真実の愛って薄っぺらいものですのね、と私は婚約破棄をした王太子殿下に言ってみました。運命の相手は妊娠した私の妹なんですけどね!
「婚約破棄をしたい、もう愛のない婚約に耐えられないんだ……」
「……愛がないといわれましても」
「所詮、君とは政略だといったはずだ、でも愛する人ができてしまったんだ!」
私は開口一番こういった王太子殿下に開いた口がふさがりません。
最初に確かに政略だから愛せないとは言われました。
でもそれもそうかと納得はしたのですわ。
「彼女はもう僕の子がお腹にいるんだ!」
「はあああああ?」
いえ、私と殿下はそういうことはまだでした。でもこの半年、妃教育をしている間にどうやってというか……。その相手の名前を聞いてもっと驚きました。気を失って倒れてしまったほどでした。
「お姉さまごめんなさい、私、殿下を愛してしまったの!」
いえそれ、倒れてやっと目を覚ました私に言う言葉じゃないと思います。妹よ。
私がやっとあなた、どうやってと聞くと……。
ええ、舞踏会の夜にお酒を飲んで酔っ払った殿下、快方する妹、そして……。
いや何で酔っぱらう? どうして妹が快方?
「お腹に赤ちゃんがいるの!」
「……はあ」
もうはあしか言えなくて、そして部屋に入ってきたお父様が……許してやれというのです。
子供がいてはしょうがないとかなんとか。
言いくるめられたみたいです。
お父様がこういうのです。嫌ですとも言えずに婚約破棄され、私は館に返されました。
ええ、このままでおくものか、私は復讐を考えました。
お腹にあなたの子が! って……そんなに簡単に? 計算してみて、もしかしてと思ったのです。
「……ここに私はアリア・シュタインと婚約を!」
「……異議あり!」
私は婚約式で異議ありを唱えました。すると皆が驚いたようにこちらを見ます。
「おい、マリーアン!」
「……お父様は黙っていてください、まずお腹にいる子供とやらは王太子殿下の子ではありません!」
私は魔法局から借りてきたある道具を出しました。
そして、魔法で血のつながりがわかるのです! 装置に手を触れました。妹の手を! と叫びます。
いやいやそうに妹が触れると……。装置が真っ赤に光りました。
「血縁があれば光ります。なければ、光りません、まず最初、次に触れて、あれば光り、なければ光りません」
まあシンプルですが、魔法局のお偉いさんが、女好きで、あなたの子よ! という女性が子供を連れて現れるのに疲れ果て、開発したものです。
間違いはありません。
私はそれを書状で示します。
なんとなく昔聞いた知識が役に立つなんて……。
「お腹にいる子供でもわかるのです」
「え?」
「さあお腹に触れ……」
「いやですわ!」
妹が暴れるのを無理やり拘束し、お腹に道具を当てました。
そしてそのあと、殿下が触れて……。光りません。
そのあと、殿下と王妃様が試すと光ります。
何回も試してみて、お腹に子供がいるご婦人がいたので、触れて、あとはご主人に触れると光るということもやってみました。
誰の子だと大騒ぎになり、私の出した証拠により、かねてより付き合っていた子爵の次男ということがわかり……。
ああ、婚約は破棄され、妹は不義の罪で恋人とともに辺境追放。
殿下は廃嫡されました。真実の愛って薄っぺらいものですねと言ったら、苦笑いしてましたわ。
私はお父様にも嫌気がさしたので、家を出て、魔法局にいます。
魔法局で道具開発をしていますが、とても楽しいですわよ。好きな人もいます。
うーむ、しかしあの装置、量産できたらいいかもしれませんわね。
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