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古本屋主人の思ひ出

この春、めでたく古本屋を出店することになった伊藤 行路(イトウ ユキジ)と申します

こちらの世界に迷い込み、早3年

元の世界でも体験できる苦労を、幾度と無く乗り越え、このたびの出店にこぎつけました


コレで俺様自由だぜ I AM FREEDOM!

ろくに給料も支払わないご主人から逃げ出した甲斐があった


俺は迷い込んでから3年間、犯罪者として鉱山で労役に服しておりました

犯罪者と言っても大したことはしておりません

あんなことで逮捕されるとは思っても無かった





まさか・・・タトゥーが犯罪だなんて・・・





タトゥーシール貼ってただけだったのにね

迷い込んだ瞬間、俺はこの世界で言う警察署に出現した

ちょうど夏だったのでTシャツ一枚

むき出しの腕には緑がかった蝶々のタトゥー、ソレを見て怒号を上げる警察官達

即逮捕され牢屋へ直行、この世界の情報を得る前にこの辺境の町に魔法で運ばれ、鉱山夫として重労働


鉱山の主、通称ご主人に、ようやく異世界人だと気付いてもらって説明を受けたときには既に一年が過ぎていた

言葉も通じず、字も読めず、他の鉱山夫や監督に可哀相な子扱いされ、全てをジェスチャーで表現した一年


他の異世界人がやってきて、ようやく俺も異世界人だと判明した


言葉通じない時点で気付いていただきたかった


一応懲役は二年だったそうだが、異世界人だということを考慮され、一年で済まされた

他の補償や謝罪は特になかった


それからはご主人の下で働きながら勉強して貯金し続けた

この世界酷い、平気で人の給金掠め取るからな

パンの耳どころか、脱穀した籾殻食べて生活してたよ


鉱山夫の食生活のほうがマシだった

だってちゃんと食事出るんだもん

一日一食、野菜入りパン一つ!

あのパンはもう一回食べたい、どっかで売ってないかな


ということで俺は鉱山夫からジョブチェンジを果たし、下働きを経て古本屋主人に成り上がったのさ

え、資金?

それなんだけどね、日本人って働きすぎなのかね

バイト二つ掛け持ちした気分で働いてたけど、この世界それだけでも異常だったのよ

だって下働きの同僚達は三時間労働なのよ

俺は十五時間労働してた

仕事内容は俺も同僚も同じ、館の掃除だったけれど同僚達は三時間労働すら出来ない

出来ないっていうかしない、サボる、何時の間にか消えてて結局俺が全部する羽目になる

そこを多少評価されて給金に色つけてもらって貯金がガッポガッポ・・・

たまにご主人に掠め取られて極貧になったけれども、出店できるほどになったのです!

なんだか無駄にがんばった気がしないでもない!


二年もあったら読み書きも出来るようになったし、会話もスムーズ

店を自作し、暇を見つけて古本を集め、商業組合に許可をもらい、意気揚々と古本屋開店

何故か引き止めるご主人を蹴倒して館を出てきた


山道といっても、集落から少し山道寄りなだけであって険しい道じゃない

開店して何日か経てば客も自ずと増えるはず







目標は、一日平均来客数一人!







・・・だめ?


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