2話の調整
選手交代のアナウンスを聞くなり、顔の表情を曇らせ、暗い陰気なオーラを噴出する直子だが。
このアナウンスの内容は、先程も予想して話していた通り既定路線であり、
そもそも、多少の攻撃こそ必要であるために前線に枚数を置いているものの。
むこうの考えからしてみれば、ある程度のメンバーをだして勝負さえさせてあげられたらそれでいいと思っているんだろうし、
あーやって最初から一歩引いて守備的に戦っていれば、学校の評判も選手のプライドもそこまで汚さずに済むし大丈夫だと思っているんだろう。
実際、両校の力の差を考えれば4-0くらいまでの点数差であれば、ワンチャン来年までの続投は可能性としてあり得るような気がしなくもないのが、嫌なのである。
私としては、名門なのにもかかわらず…。
実力主義を捨てたやり方で、3学年全体の指揮を下げるような行動をとった保加間監督には続投しないでほしいと思っているわけだが。
どこに脳みその神経を使っているの人間なのか、和也1人真剣に使ってバランスとらせればいいのにそれすらしないで、
謎に2年に目を掛けていて、そんでもって引き上げはろくにしないときてる。
練習の取り組みかたや志しの高さなど、結構な差がでてきて当然までも、3年でも自分は同じくらい頑張っていると似たような人間見つけて誤解する奴
なんて、受験の数程といえばいいだろうか。
あまりにも知識不足ゆえに憶測の域をでない話だが、人間の名字には派生があったり。親や自分、又は周りの人達の評判など、
学校側が勝手に情報をタレ込むこともあるだろうし、内部事情を明るくするためにわざと組織に入社したりしてバックアップされたりなど…。
立ち直るなり、持ったペットボトルを地面に置いて、急いでスマホを用意しようとしている姿をみると、余程の推しなんだろうと伺えてしまうが。
流石にちょっとだけ、、やりすぎというかムカついたため…。
わかりやすく和也と交代して投入された。
考兵についての話を振って会話を広げてみる。
ちなみに、和也の手前。 友情を語っていいのかわからないが、わたし自身だって龍や渡とはそれなりに仲良くしてきたし、サッカーの実力だって認めてもらっている仲である。
だからこそ、今回の試合。同じDMFの考兵には
悪いが、この世の中において実力がないのに試合に
でると、歯車が狂ってしまい。
いっかいのミスから失っただれかの自信が、どれだけチームに悪影響を及ぼすのかをわかってほしいと思う。
きっと、徐々に試合は回らなくなってくると思うから…。
サッカーは絶えず。10人のチームメイトが味方の1アクションの1つに心を動かされ不安になったり自信を貰ったりしながら戦っていること。
だから世の中、GKの重要性や声の大きさの大事さなんかを指摘されているが・・。
ゲームにでてくる。雷のゴールキーパーなんかは良かったんだと思う。
絶対的に失点しないという安心感。
声が大きい上に、味方がミスを引きずらないように、ふたたび気を引き締めるよう伝えたり。
必要そうであれば仲間呼んでサポートをさせるなど。
慕われていることから、味方の好プレーを褒めたりして調子づかせたりすることも出来る…。
ーー裏ではセックスは友達とやるものだとか、流れできけば、奥さんは妊娠しないとなれないと発言するなど。他にも気になる都市伝説があるらしいが、ーー
「 とりあえず、今日の賭け忘れてないよね?簡単に打ってよ。」
あのあほ監督の引退の可能性は4失点ならおそらくノルマの範囲内で普通。
わたしたちが試合前に立てた、希望と憶測でいえば。直子が5失点、わたしなら6失点…〆
わたしがプロを目指す傍ら、彼女があと1人欲しいなかで考えに考えて誘った直子…。
相変わらず無駄にファンみたいな、近づきかたが中々乙女チックだと思ったりもするが、今日の励ましのセ○クスを賭けた戦い。
選手交代などで省エネ策みたいなのを使って戦われると、得点の伸びが止まってしまう可能性があるわけだが、友情でそれはないと踏んでいる。
今日の対戦相手の主役である高瀬の実力の伸び方をみても、むこうがプロ行きを保留にしてまで高校サッカーに残ったことを考えても、
まさかの1回戦で激突されて夢ごとぶっ壊されることになったのはさすがに参ったが…。
不幸中の幸いが起こることを信じるためにも、
もう、とっくの昔になれるのにも関わらず、J1入りが目前と噂されている。元U ー 20日本代表で11番を着て戦った。
和也の元親友でFWの高瀬龍。
J2チームからの誘いではあるものの、お父さんがそこのスポンサーのフランチャイズ店の系列にある寿司屋を経営しているため、
海外志望が断たれるならそこに加入を決めている
