第4話 石板
「ハァハァハァ。
ここまで来れば安心だ」
「父さん、母さんは無事かな?」
「先に研究所に入っているかもしれない。
行ってみよう、ライト」
二人は洞窟の奥へと急いだ。
洞窟の壁には青く光る苔が生えており、周りはぼんやりと明るい。
たまにひんやりとした風がライトの頬を撫でていく。
洞窟内部には鍾乳洞が在り、突き当りには小さな池があった。
「開けゴマ!」
父が叫ぶと池に設置されている装置が反応し、水面に強い磁場が掛けられ、モーゼ効果により、池の水は真っ二つに割れ階段が現れた。
池の底には扉があり、二人を招き入れるが如く大きく口を開けている。
「相変わらず凄い仕掛けだね」
「大事な研究施設だからね。
前にも言ったけど、我々家族三人の声にしか反応しないからね。
さあライト、中に入ろうか」
二人が階段を下りて扉の中に入ると、池は何事もなかったかの様に元の姿に戻った。
「マリア、来てるか?」
「とうさん、返事がないね」
「まだみたいだな。
暫く待つしかないな」
「しかしこの研究所は広いよね」
「元々は父さんが狩りの途中で雨宿りの為、この洞窟を利用した時に偶然発見した古代遺跡だからね。
ここには父さんが造った発明品以外に色々な発掘品も有るから、勝手に触って壊さないでくれよ」
「ねえねえ父さん。
この沢山の丸い石みたいな物は何?」
「ああそれか。
この石板と一緒に出土したんだよ」
「へえ、何か絵と文字が描かれているね」
「まだその石板は解読出来てないんだよ」
「描かれている絵を見ると、何か装置のお皿みたいな所に丸い石を置いているよ」
「多分その丸い石をお皿に載せたら何かが起こるんだろうな。
如何せん、その装置がどこにあるのか分からないんだよな」
「ちょっとその石版をよく見せて」
ライトは父から石版を受け取った。
「待ってましたよライト」
「うわっ!
父さん、石板が話しかけて来たよ!」
ライトは驚いて思わず石板を落としそうになった。