、髪を短くそろえるようになって、外出の際はコンタクトをするようになっているから……別人と言っても過言では、あるけど、それぐらい違うと思う。

「……」

 視力がそれなりに悪いのもあって、眼鏡の度数とか相当だから……普段眼鏡を使っている人ならわかると思うが、度数があると目が小さく見えてしまう。妹なんてそれで、だいぶ印象が違ってくるのだ。私より目が悪いので。元々の目はそれなりにでかいのに、眼鏡かけるともったいない。今は妹もコンタクトをしているので。

「……」

 しかしまぁ、ホントに。

 こんな写真を見つけるとは思いもしなかった。これはなんで現像までしてこうして別で、持ってたんだろう。なんかいいことでもあったやつだろうか……そんな記憶一切ないが。嫌な記憶しかないが。思いだしたくもないものしか……

 ……うん。

 まぁ、そんなことはどうでもいいか。

 そんな苦々しい学生の頃の記憶なんて誰でも持っているだろう。

 そんなことでいちいち立ち止まっていては、進めるものも進めない。

「……」

 今はとりあえず、このアルバム共をどうするかを決めて。

 さっさと次の片づけをしてしまおう。





 お題:写真・教壇・置き去り

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