元U-17で日本代表の7番を背負った。
和也のトレセン時代の後輩でもある。
OMFをしている金村渡。
海外挑戦を狙っているこの2人には、ぜひとも
格好のエサとしての煌びやかなプレーを求めるわけだが。
目にみえてカメラを回している人の数も多いこともあって、セットプレーなどで特別な崩し方をしてくるのかどうか…。
こちらからしては、渡と高瀬。この2人以外のメンバーについては、11人中7人が和也とわたしと同じ小学校で中学時代のメンバーだったこともあり、
応援するのにためらうことがなにもないのだが。
先程は、日本を代表する2人が率いるチームなだけあって、惜しいところは色々あっても、地味に押し込まれることも多く。
多少のコーチングを交えながら和也ひとりでバランスをとって戦ってたのは、かなり評価されていてほしいところだが、
相手は後半も、渡が選手としての動きを、よく和也の真似をして研究していた点もあって、
和也が考案したといっても、中学2年のときに観ていた。ドルトムントのプレッシングサッカーをバランスを取れるように改造した戦術をそのまま採用しているようにみえるが、
相手にビルドアップ役がいなくなったとみるや、
中盤の動きにあわせて見事にラインを1段階押し上げると、
前半のときは、攻撃の崩し方のパターンについて雑談がてら、解説しながら試合を一緒にみていたわけだが。
たった今、左サイドハーフのほうで相手を上手く囲い込んでボールを奪うことに成功すると、
すかさず、FWの高瀬の足下にボールをパス。
そのボールをピタッと足下に止めたと思えば。
縦斜め方向左にそのままボールをキックし、
敵にぶつからないよう。左側を走行を意識して思いっきりダッシュ!!
今度の2タッチめは左足のインサイドでボール縦にボールを蹴って、追いつかれそうになりながらも再び加速し、ボールに追いつくとその視線のさきにはGKがいる。
夢中になって目で追っていたが、もうここまできたら得点は入るだろう。
ちょっとしかでてこないGKを前に、アウトサイドでドリブルがするが如く。3タッチ、4タッチとボールをペナルティエリア内中央に向けて進めていくと、
最後にPKよりすこし後ろのあたりからステップを踏み込み、思いっきりシュート!!
蹴りあげたボールを右枠いっぱいにおさめ、突き抜けたシュートに応援団の大歓声が沸く!
「 ゴール!!!ハ○代高校、本日3点目!!」
解説の声が響くなか、ピッチ上が大盛りあがり!!をみせるなか、
今のゴールシーンは、直子もとなりで顔をあげてみていたみたいで、
わたしから言わせてみれば、あきらかに攻撃力の高そうなシュートが突き刺さるのを、
素直に止めにいかなかった点を褒めたくなるわけだが、
普通に今の場面で、スプリットステップでも使ってボールを止めにいこうもんなら。
指へし折れていたと思うし、、
どうせなら、次の攻撃は若林のほうから始まってほしいように思う。
和也が中学生だった頃にNO.2をやっていて、普段からも攻撃のキーマンとして活躍しているようで、
あり得ない話だけど…。高瀬がチームに残っていれば、この学校にきていた可能性が高かった上に。
おそらくはプロ行きの切符の1枚を獲得できるポテンシャルを秘めているように感じることから、
ぜひとも、あともうすこしこの試合で活躍してほしいわけだが。
「 このままじゃ、4点目はほとんど確実だね 」
本当に若林治については好みのサッカーは選手といえるのだろう。プレースタイルがしっかりとこのチームにハマっており、
決して猪突猛進というわけでもないが、わりとボールを長く持つタイプながらもパスを散らせたり、
内側に入って行きながら、トップ下を囮に相手の逆をついてドリブルで抜き去るなど。
和也にあわせた動きだったのか気になるが、とてもシナジーの高そうなその動きは、
周りが知っていれば、対策を取るのに役に立ったかもわからないくらい。高い次元で組み立てられた戦術の内容だったり。
もっと仲良くしておいても良かったと思えるほど高く。
相手チームのサッカーでいえば、中央の前2枚の足元の高さやスピード能力の高さがこちらをあきらかに上回っている分、どの選択肢も決定的になりやすく。
彼らの圧倒的な攻撃力をまえに、前半で既に2失点を献上。
今も、試合の勝負がきまって守備的に対応することが多くなったようにみえるこちら側の攻撃が終わると、
「 あ、終わったかもしんない。 」
隣の美穂のセリフと同じで、
内側に走って軽くボールをトラップして前を向く若林が、タイミングよくボールをもらいに降りてきた渡の足元に、対角線上になるような縦パスを一本供給すると、
