表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/12

不快な見舞客




 翌朝、俺は窓から外を見、意外と学校が近いと気付いた。歩いて数分くらいだろうか。そういえば真人が、車にはねられた俺が搬送される際、自転車で救急車を追ったと云っていた。たいした距離じゃないんだ。

 看護師に許可をとってから服をかえ、清拭用のタオルをもらった。この辺、至れり尽くせりである。

「お父さん、昨夜もいらしてましたよ」

「あ、遅い時間に、すみません」

 看護師は苦笑いで居なくなる。本来、九時以降の面会は禁止なのだが、ここの経営者と火野文哉の父親が知り合いだそうで、特別に時間外の面会がゆるされていた。

 といっても、俺は一度眠るとなかなか起きないタイプで、父親も子どもを無理に起こす気はないのだろう、来ているとは聴くのだがまだ姿を見ていない。フルーツのかごが増えているので来てはいるんだろう。




 あまり愉快ではない見舞が来たのは、お昼過ぎだった。

 相手は警察官だ。刑事。三人で、ひとりは私服、残りは制服。

「は?」声がひっくり返ってしまう。「俺が信号無視したかですか?」

「あの辺りは、防犯カメラがなくてね」

「刑事さん、防犯カメラもないんでしょうけど、あの辺信号もないですよ」

 驚いたような調子で返してやる。刑事らしい男の微笑みがひきつった。

 どういう意図かはわからないが、事故をなかったことにしたいのか、俺の過失と云うことで片付けたいようだ。

 そういや、子どもがバイクにひっかけられたのに、被害届を出させてもらえなかった、って話をどっかで耳にはさんだことがあるな。あれは、ゲームをしていた「俺」の記憶なのか、俺である「火野文哉」の記憶なのか、どっちだろう。

 刑事らしいやつは云う。「火野さん、道のまんなかを歩いていたんじゃないですか?」

「ダイゴ先輩、そういうのはあんまりよくないんじゃあ」

「煩い、黙ってろ、タカミチ」

 刑事をいさめようとした、制服警官の片方が、首をすくめた。

 後輩に対して高圧的な刑事は、要領を得ないことを喋って、帰っていった。制服のふたりは俺に申し訳なそうにして、それに続いた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