第1話 最後の黒い卵
「グハーッ!
我がジャスティスに栄光あれー!」
DOKKAAAN!
「ああーっ!
ハリネズミくーん!」
ライトは叫んだ。
「お前達の悪巧みは許さない!
いつでも相手になってやる!
大首領、次回はお前の番だ!
首を洗って待っておけ!」
そう言葉を残してヒーロー達はバイクに跨がり、颯爽とその場を去って行った。
「ああ、ハリネズミ君まで殺られてしまった。
戦闘員も皆殺しじゃん」
俺はアジトに逃げ帰るしかなかった。
カスガの村。
ここが俺の生まれ育った村だ。
この村には小さな湖が在り、畔の洞窟奥に俺はアジトを構えている。
「遂に俺一人になっちゃったな。
残されたのは大事に取っておいたこの黒い卵一つだけ。
いったい今まで何人の怪人と戦闘員があいつらに殺られて散っていった事か・・・
俺は天井を見上げて涙を堪えた。
「父さん亡き後、引き継いだこの組織を絶対にこのまま終わらすわけにはいかない!」
俺は、ぐっと唇を噛んだ。
「覚悟を決めないとな。
最終決戦だ」
俺は最後の卵を大事に手の平に載せて奥の部屋に移動した。
その部屋の中央には人が入れるだけの大きさの強化ガラスで出来たカプセルが一つ立っている。
カプセルには金属製の管が繋がれており、その長い管を辿って行くと、俺が今立っている場所に在る小さな金のお皿が目に入る。
怪人製造ガチャポン。
科学者であり考古学者でもあった父から受け継いだ大切な機械だ。
俺は虎の子の黒い卵を金の皿に載せ、赤いレバーを引いた。
ガシャン
黒い卵は管を通ってカプセルの方へ進んで行く。
金の皿とカプセルの丁度真ん中辺りにはブラックボックスがあり、卵はそこで殻を割られて気化する。
気化した卵の中身は更に管の中を進み、やがてカプセルの中は黒い煙で満たされた。
果たして・・・
強化ガラスの扉はゆっくりと開いた。