渡はそれを勢いをとめることなく左足のインサイドで振り抜いてパスを出し、
相手とすこし幅をとって待っている龍にボールが到達 。
ステップを踏みながらボールにあわせて動き出すと、すぐさまインサイドでワンタッチ目をいれて前進し、
すかさず、爪先でボールを蹴ってスピードアップ。
相手の左CBと左SBのちょうど空いたスペースのほうから、ワンタッチ目ではDFラインの手前くらいの立ち位置。
ツータッチ目では、相手の左CBを追い抜き。
さらにスリータッチ目では蹴り足の角度のみを変えた同じようなフォームで完全に相手の背後にまわると、
そのまま次のタッチではシュート体勢に移行し、 相手ゴールキーパーの動きを見切った状態から右足を振り抜きゴールの右隅を揺らす。。
「 ゴール!!!! これで、今日八○代高校の得点は3点目がきまりました!!!!・・・」
完全にバネの効いた脚で飛び上がり、腕を高く突き上げるゴールパフォーマンスを龍がすると。
相手側のスタンドでは、集団のメガホン音が天高く鳴り響き!かなりの盛り上がりをみせている。
その後も、解説者が今大会最大のダークホースチームだとしきりに囃子たてていて、
先程、コーナーフラッグ寸前のところから蹴り込まれたクロスに、勢いよく飛び込んではヘディングであわせて奪った。ゴールについても紹介され、
本当にこのままスカウトでもされて、海外にでもいけちゃえるのではないか。
一応、試合がこのまま終われば"ドッピエッタ"を 達成。
これでもかなりの評価になると思うけど、
あと1得点あげれば"ハットトリック"である。
後半は開始してまだ16分・・・。
うちの守勢をみていればわかるが、あきらかに
もう3点をひっくり返すような姿勢はどこにもなく。
これ以上を狙いに行くのならまだまだ見どころは続くわけだが、交代する様子もなく、再び全員がピッチ上のポジションに移動。
どうせならこのままFWの選手はベンチメンバーと2枚替えくらいしてくれるほうが現実的で嬉しいのだが、
試合はその後もごく自然と続き。ボールが1回外にでると、
むこうからでてきた選手は2名。誰が代わるかと思えば、番号の表示は背番号は21番と23番。
コートに出ていく選手達は、ポジションは右CMFと右SBで変わるのは3年生と1年生とのことだ。
「 あと2点は決まりそうだけど、どうする?」
隣にいる美穂に呼びかけられ私も反応するが、
わたしからしたって声をかけにくいものがあるのをわかってほしいと思う。
もちろん、それを理解してのことだと思うし。今後のことを考えると、あまり大きく怒れないのも事実だが、、
今回のチームのメンバー選考・・・。
普段の今までの大会のときも多少の年功序列は存在するし、そういうので幾分かの成績があがるのも事実で。
もっとはやくからチームの主導を和也に引き渡しておけば、今回のような対戦相手じゃない限り。
おそらくは激戦区といわれる。この千葉県の北部一帯でも練習の仕方を工夫したり、相手の戦術予想をしながら多少の対策を打てたはずだが…。
先輩達が抜けると、キャプテンに任命された和也が学校側の策略でチームを追放。
今どきカップルなのに、不純異性交友で学校を停学になるとかあり得ない話なのにもかかわらず。
よそのカップルにまで、ケチをつけるかのような行動のうえに、
美穂が全然進学校でもないこの学校においてあり得ない話だし、
先輩達にもそういう人が居たにも関わらず、誰も和也のことを庇うようなことをせず。
特に望んでいたわけではないものの、5月が終了するまでのあいだ、チームを離脱・・。
ジムに通いながら、進路先として誘われている大学のほうで練習するようになるわけだが、
新たにキャプテンを張ることになった人物からしてみれば、和也がリーダーシップを張っても自分がリーダーをやっても同じことらしく。
本来のアテンド先で、むこうを推薦した人物である考兵に話を聞けば、
去年まで2軍でキャプテンをしていた身からしたら無駄にポジション争いをさせられることが嫌らしく。
「 どこに強豪のマインドがあるんや。」
と、問い詰めたい反面…。4月をむかえるすこし前に、
「 和也のほうばかりみないでほしい。」
と想いを伝えられていて。和也への気持ちに嘘はつけない反面。
基本2軍のマネージャーをしていた身からしても、本当の答えは自分のなかで本当は出ているわけだけど、
本来のアテンド先である考兵からの意見を見逃せない思いもあって、考兵の正直な意見を汲み取るかたちで共謀する道を選択。
当然、美穂には裏で話をまとめるためにも協力をしてもらうわけだが。
わたしたちチームのマネージャーは後輩も含めて先輩たちも、卒業した先輩達ですら、和也のファンは多くいて。
そういう私自身も、入学前からかなり興味深々で。本人と美穂と同じクラスで知り合えたことをきっかけにサッカー部のマネージャーにもなれたわけだが。
「 苦しくもビジュアルの良さを生かしてほしい。 」
美穂をたてるカタチで先輩達がそう勝手にきめたルール。
部員は毎年3名だったから、なれただけでもラッキーだったうえに。
入部希望者の私に、美穂は優しくしてくれた…。
「 マネージャー志望の空野美穂です!和也がいるためもしかしたら掛け持ちになりますが、マネージャーよろしくお願いします。」
なんとなく先輩達に可愛がられている雰囲気があった美穂が1年生の中心として入部した上に、
美穂が実力者を補充したいと考えている女子サッカー部に特例で入部し、練習には2日か3日しか参加しないまでも、直子を贔屓にした分。その日はマネージャーの日を譲るなど。
1年の途中に、監督が変わり。龍が退部するまで、両部活ともに人間関係も雰囲気も良く。
チーム間の関係も明るく友好的な状態を保てていたのにもかかわらず、ある試合をきっかけにチームは崩壊――。
それもそのはず、突然いなくなってしまった。旧レジェンド監督vs新監督の打ち出した。
ポゼッションvsカウンター戦術の、メンバーの実力と新たなるチームつくりのための試合。
学校側からしてみても時代を先取りして、身長の高い子を沢山入れてもらって、興味があればバスケットボールにも混ざってもらうほうが特なため。
"最近のフットボール業界を圧巻としている, マンCのスカッドを軸に置いた。フィジカル重視で今とは、まったく別のサッカースタイルを哲学とするのを学校側は認可していたわけだが。
そんな裏事情があるとは通夜知らず、普通に練習感覚で気合い入れて戦ってしまった結果。
対戦相手の1軍先発メンバーは、3-0と試合の内容からしてみてもあきらかな敗北…。
チームのバランスをとるために3人程、先発メンバーから外されるものがいたまでも。
おそらく本来なら1人か2人の裏切りだけで、意味があったのだろう。試合の途中にも和也は相手の攻め方のパターンが制限されていることに気づくと、
徐々にリーダーシップを発揮しながら相手にカウンターの嵐をお見舞い。
実際、それで白羽の矢が立ったのは。前回の大会では主にスーパーサブとして活躍していた龍のほうだったが…。
本来の首謀者ともとれる監督お気に入りの先輩は2軍出身者ながらお膳立てを見事決めきり、1軍メインメンバーの弱さを大きく露呈されたとしポゼッションチームが事実上の解散。
監督の意向でメンバーから外されるよう言われた先輩達も、そのほとんどが受験生。
他にも今まで選ばれなかったメンバーがいる以上があると踏んでいたのか。
そういうことは知らないが、結果として身体能力のほうを重視することに、2軍チームの先輩達からは不平不満が多く続出 。
メンバー振り分けの為の休日が、実力主義が嫌いな2軍チームのしつこい僻みやパワハラに、1度は 先輩やマネージャーを頼って鎮静化を図ると、善人気取りの良い子ちゃん同級生がでてきた結果。
龍はチームの退部を実行……。
和也の話をあてにするなら、龍1人さえ残っていれば。来年には渡や若林も引き抜けた可能性が
高かったみたいだけど、
おそらくどっちともトップチームにいつでもいける実力があった以上、冒険者の持つ袋のようなもの
だったんだと思う。
そんでもって、肩を持って大人しく追い出したこともあって、なんとなくひとの見たくない部分を垣間見た気がしたわけだが……。
周りの冷たさというか、サッカー部においての和也の立ち位置も
"わたしは美穂に甘えすぎていたのだろう。,,
「 和也カッコよくていいね。羨ましいから素直に応援させてほしい。恋愛込みで! 」
周りの人からしたら休日込みで、週に3回ほど行う。他の人とはちがう特殊な努力をしている話を、 周囲に雰囲気だけでも教えてくれる様子を、日常のシーンとして楽しませて貰っていたりなど。
密かに、いまのわたしの気持ちを理解したうえで
友達で居続けてくれたり、
わたしが気持ちを伝えた翌日にも、
「 3年生あがるまで一途でいられたら気にしはキ以南」
ネガティブな表情や部分だったり、元気でストイックな部分の裏に、本気で生真面目な部分が隠れている話など。
普段の会話している風景からしてみても、スポーツ選手をやるなら2人目まで許してくれるんじゃないのかな?っていう期待感や抱擁感をもらっているなか、好意がダダ漏れだったのかと勘違いしたのも1日ぐらいでは終わったものの、
周りにはバレないまでも、なんとなく和也には感謝されるし、、2年の後半には振り返って貰って、
ようやくまともな